3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

四十三話 選抜試験2

「いい魚入ってるよー!
見ていかないかーい!」



「この薬草はこの大陸でも滅多に
採れないものだ。どうだい?
一ついらないかい?」



港の通りを歩けば、多様な店の主人が
旅人や職業者を誘っている。


そんな賑やかな道を俺は、
事前に貰った試験会場の場所に
描かれた地図を見ながら歩いていた。


港町を出て、水鳥が飛び交う川を
船で上る。

それから一時間くらいすると
別の小さな村についた。

そしてそこの村からまた別の
大きな街に馬車に乗って移動する。

着いた街には羽の生えたユニコーン
が多方面に連れて行ってくれる
乗場があるようで、そのユニコーンに
乗って丘の上にある城下町に行く。
試験会場はその城下町の中にあるよう
だった。

別に今すぐ城下町に行っても
いいのだが、城下町では
宿を取るのが難しいから、
この街で一日泊まって
当日向かってはどうかと、
受付嬢に言われたので俺は
その案にのることにした。


適当な宿をとり、部屋の中で
再びスキルを覚える。
いざ、戦うとなった時
この本を見ながら戦うのは
不便なので時間があるときに
覚えておく方がいいだろう。
街の中で買った何の果実かわからない
ジュースを飲みながら、
俺は本に目を通していった。


「……あんま美味しくないなこれ。」






試験当日の朝になり、俺は
乗場に行った。
俺は念の為に昨日予約していたので、
難なくユニコーンに乗れたが、
今日は試験当日だからなのか城下町に
向かう人々が多いようでえらく
混雑していた。


「よろしくな。」


俺はユニコーンの長い首を優しく
撫でる。

すると、そのユニコーンは
嬉しかったようで


「ヒヒーン!」


と一声上げて飛び立った。



暖かい風が吹く草原の空を
気持ちよさうに飛ぶ。


草原には牛か羊かわからないが、
何かの草食動物が群れをなして
俺たちを見上げてくる。

周りには大きな魚に
従う小さな魚のように、
鳥達が俺の周りを飛んでいた。



「あれが、城下町か。」


レルバ帝国。この地に住む人々は
そう呼ぶようだった。


城下町の周りには市壁が
ない代わりに、薄い光が覆っている。
恐らくあれは敵の侵入を察知する
魔法なのだろう。


「ヒ、ヒーン!」


爽快に空を飛んでいたユニコーンは
城下町内にある乗場に下り立つ。


「あんがとな。」


彼にはまだ仕事があるようで、
首を撫でてやると名残り惜しそうに
俺に顔をこすりつけ、また飛び立って
しまった。


「さてと、試験会場の場所は……」


俺は一応地図に目を移したが、
周りには試験を受けるであろう
職業者達が一つの方向に歩いて
いたので、彼らの後を追うことにした。

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