3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二十二話 撃破2

「やっべ、やりすぎたか?」


俺はさっき、思いっきり
ラーバと名乗る幹部をぶん殴った。
そこまではいい。
俺は正しいことをした。
だが、俺の前に広がるこの大きな
穴はなんだ。
誰だよ!
ここに大きな穴開けたやつ!





俺です。



力を入れすぎたのかラーバは
壁を破壊しながらどこかに
吹っ飛ばされてしまった。


どうすんだよ……この穴。
収拾つかねえよ。


俺はとりあえずこの穴のことは忘れ、
先程壁に投げて傷つけた仲間に
念の為もう一度ヒールをかける。
そして誰も怪我が無いかを確認して、
起こすのもまずいかと思ってみんなを
一箇所のとこに集めて寝かせておくこ
とにした。


「さて、問題は……」


この穴なんだよなぁ……。


何千回と異世界転生を
繰り返してきたが、破壊された
物を修復する技術なんて学んでいない。
俺のマントで隠す?
流石に無理そうだ。


俺があの手この手でこの穴を
隠そうと奮闘していると
その穴の中から話し声と足跡が聞こえて
くる。


「大丈夫ですかね?
ここを通っても。」


「ここを通ればラーバを吹っ飛ばした
張本人に会えるかもしてない。
それに、この方向はドッペ達が
待機しているはずの場所だ。
近道にもなるだろう。」


どうやら騎士団を探しに行った三人
が戻ってきたようだった。

俺は迫ってくる三人の足音を
聞いて、多少もたつきながらも
まとめて寝かせておいた仲間の
元に戻り、寝たふりをきめた。



「ここは、ドッペ達を待機させて
おいた場所ではないか!?」


どうやら穴を抜けたタチアナの
驚いた声が聞こえてくる。


「ドッペ! いるか!?」


「タチアナ様!」


アルナと呼ばれていた女性が
集団で寝込んでいる俺たちを
発見した。


「おい! 大丈夫か!?」


タチアナはドッペを必死に起こそうと
するが呪術が解けたばかりのせいか
まだ目を覚まさない。


「息はあるようです。」


アルナと共にタチアナについて行った
ビルメという男が言う。


「そうか……良かった……」


タチアナはほっと一安心すると
ドッペを床に寝かせ立ち上がる。


「では、ビルメはここで皆を見ていて
くれ。私とアルナで騎士達をここに
連れてくる。
それと幹部の二人の首も取ってこな
ければならない。」


幹部の首を取るのは幹部を倒したと
証明するためだろう。
彼女の言葉にビルメは
わかりました、とだけ答える。
そしてアルナとタチアナは再び
穴の中へと入っていった。

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