世界の再構築者は3匹のぬこ系少女に殺される!?

むもむも

1-17

「家族が来ていると言われて来てみたのですが、あなたは誰ですか? 私にはもう家族はいないんですけど……」

 頭の中が真っ白になる。
 今までの流れから、こうなることは予想できたはずだった。
 いや、感づいていたが、あえて避けていたのだ。
 こうなる事が最も恐ろしかったから。
 だが、現実は非情であり容赦なくその事実を叩きつけてくる。
 スズの言葉を聞いたタカシは、胸を抉り取られたような強い痛みを感じたが、自分の心をぐっと押さえ込んで。

「ごめん。間違いだった。」
「はい?」

 そう言い残して、昇降口を後にした。
 タカシは、無理矢理にでもスズに自分のことを思い出させたかった。
 思い出させるために、妹との思い出を語ることなど一晩でも足りないほどあるのだ。

ーーー

 スズがタカシの妹として生まれてきたこと。
 小さい頃に一緒に作った秘密基地のこと。
 スズが庭の植木に悪戯をして、タカシがそれを庇ったこと。
 父さんと母さんが亡くなって、毎晩一緒に泣いたこと。
 祖父母の家に引っ越したこと。
 タカシが高校入学で父さん母さんの残した家に引っ越しをして、スズも転校してまでついてきてくれたこと。
 昨日、そのことでタカシがスズを怒らせ、学校の帰りに公園で想いを打ち明けてくれたこと。
 そして、3匹の子猫が、新しい家族が増えたこと。

ーーー

 しかし、それが通じるような甘い状況でないことは今までの経緯からも推測する事ができる。
 ここまできたら、もう現実だの何だのはタカシにとっては関係ない。
 タカシと強い絆で結ばれていた妹の記憶、いや、思い出すらも奪う事ができたのだから、先ほど考えていた「誰か」の存在を否定する事ができなくなった。
 これは明らかに現実離れした力が働いているとしか考えられない。

 ここで悪あがきをしたからといって、俺の知っている妹は戻ってこないだろう。
 今はただ、妹の無事が確認できたのだから、これ以上のことは望む必要はない。
 そして、タカシが次にやることはもう決まっている。
 その「誰か」を探してこの状況を元に戻させる。
 それが、たとえ自分の手の届かない場所にいるものだったとしても、タカシは諦めるつもりはない。

「スズを取り戻すためなら何でもやってやる。」

 決意を口にすると守衛小屋のある校門まで力強く歩き出した。
 守衛さんに笑顔でお礼を告げると、スズの通う学校を後にした。

「ほう、何でもやるねぇ?」

 その帰り道、背後から艶っぽい女の声が聞こえた瞬間、目の前が暗くなり意識が遠のいた。

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