爆ぜろ!魔法少女いちごちゃん
空白の幽霊 その7
 「どう......?試してみる価値はあると思うけど......」
 思いついたこと。
それは単純明快。
穴が開けられないなら、もう一度開けて貰えばいい。
「はぁ、なるほど......」
 いちごちゃんが、気の抜けた声が応える。
「でも......」
 大牙は浮かない顔だ。
「一回やってみようよ」
 いちごちゃんが、大牙の顔を覗き込む。
 ちょっと間を開けて、大牙が顔を上げる。
「わかった。やってみる」
 ベルトが、大牙の動きに合わせて音を立てた。
「で、どうすればいいの?」
 いちごちゃんが、こちらを向く。
「そりゃもちろん、ここで待機。それで、撃ってきたら避ける!」
「それで......?」
 いちごちゃんが、顔を近づける。
低い鼻から、ふんふん息を吐いている。
「ん?」
「だから、穴を開けて......その後どうするのさ」
「あぁー......」
「ボクが入る」
 大牙が、毅然と告げる。
「みっきーは、ボクが助けに行く。だから......ボクが行ったら、もう一回穴を開けてね」
 そう言って、少し笑った。
「わかった」
 私が言う前に、いちごちゃんが言う。
 拙い作戦を携えて、魔獣と向き合う。
先程から、空気を読まずに攻撃を続けている。
その目は、やはり嗤うかのように歪んでいる。
 三人で根を迎え撃ちながら、結晶化攻撃を待つ。
 そして、その時はすぐにやってくる。
 目の縁から中央へ、光が収束していく。
光が輪郭をぼやかし、そして......。
「今!」
 いちごちゃんの合図で、その場から横に跳ぶ。
 弾けた光が地を穿ち、結晶のカケラが舞う。
そのカケラが落ちきる前に、大牙が穴に飛び込んで行くのも見えた。
 着地を全く考えずに跳躍したため、バランスを崩し転倒する。
いちごちゃんも巻き込み、転がる。
駐車場の植木にぶつかることで、やっと止まった。
「いったぁ......」
 いちごちゃんが呻く。
「ごめん......」
 裾を払って立ち上がり、いちごちゃんに手を伸ばす。
「ぐえっ......!」
 私の手を掴もうと伸びたいちごちゃんの手が、突然の奇声に怯む。
よく聞き慣れた奇声だった。
 穴から、海月さんが飛び出す。
その肩は、見事に大牙の腹に食い込んでいた。
海月さんは海月さんで、内側で出ようと試行錯誤していたみたいだ。
 その姿を眺めていたら、私も地面のコンクリートごと飛ぶ。
全身に割と冗談にならない衝撃が走る。
「ついでに、小鳥ちゃんも飛んでけー!」
 気がついたら、はるか上空。
魔獣の真上。
 いちごちゃんに、打ち上げられたらしい。
 コンクリートが砕け、自由落下が始まる。
 真下には魔獣。
「そう言うことなら!」
 やってやるよと、身をひねる。
見開かれた魔獣の目に、刃を垂直に。
刃が肉に潜り込み、魔獣を縦に割く。
根と同様、刃に抵抗はない。
風が髪を激しく揺らす。
地面が近づき、魔獣が光と散る。
「あれ......?これ、このまま落ち」
 言い切る前に、海月さんに掬われる。
滑らかに、大剣が着地する。
「今回はトドメ刺せたじゃん」
 いちごちゃんが、ニヤニヤしながら駆け寄ってくる。
「もっと余裕を持ってキメたかったよ......」
「あのですね......」
 何か言おうとする海月さんに、大牙が抱きつく。例のもう一人の魔法少女もいるので、少し抱き着きづらそうだ。
「みっきーお帰り」
 大牙が穏やかに笑う。
 海月さんが、ため息をつく。
「......ひとまず、ありがとうございます」
 その表情も、やはり穏やかだった。
 思いついたこと。
それは単純明快。
穴が開けられないなら、もう一度開けて貰えばいい。
「はぁ、なるほど......」
 いちごちゃんが、気の抜けた声が応える。
「でも......」
 大牙は浮かない顔だ。
「一回やってみようよ」
 いちごちゃんが、大牙の顔を覗き込む。
 ちょっと間を開けて、大牙が顔を上げる。
「わかった。やってみる」
 ベルトが、大牙の動きに合わせて音を立てた。
「で、どうすればいいの?」
 いちごちゃんが、こちらを向く。
「そりゃもちろん、ここで待機。それで、撃ってきたら避ける!」
「それで......?」
 いちごちゃんが、顔を近づける。
低い鼻から、ふんふん息を吐いている。
「ん?」
「だから、穴を開けて......その後どうするのさ」
「あぁー......」
「ボクが入る」
 大牙が、毅然と告げる。
「みっきーは、ボクが助けに行く。だから......ボクが行ったら、もう一回穴を開けてね」
 そう言って、少し笑った。
「わかった」
 私が言う前に、いちごちゃんが言う。
 拙い作戦を携えて、魔獣と向き合う。
先程から、空気を読まずに攻撃を続けている。
その目は、やはり嗤うかのように歪んでいる。
 三人で根を迎え撃ちながら、結晶化攻撃を待つ。
 そして、その時はすぐにやってくる。
 目の縁から中央へ、光が収束していく。
光が輪郭をぼやかし、そして......。
「今!」
 いちごちゃんの合図で、その場から横に跳ぶ。
 弾けた光が地を穿ち、結晶のカケラが舞う。
そのカケラが落ちきる前に、大牙が穴に飛び込んで行くのも見えた。
 着地を全く考えずに跳躍したため、バランスを崩し転倒する。
いちごちゃんも巻き込み、転がる。
駐車場の植木にぶつかることで、やっと止まった。
「いったぁ......」
 いちごちゃんが呻く。
「ごめん......」
 裾を払って立ち上がり、いちごちゃんに手を伸ばす。
「ぐえっ......!」
 私の手を掴もうと伸びたいちごちゃんの手が、突然の奇声に怯む。
よく聞き慣れた奇声だった。
 穴から、海月さんが飛び出す。
その肩は、見事に大牙の腹に食い込んでいた。
海月さんは海月さんで、内側で出ようと試行錯誤していたみたいだ。
 その姿を眺めていたら、私も地面のコンクリートごと飛ぶ。
全身に割と冗談にならない衝撃が走る。
「ついでに、小鳥ちゃんも飛んでけー!」
 気がついたら、はるか上空。
魔獣の真上。
 いちごちゃんに、打ち上げられたらしい。
 コンクリートが砕け、自由落下が始まる。
 真下には魔獣。
「そう言うことなら!」
 やってやるよと、身をひねる。
見開かれた魔獣の目に、刃を垂直に。
刃が肉に潜り込み、魔獣を縦に割く。
根と同様、刃に抵抗はない。
風が髪を激しく揺らす。
地面が近づき、魔獣が光と散る。
「あれ......?これ、このまま落ち」
 言い切る前に、海月さんに掬われる。
滑らかに、大剣が着地する。
「今回はトドメ刺せたじゃん」
 いちごちゃんが、ニヤニヤしながら駆け寄ってくる。
「もっと余裕を持ってキメたかったよ......」
「あのですね......」
 何か言おうとする海月さんに、大牙が抱きつく。例のもう一人の魔法少女もいるので、少し抱き着きづらそうだ。
「みっきーお帰り」
 大牙が穏やかに笑う。
 海月さんが、ため息をつく。
「......ひとまず、ありがとうございます」
 その表情も、やはり穏やかだった。
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