爆ぜろ!魔法少女いちごちゃん
激走!電車型魔獣!その2
 「着い......たぁ」
 想定外の出来事が重なり、結構疲労困憊。
渡された簡易的な地図を回しながら、何とか叔母の家の前まで着いた。
 クリーム色の外壁で、白い観音開きの洋風なドアがつけられている。
そして、何て言うか大きい。あたりに林立しているビルとは違って、横に広い感じだ。少し合宿場の様な雰囲気をしている。
「これに1人で住んでんの......」
 もしかして、お金持ちなのかもと思い、少し神妙に近付き、ドアの横のチャイムを鳴らす。
 ドアには、曇りガラスがはめられていて、詳細な様子は分からないが、すぐに騒がしい足音が響いてくる。
 階段を下りている?
そんなことをぼんやりと考えていると、内側から勢いよくドアが開かれた。危うくぶつかるところだった。
 そして、押し開かれた扉から覗くのは、あの時とは色の違うツインテールに、あの時と変わらない、まだ幼さの残る顔だった。
「初めまして、わたしは......」
「いちごさん......ですよね?」
 少女の表情が固まる。
「どこかで......あった......?」
「さっき、線路で......」
「えぇ!?......何で覚えてるの!?」
「何でって......体質?」
 そこについては、私も分からない。あの世界の出来事は記憶出来ないのが普通みたいなのだ。
 少女がすっかり考える人のポーズになってしまう。
そろそろ入りたいのだけれど......。
 そんな少女の頭の上に、もう1つの頭が乗る。短めの髪に、朗らかな顔の、こちらも女の子だ。
「やめて!背縮む!」
 その言葉を無視して、後ろから現れたもう1人の少女は、顎でつむじをグリグリしながら喋り出す。
「新入りさんでしょぉ。さっちーが今日来るって言ってたし」
「あ、はい。......多分、そうです」
「さっちー今買い物中だからさ、中で待ってなよ」
 その言葉と同時に、家の中に招かれた。
 中に上がると、すぐに右側の部屋に通された。
 部屋の中央には、木製のテーブル。その周りには、4つの椅子が並べてある。
他に物は少なく、サッパリとしている。
 2人が座って、私にも着席を促す。
私が座ると、それを合図に会話が始まった。
「ねーねー、名前なんて言うの?」
 短髪の少女の口から八重歯が覗く。
「あ......私の名前は、鏡 小鳥っていいます」
「小鳥ちゃんかぁ。そんなにかしこまらなくていいよ。ボクは神代 大牙。大きい牙って書いて大牙だよ」
「2回目になるけど、私は野中 いちごだよ。これから一緒に住むことになるわけだけど、よろしくね」
 苗字がどちらも、叔母さんと一致しないから、叔母さんの子供ではないみたいだ。
 いちごちゃんが続ける。
「もう1人楪 海月ってコがいるけど、まだ学校ね」
「ボクお茶入れて来るね」
 大牙が席を外し、更に奥の部屋に向かう。
「お、お構いなくぅ......」
声は小さ過ぎて届かなかったみたいだ。
「まま、ちょっと待ってようよ」
苦笑いしながら、いちごちゃんが言う。
 しばらくすると奥から声がする。
「ティーパックどこだっけー?」
「えぇ?いつもの場所になーいー?」
 そう言って、いちごちゃんまで駆けて行ってしまった。
 いちごちゃんが開け放した扉から覗くと、中は台所だった。
 いくつかの食器棚と、シンク。背の低い棚の上には、ビニール袋に入った菓子類が無造作に置いてある。先程の部屋とは違って、物がとっ散らかっていた。
 そんな部屋の中で、2人は調味料の棚を漁っているみたいだ。
 そんな所にティーパック入れるだろうか?
「あの......こっちのビニール袋とかの方が、まだありそうじゃない?」
「「やっぱそっちか」」
 2人が声を揃えて言う。
 そろそろ察しがついてきたが、おそらく2人とも、はなからありかを知らないのだろう。
 入り口で立ったまま見ていると、尋常じゃない速度で散らかっていく。
 ビニールがガサガサ鳴りながら宙を舞い、いくつかの菓子パンが床を転がる。
もはやわざとではなかろうか。
 ふと、背中に圧力を感じて振り返ると、後ろに長身の女の子が立っていた。
長い髪に、金属のフレームの眼鏡。
その目は微動だにしないが、確かに怒りの色が窺える。
「何考えてんですか!」
 2人が固まる。
私自身も、その細い体から発せられたとは思えないドスの効いた声に、肩が跳ね、背中に変な汗が伝う。
「えっと......」
「これは......」
 2人はそれ以上言葉が出てこないようで、顔を見合わせて口をパクパクさせている。
「また懲りもせずに散らかして、しかも客人を前にして!」
 いちごちゃんが恐る恐る口を開く。
「てぃーぱっくぅ......」
 眼鏡の位置を直して、呆れたようなトーンで言う。
「ティーパックなら、今朝なくなったって言ったじゃないですか......。例え有ったにしても、あなたたち火使うの禁止されてるでしょう」
「それは......まぁ......」
「はい......」
 3人目、おそらく海月......さんが、私に向き直る。
「お見苦しいところを......。2人から、紹介はあったと思いますが楪 海月です」
「あ......はぁ......よろしく、お願いします」
 想定外の出来事が重なり、結構疲労困憊。
渡された簡易的な地図を回しながら、何とか叔母の家の前まで着いた。
 クリーム色の外壁で、白い観音開きの洋風なドアがつけられている。
そして、何て言うか大きい。あたりに林立しているビルとは違って、横に広い感じだ。少し合宿場の様な雰囲気をしている。
「これに1人で住んでんの......」
 もしかして、お金持ちなのかもと思い、少し神妙に近付き、ドアの横のチャイムを鳴らす。
 ドアには、曇りガラスがはめられていて、詳細な様子は分からないが、すぐに騒がしい足音が響いてくる。
 階段を下りている?
そんなことをぼんやりと考えていると、内側から勢いよくドアが開かれた。危うくぶつかるところだった。
 そして、押し開かれた扉から覗くのは、あの時とは色の違うツインテールに、あの時と変わらない、まだ幼さの残る顔だった。
「初めまして、わたしは......」
「いちごさん......ですよね?」
 少女の表情が固まる。
「どこかで......あった......?」
「さっき、線路で......」
「えぇ!?......何で覚えてるの!?」
「何でって......体質?」
 そこについては、私も分からない。あの世界の出来事は記憶出来ないのが普通みたいなのだ。
 少女がすっかり考える人のポーズになってしまう。
そろそろ入りたいのだけれど......。
 そんな少女の頭の上に、もう1つの頭が乗る。短めの髪に、朗らかな顔の、こちらも女の子だ。
「やめて!背縮む!」
 その言葉を無視して、後ろから現れたもう1人の少女は、顎でつむじをグリグリしながら喋り出す。
「新入りさんでしょぉ。さっちーが今日来るって言ってたし」
「あ、はい。......多分、そうです」
「さっちー今買い物中だからさ、中で待ってなよ」
 その言葉と同時に、家の中に招かれた。
 中に上がると、すぐに右側の部屋に通された。
 部屋の中央には、木製のテーブル。その周りには、4つの椅子が並べてある。
他に物は少なく、サッパリとしている。
 2人が座って、私にも着席を促す。
私が座ると、それを合図に会話が始まった。
「ねーねー、名前なんて言うの?」
 短髪の少女の口から八重歯が覗く。
「あ......私の名前は、鏡 小鳥っていいます」
「小鳥ちゃんかぁ。そんなにかしこまらなくていいよ。ボクは神代 大牙。大きい牙って書いて大牙だよ」
「2回目になるけど、私は野中 いちごだよ。これから一緒に住むことになるわけだけど、よろしくね」
 苗字がどちらも、叔母さんと一致しないから、叔母さんの子供ではないみたいだ。
 いちごちゃんが続ける。
「もう1人楪 海月ってコがいるけど、まだ学校ね」
「ボクお茶入れて来るね」
 大牙が席を外し、更に奥の部屋に向かう。
「お、お構いなくぅ......」
声は小さ過ぎて届かなかったみたいだ。
「まま、ちょっと待ってようよ」
苦笑いしながら、いちごちゃんが言う。
 しばらくすると奥から声がする。
「ティーパックどこだっけー?」
「えぇ?いつもの場所になーいー?」
 そう言って、いちごちゃんまで駆けて行ってしまった。
 いちごちゃんが開け放した扉から覗くと、中は台所だった。
 いくつかの食器棚と、シンク。背の低い棚の上には、ビニール袋に入った菓子類が無造作に置いてある。先程の部屋とは違って、物がとっ散らかっていた。
 そんな部屋の中で、2人は調味料の棚を漁っているみたいだ。
 そんな所にティーパック入れるだろうか?
「あの......こっちのビニール袋とかの方が、まだありそうじゃない?」
「「やっぱそっちか」」
 2人が声を揃えて言う。
 そろそろ察しがついてきたが、おそらく2人とも、はなからありかを知らないのだろう。
 入り口で立ったまま見ていると、尋常じゃない速度で散らかっていく。
 ビニールがガサガサ鳴りながら宙を舞い、いくつかの菓子パンが床を転がる。
もはやわざとではなかろうか。
 ふと、背中に圧力を感じて振り返ると、後ろに長身の女の子が立っていた。
長い髪に、金属のフレームの眼鏡。
その目は微動だにしないが、確かに怒りの色が窺える。
「何考えてんですか!」
 2人が固まる。
私自身も、その細い体から発せられたとは思えないドスの効いた声に、肩が跳ね、背中に変な汗が伝う。
「えっと......」
「これは......」
 2人はそれ以上言葉が出てこないようで、顔を見合わせて口をパクパクさせている。
「また懲りもせずに散らかして、しかも客人を前にして!」
 いちごちゃんが恐る恐る口を開く。
「てぃーぱっくぅ......」
 眼鏡の位置を直して、呆れたようなトーンで言う。
「ティーパックなら、今朝なくなったって言ったじゃないですか......。例え有ったにしても、あなたたち火使うの禁止されてるでしょう」
「それは......まぁ......」
「はい......」
 3人目、おそらく海月......さんが、私に向き直る。
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「あ......はぁ......よろしく、お願いします」
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