牧之原智花は人を殺さない

もやもや

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半年間は人間の魂、または寿命はとってこなくていい。とにかくアステリアがどのような国なのか、どのような文化、どんな人間たちが住んでいるかなどを把握してくれ。クリステルに資料をまとめさせたものを届けるが、自分の目で見たほうがいいだろう」
「熊野さん。給料はどうなってるの」
「給料に関しては日本にいたときと変わらないと思ってくれ。違ったな。ちょっと待ってくれ」
 熊野はスーツの上着にしまってあった四つ折りにされてある紙を取り出し、読み上げた。
「赴任から半年間の間は赴任手当などを含めて日本円で給料三十万円が支給される。またアステリアでは日本円は使われていないため、一旦死神界に戻ってくること。そこで給料を配布する。なお、一か月に一度死神界に戻ってきた日に限り、日本への外出を許可する。また半年間を過ぎた場合、日本にいたときと同じ成果給となる。それとこれは一ヶ月分の生活費だ。アステリアで使える金、金貨日本円だと大体二十万円ほどだ」
「半年間は何もしなくてもいい上に、お金も貰えるなんてラッキーだね智花」
 毘沙門天が耳元でささやく。
「……そんな簡単なもんじゃないと思う」
 でも、考え方によっては楽かもしれない、六か月間準備期間があるのは嬉しいのは確か。
熊野の隣にいる事務官が熊野に話しかけ何かを渡す。
「忘れてた。これを渡しておこう」
 熊野は智花に一本のペンを手渡した。ボールペンやシャーペンなどとは違い、何世代も前の羽ペンだった。





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