牧之原智花は人を殺さない

もやもや

8

文化レベル、教育レベル、国のシステム、国民性、経済や政治状況、電機はあるのかないのか、現在の日本と比べて生活レベルは高いのか低いのかなど。
 智花は様々なことを熊野にしつこく問い詰めたが、「行けば分かる。三日後の午前十時、また死神界へ来い」の一言で退出させられた。
 
アパートに戻った智花は何を持っていくべきか考えていた。それとあの事件を引き起こしてから熊野は智花にどこか腫れ物に触るかのような扱いだった。

「体のいい左遷みたいなものか……」
 寝転がっていた身体を起こし、テーブルに置いてあるメロンパンをかじる。ほんのりと甘いメロンの香りと固い表面と中身のふわふわしたパン生地からあふれ出る、カスタードクリーム。

「これを食べることができるのも後数日かぁ」
 ぼんやりとしながら智花はつぶやき、大きくため息をついた。
「まあしょうがないよね。辞令を受けるのは死神としての義務だし」
 枕の上でお腹を出して眠っている毘沙門天を起こす。毘沙門天はまだ眠そうな声を出しながら「おやつの時間?」と尋ねる。
「それもあるけど、今日はあなたに言わないといけないことがあります」






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