幸せの鮮血

けん玉マスター

9話 フェアリーテール

かなり久しぶりの投稿なので読み返し推奨です。




タイアリア帝国王族にはおじいちゃんの代から伝えていこうというおとぎ話があります。

かつて…邪神に成り果てた一人の少女を人間から守り抜こうとした神がいました。
その神は万物神。
その万物神と人間、魔族、魔神の戦争。

その戦争は私が生まれてくる8年前。
私が生まれた時にはもう元通りだったよ。
あ、続きを話すね。

邪神を殺そうと人間側にはピルーク王国が召喚した勇者がいました。
その勇者を召喚したのは創造神。
人間陣営のリーダー的存在です。
でも召喚した40人の勇者はこの時すでに4人にまで減ってたの。
その元凶が闇の勇者ユウ・トーヤマ。
…後の英雄です。
闇の勇者は4人を除く勇者全員を抹殺しました。
そして彼を除く3人のうち1人は敵側に寝返りました。
彼に復讐するために。
彼は万物神との戦争の時は同じ目的の勇者と手を組んでおり、協力して戦争に参加しました。
魔神と共に。
そして迫り来る神々との戦いを制し、万物神の前に立ったのは闇の勇者…いいえ、英雄のユウ・トーヤマです。
そして彼は万物神との一騎打ちに身を投じたのです。
この一騎打ちは後に「世界樹の決闘」と名付けられました。
こうして万物神との一騎打ちを彼は制し、魔神の協力の元見事万物神、邪神を討ち滅ぼしたのです。





「…と、ここまでがこの世界に普及されたおとぎ話。」

「…へぇ…」

「みーんなこれが全部本当にあった事だなんて知らないの。」

「…え?」

「その後万物神になった魔神が干渉魔法で全世界の人間の記憶をコントロールして全て作り話にしたの。これが本当にあった事だって知ってるのは王族とユウ・トーヤマの関係者だけ…。」

「へぇ…そんな話があるのか…。」
(て言うかおばさんマジか…怖すぎだろ。記憶をコントロールって…。)

「それで?その話を俺にしたのはなんでだ?」

「分かってるくせに。サチトくんはさっきトーヤマって言ったよね?」

「…」

「英雄ユウ・トーヤマと同じトーヤマ。関係がないとは思えないの。」

「ふむ…たまたま同じだって可能性もあるぞ?」

「そんなわけないよ。トーヤマなんてラストネーム…この世界じゃ普通はありえないよ。勇者様のラストネームもコミヤって言うこの世界じゃ有り得ない名前だもん。」

「…まあどっちにしろ言い逃れできるなんて思っちゃいないよ。確かに俺のラストネームはトーヤマだ。そんでもって英雄ユウ・トーヤマは俺の親父だよ。今まで隠してたけどな。別にお前にバレたところで言いふらされるとは思ってないしな。」

「そ、そんな事しないよ!」

「だから思ってないって。まああんまり知られたくはなかったけどな。」

「サチトくん…。」

「それを知ったお前はどうする?確かに親父は英雄かもしれない。でも親父が万物神と戦った本当の理由…シャンザ…お前は知ってるのか?」

「…え?」

「おとぎ話の通り親父は勇者を虐殺した人殺し・・・だ。前任じゃない。万物神と戦った本当の理由は…母さんの為だ。」

「…」

「…随分と人間側には都合よく改変されてるらしいなそのおとぎ話はよぉ。」

「そうみたい…。」

「ま、俺のことをどう思おうがどうでもいい。」

「…どうでも良くないよ。サチトくん…。私はサチトくんのことを悪人だとは思わない。」

「…」

「サチトくんはいつでも私のことを守ってくれるじゃない?」

「…」

「だからサチトくんは…いい人だよ。」

「そうか…。」

「私から聞くよ…サチトくんは…悪い人?」

シャンザの質問にサチトは静かに笑う。



「…シャンザが思うほど善人じゃないよ。俺は。」







ちょい短めです〜。
すいません。

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コメント

  • イルネス

    二人の関係はどうなるの?
    ワクワク!

    1
  • かつあん

    見るのだいぶ遅れてすみません!
    いやぁ〜久しぶりですねぇ〜。まあこれからサチトがどうなっていくのか、楽しみですね!

    1
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