異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
閑話 アリスの絵本 前編
私はアリス。
お母さんと離れ離れになって今はお母さんの知り合いというおばさんの所に居させてもらってます。
一年ほど経って、元々住んでいたお家からは何も持って来てはいけないと言われていたけど、内緒で、一つだけ持ってきた絵本。それを持っている事がバレてしまいました。けれど、住まわせてもらっている私は何も言えませんでした。
おばさんはとっても怒って、私はしばらく――気を失うまでご飯が貰えませんでした。でも、今となってはお母さんとの唯一の思い出であるこの絵本を燃やされなかっただけ良かったと思います。
私が目を覚ますとおばさんは驚くほど目に見えて優しくなっていました。絵本も返してもらいました。
前みたいにおばさんがイライラしているからと、理不尽に叩かれる事も無視される事も少なくなったし……。
そんなある日、おばさんはぬいぐるみを買ってきてくれました。何でも、魔法のことをお勉強できる学園に私が入学出来る事になったからそのお祝いだそうです。魔法のお勉強をするための本も買ってもらえました。
手書きで、何年も前の本で、ボロボロで、貼られたままの値札も捨て値同然だったし、内容も教科書ではなく、哲学書の様なものだったけど、私の知らない事を知れて楽しかった……それを読み終われば、今度はちゃんとした基本的魔法の教科書をもらえました。私が本を読んでいるときは私の相手をしなくても良くて楽だからだそうです。
本を読んでいる内に実際に試したくなって来ました。本の最後の方に二、三ページだけあった精霊魔法、これなら失敗しても怒られないだろうと思って私の唯一の話相手であるくまさんに向かって祈りました。
「私を助けて下さい」
本当は失敗する筈だった。いざ祈ろうとすると、こんな曖昧な事しか祈れない私に精霊さんが歩み寄ってくれるはずない。そう思っていましたが、魔法は成功してしまった。
具体的な契約でもなく、精霊に対する対価も用意せず、ただ祈っただけで成功してしまったのです。
くまさんは目を丸くしているであろう私の頭をポンポンと叩き、ニコッと笑った気がしました。
今日は魔法学園の入学試験です! 学園に来たらとっても人が多くて驚きました。更に試験は筆記ではなく、実際に戦う実戦でした。
戦うのはくまさんに任せっきりでしたが、くまさんはとっても強くて私は勝ち進む事が出来て、Sクラスという凄いクラスに入る事になりました。
クラスには数十人は入りそうな大きさだったけど、生徒は私含めてたったの九人でした。簡単に自己紹介が行われましたが、みんな属性魔法を使える様で、凄いと思いました。そのうち一人は全属性だと言うのです。その人……レト君は私に精霊魔法が使えて羨ましいと言いましたが、私にはそんな魔法は使えなくて、ただ、くまさんに頑張ってもらっているだけだという事をちゃんと分かってくれているのでしょうか?
自己紹介の後、なんでかどういう訳か、また、戦う事になりました。
私の学園生活は上手くいくのでしょうか?
お母さんと離れ離れになって今はお母さんの知り合いというおばさんの所に居させてもらってます。
一年ほど経って、元々住んでいたお家からは何も持って来てはいけないと言われていたけど、内緒で、一つだけ持ってきた絵本。それを持っている事がバレてしまいました。けれど、住まわせてもらっている私は何も言えませんでした。
おばさんはとっても怒って、私はしばらく――気を失うまでご飯が貰えませんでした。でも、今となってはお母さんとの唯一の思い出であるこの絵本を燃やされなかっただけ良かったと思います。
私が目を覚ますとおばさんは驚くほど目に見えて優しくなっていました。絵本も返してもらいました。
前みたいにおばさんがイライラしているからと、理不尽に叩かれる事も無視される事も少なくなったし……。
そんなある日、おばさんはぬいぐるみを買ってきてくれました。何でも、魔法のことをお勉強できる学園に私が入学出来る事になったからそのお祝いだそうです。魔法のお勉強をするための本も買ってもらえました。
手書きで、何年も前の本で、ボロボロで、貼られたままの値札も捨て値同然だったし、内容も教科書ではなく、哲学書の様なものだったけど、私の知らない事を知れて楽しかった……それを読み終われば、今度はちゃんとした基本的魔法の教科書をもらえました。私が本を読んでいるときは私の相手をしなくても良くて楽だからだそうです。
本を読んでいる内に実際に試したくなって来ました。本の最後の方に二、三ページだけあった精霊魔法、これなら失敗しても怒られないだろうと思って私の唯一の話相手であるくまさんに向かって祈りました。
「私を助けて下さい」
本当は失敗する筈だった。いざ祈ろうとすると、こんな曖昧な事しか祈れない私に精霊さんが歩み寄ってくれるはずない。そう思っていましたが、魔法は成功してしまった。
具体的な契約でもなく、精霊に対する対価も用意せず、ただ祈っただけで成功してしまったのです。
くまさんは目を丸くしているであろう私の頭をポンポンと叩き、ニコッと笑った気がしました。
今日は魔法学園の入学試験です! 学園に来たらとっても人が多くて驚きました。更に試験は筆記ではなく、実際に戦う実戦でした。
戦うのはくまさんに任せっきりでしたが、くまさんはとっても強くて私は勝ち進む事が出来て、Sクラスという凄いクラスに入る事になりました。
クラスには数十人は入りそうな大きさだったけど、生徒は私含めてたったの九人でした。簡単に自己紹介が行われましたが、みんな属性魔法を使える様で、凄いと思いました。そのうち一人は全属性だと言うのです。その人……レト君は私に精霊魔法が使えて羨ましいと言いましたが、私にはそんな魔法は使えなくて、ただ、くまさんに頑張ってもらっているだけだという事をちゃんと分かってくれているのでしょうか?
自己紹介の後、なんでかどういう訳か、また、戦う事になりました。
私の学園生活は上手くいくのでしょうか?
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