異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!

八百森 舞人

サバイバル学習、ニュークス編! ニ夜目

 「暇だね」
 「だねー」
 俺の後ろでロイルが呟き、アリスが続く。現在の時刻はまだ太陽が上に動きつつあるので十一時といった所だろう。俺は小屋を作るときに余った木材を使って作業台と椅子を組み立て、そこで収集した植物から薬を作っている。かれこれ二時間程だろうか? 始めてみると楽しく、色々な種類、タイプの薬を作った。これは完成した直後にアイテムボックスに収納して次の調合を、といった具合だ。


 特にやること――やらなければいけないのか様なことも無く、大樹を見える範囲での自由行動にしようと、三人で朝食の後に決めたのだ。


 しかし、アリスとロイルは数十分程散策に行った後、帰って来て飽きたと言い、それ以来数分に一度「暇」と呟くのだが、作業している俺の後ろで座っているのだ。集中力がゴリゴリ削れるので、あと一本だけ作って終わりにしようと思った矢先、水の分量を間違え、ポーションになるはずの薬がドロドロした液体と化した。


 「……」


 「ん? レト君、それはなに? 私が見たこと無い薬? というか物体?」


 アリスが栗色の純粋な目と目が合う。……違うんだアリス。君達二人の所為で失敗したけど、これは薬。
何かしらの物体じゃ無いんだ。
 俺は何かしら蠢くドロドロを作り出した事を否定し、これは薬、薬なんだと自分に言い聞かせアイテムボックスに収納する。


 「さ、さて。何しようかなー……」


 「退屈というか……折角だし僕らに属性魔法を教えてよ」


 と、ロイルが言う。


 「うーん……こればっかりは適性だからな。自分で試して無理だったら俺からはなんとも言えない」


 魔力操作を覚えたら話は別なのだが。


 「え!? じゃあ私は精霊魔法しか使えないってことなの?」


 「俺には分かりかねるが、アリスがそう言うならそうじゃ無いのか?」


 自分の事は自分が一番分かってるだろう、物凄く残念そうな顔をして項垂れる。が、道がない訳じゃない。


 「そうだな……じゃあ意図的に魔力を操作する、というのを意識してみたらどうだ?」


 普通、魔法はイメージと詠唱さえあれば自動的にMPを消費し、発動できる。
 魔力操作はその発動まで全てのプロセスで効率的に魔力を移動して消費を抑えるという物だが、移動という面で見れば適性がない属性でも魔力を移動させ発動できる……筈だ。


 「魔力を操作? それは僕にも出来るの?」


 「まあ、出来るんじゃないのか? こればかりは感覚的な物だから教えるのは難しそうだが」


 「そっか……うん、それで沢山の魔法が使えるようになるならやってみるよ。ありがとう、何かお礼をしたいな」


 アリスも同様に「やってみる」と、頷いて目を閉じる。


 「お礼か……そうだな……剣術とか無理か?」


 「剣術? ……良いけど、そんな事でいいの?」


 俺の要求が意外だったのかロイルがパチパチと瞬きをする。


 「俺が魔法の事を教えたから今度は俺に剣術を教えてくれ。別に奥義とかを知りたい訳じゃ無くて、普通の形とかで頼む」


 剣を握った事すらろくに無い俺に高等テクニックは扱える筈が無い。




 それから日が傾くまで俺は木を削った木刀で素振り、アリスとロイルは魔力操作の練習をした。




















  
 ズシン、ズシンという足音と木々が薙ぎ倒される音が聞こえる。


 「っ……来たか」


 昨日より音は大きい。俺は外に出て跳躍し、屋根に乗る。
 周囲は日が沈んでから一、ニ時間程経過しているため見えなかったが、次第に目が慣れていく。
 目線の先には小さな山のような影が左右に揺れているのが見える。ニュークスだ。


 「速いな……」


 その歩はゆっくりと、だが確実にこちらに近づいていた。
 

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