異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!

八百森 舞人

食事中の討論会は、よくある事だろうか!

 その夜、クラス棟一階の食堂には先生を除くクラスメイト全員が再び集まって、晩御飯を食べていた。
 一階は二階の教室や廊下とは異なり、ホテルのような雰囲気が漂っている。食堂というよりはレストランに近いかもしれない。


 昼には和樹とロイル、そしてハイデ姉妹の四人だけだったそうだ。俺も昼食を食べる予定だったが、部屋に戻ったら急に眠気に襲われ、そのまま寝てしまっていたのだ。


 あ、ハイデ姉妹が無言のままで去って行く。俺より先に来て食べていた様だ。それに続き、キューテも「食後の運動に一走りしてくる!」と、出て行く。


 先程の情報を訂正。全員ではなく、六名だ。


 自分の席に用意されているトレーにはMPの回復ポーションも付いていた。まさに至れり尽くせりだ。


 「やはり僕の様に魔法は高貴な……一つ一つが完璧な物であるべきだとは思わないかね?」


 「ふん! これだから傲慢な男は嫌ですの。相手を圧倒するには量が一番ですの!」


 現在ドラヴィスとレミルが言い争いをしている。簡単に説明するならば、量か質かの言い争いだ。


 昼の試合でも互いに風魔法を使い、ドラヴィスは質、レミルは量で戦っていた。
 結果はドラヴィスの勝利だったが、両者互角な戦いだったらしい。やっぱりちゃんと見ておくべきだったかなぁ。


 「ふむ……ではロイル君っ! 君はどう思うのかね?」


 と、ドラヴィスがロイルを指差す。


 「え!? ぼ、僕? えっと……回復位しか出来ないからわかんないや……ごめん」


 ロイルは戸惑って答えようとするが、自分が回復専門だったことを思いだし、回答パス。


 「じゃ、アリス君!」


 「ふぇっ!?」


 急に指名されたアリスは苦々しい顔で飲んでいたポーションから顔を上げ、慌てて答えようとするも、自分が精霊魔法専門だった事を思いだし、回答パス。


 パスすると当然次に回って来る物で。


 「じゃあレト君! 君はどう思う?」


 案の定俺に回ってきた。


 「はぁ……俺か? 悪いが俺にも答え難い問題だぞ? 偏りが無いように仕込まれてるからな」


 「レト君ならこの戦争に参加できると思ったのだが……」


 時と場合で使い分けているだけに、余程の事が無いなら手札は見せない方がいいし、単純に使いやすいから同じ魔法を使っているだけで……てか、戦争って。 


 「次は俺か?」


 何人かの視線を浴びて、指名される前に和樹が口を開く。
 そうだな――と前置きを挟んでから、


 「量か質かと言われれば、やっぱり質じゃ無いのか?」


 「な、何でですの! ちゃんと理由を述べなさいな!」


 量派のレミルは和樹に問う。


 「いくら相手にダメージを与えても決め手が無いと勝てないから……とか」


 和樹は遠い目で答える。多分昼の試合の事だろう。やっぱりちゃんと見ておくべきだったかなぁ。
 その返事に試合で負けたレミルは図星だったのか、見るからに顔を赤らめて無言のまま自分の部屋に戻って行く。


 「ははっ……僕の勝ちみたいだね。でも、和樹君。今のは一淑女に対して失礼だったのでは?」


 「そうか? 俺は質問に答えただけだが?」


 ドラヴィスは残念そうに乾いた笑みを浮かべる。


 「彼女にもプライドというものがあるから、少し言い方がキツかったのかも知れないな」


 「そうか……」


 和樹も申し訳無さそうに料理を口に運ぶ。その様子にふと疑問に思い、俺は口を開く。


 「和樹ってさ、MPポーション嫌いなのか?」


 と、俺が聞くや否やスープを口に運んでいた手がピタリと止まる。目の端にアリスが同じ様に硬直しているのだから間違いないだろう。


 「き、嫌いじゃ無いですよ?」


 うん。お前って嘘つくとき敬語になるよな。安心した。


 「嫌いなら俺にくれよ。明日の試合の相手に有利な事ではあるから、無理強いはしないけど……」


 次の瞬間、和樹とアリスがシンクロした。
 ばっと瓶に手を伸ばし、俺に向けようとして、躊躇う。


 「ん? アリスもくれるのか?」


 今気づいたふりをしてアリスに話しかける。


 「あ、いや……でも、もう半分飲んじゃって……」


 やっぱりか。そんな事だろうと思った。


 「俺は量は気にしないから大丈夫だ」


 俺は中途半端な距離で止まっていたポーションの小瓶とコルクを取ってアイテムボックスにしまう。
 アリスは何か言いたげだったが、「うん、やっぱりいいや」と、うなずいているので納得してくれた様だ。


 「じゃあ俺のもやるよ。今の俺は魔法と言っても専門じゃないからあまり使わないだろうし」


 「ありがとな。じゃ、俺はもう寝るから。おやすみー」


 と、五人に挨拶してから部屋に戻る。










 部屋に戻った俺は、自分のステータスを開く。


 「『ステータス』」


 ――――――――――


 姓:アルトレア 名:レト 年齢 13


 HP 3000/3000 MP 4500/4500


 体力 650
 筋力 800
 魔力 1800
 敏捷 1180
 技能 1000
 物理耐性 960
 魔法耐性 1400


 スキル  自動HP回復(中)・自動MP回復(中)・痛覚軽減(大)


 固有魔法 魔力操作(使用魔力軽減(特大)・パワー・レジスト)・強欲の書・討伐の書


 称号 転生者


 ――――――――――


 久し振りに見た気がする。が、明らかに大きく変わっている。


 「『討伐の書』」


 俺はやはりかと、笑う。


 ――――――――――


 (新討伐のみ表示)    (討伐ボーナス)


 オーク         HP・MP上昇(小)
 ファイアー・オーク   筋力上昇(中)
 ウォーター・オーク   魔力上昇(中)
 アース・オーク     物理耐性上昇(中)
 エア・オーク      敏捷上昇(中)
 ライト・オーク     魔法耐性上昇(中)
 ダーク・オーク     魔法耐性上昇(中)
 ツインヘッド・オーク  HP・MP上昇(中)
 トリプルヘッド・オーク HP・MP上昇(中)


 ――――――――――


 だいぶ前の事に思えるが、あれからステータスを確認してなかったからな。やはり、討伐の書の影響は大きいと言えるだろう。


 さて……自分の事は確認した。


 次は強欲の書……『どうして和樹がこの世界ここに居るか』だ。


 ――――――――――


 権限レベルが足りません。


 ――――――――――


 「はぁ……またか」


 権限レベル。


 文字通りに、俺が調べられる範囲には制限がある。これは神様の言っていた事に当てはまるだろう。


 一番最初にこの文字を見たのはタシューさんのステータスを調べようとした時。
 地図や近くにいる人や魔物の位置等は調べられる。逆に秘密にされている情報は無理。


 俺はあきらめて、ベッドに寝転び、寝ることにした。


 入学初日からふて寝とは、この学園生活は一筋縄には終わらなそうだ。

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