異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
入学したけど、知ってる奴が居た!
「レト・アルトレアです。気軽にレトって呼んでくれると嬉しいです」
パチパチと教室に疎らな拍手が響く。
現在登校初日。自己紹介は無難に終えたと言うべきだろう。
国立魔法学園ヘヴィール。計十五棟の寮兼教室棟を含む膨大な敷地と数々の大魔法使い、英雄を輩出する名門。剣術学園と並び、二大学園と呼ばれるが、文字通りスケールが違ってくる。大きな魔法を使うには大きな土地が必要とのことだ。
SクラスからDクラスまで西に第一学年、北に第二学年、東に第三学年の教室棟がある。
現在、俺含め九名のクラスメイトと担任の自己紹介は終わり、ホームルームが続いていた。
「えー以上で下の階の寮に関するルール、マナーの説明は終わりだ。何か質問はあるか?」
紺色のポニーテールと凛とした顔立ちの担任――フェーン先生は言う。正直長くて覚えられないが最初に配られたプリントの内容を復唱していた様なので後で確認すれば問題は無いだろう。
「あ、あの……」
おずおずと手を挙げたのは、栗色の髪と目に抱える熊のぬいぐるみ……小柄な体型もあり、小動物を彷彿とさせる少女だった。
「アリス・ロット。何か質問か?」
「え、えと……あの……」
この少女、なかなか引っ込み思案な性格らしく、先ほどの自己紹介でも数秒間あわてふためき、結局ボソッと言って座った為、名前一つ聞けなかったのだ。
「ふむ、トイレならこの教室を出て左手だぞ?」
「そ、そうじゃなくって……」
流石に俺でもそのくらいは分かる。階段を上がって来て教室まで来るのに必ず前を通るからな。で、何を言いたいんだ?
「こ、ここで暮らすって……その、い、異性と一つ屋根の下で暮らすって事に……」
あ……この子純粋だった……。俺含めポカーンとしているのが四名、笑いを堪えているのが二名、純粋なのがアリス含め三名、ポーカーフェイスで顔は涼しげだが教壇の裏で拳をプルプルさせているのが一名。
先生、手は見えないと思ってるようですけど端からじゃその顔は意味ないですよ?
「そうだな……そうなる。だが、入学希望者には事前に資料が送られているはず、この学園に入った時点で、それは了承してもらおう。このクラスは人数が少ないからまだましだろう。最も人数が多いDクラスは百人程居た筈だ」
「は、はい……」
赤面なのは箱入り娘という事を意味するのだろうか? 他の純粋達もほとんどが女の子だ。
「じゃあ続けるぞ。次は授業に関してだ。基本的にはSクラスには授業というものが無い。何故ならここに入った時点でそこらの魔法使い、剣士より秀でているからだ。それは才能というものだ。が、才能とは努力に劣る。全てがそうとは言わないが、宝石の原石も磨かねば磨いただけのそこらの小石にも負けるだろう……」
そして……と、続ける。
「力の有無ではなく、才能有無がここでの入学基準だ。君たちはSクラス。最高の原石だ。原石には一つ一つそれぞれの磨き方がある。『最高の原石には最高の研磨を』それがこのSクラスの方針だそうだ。ま、幸い私という指導者がいて、競い合える好敵手がいて、自由に使える場所がある。後は……まあ、勝手にしろ。以上だ」
と、言い終わると、ふぅーと、息を吐いて教室から出ていく。
唖然とし、声も出ぬまま数秒後。
――隣の職員室にいるからな――
「うぉあ!?」
大音量の書き置きならぬ、叫び置きが届いた。驚いて叫んだのは俺だけでは無さそうでほっとする。
そこから更に数分後。
『……』
沈黙が流れる。
声を出そうにも出せない状況が発生中だ。
こんなときは……。
俺は椅子を少し引いて体を捻り、後ろを見てこう言った。
「自己紹介……もう一回しないか?」
と……。
「俺はレト・アルトレアだ。基本的な属性魔法を使う。ここに来るまでは冒険者をやっていた。よろしく」
先生という目上の人が居なくなったからか、先程までの緊張した空気とは打って変わり、和やかな空気になったと思う。
俺の次は緑髪の少年。
「僕はロイル・テリス。魔法は風と土。あと光属性も使えます。父が陛下の親衛隊長を勤めているので、頑張って父に追い付きたいと思っています。よろしくお願いします」
気は弱そうだが優しそうな顔立ちだ。
その次は赤毛の少女。
「レミル・トランドですの。誇り高きトランド家の名に恥じないよう、ここに入学しましたの。風、水魔法は誰にも負けない自信がありますの。よろしくお願い致しますの」
因みに髪型はツインドリルだ。金髪以外にもツインドリルってあるんだな……。
次は金髪……というよりは黄髪か? 日に焼けてスポーツ的な雰囲気の少女。
「あたしはキューテ・グレイス。風と土、あと無属性が得意だ。後、走るのが好きだ。以上だ」
疾走感溢れる……溢れすぎて、動いて無いのに走っている幻想が見えそうだ。
次は先程質問していた栗色の髪の少女。
「あ、アリス・ロット……です。普通の魔法は苦手だけど、精霊魔法が使えます。よろしく……お願いします」
精霊魔法が使えるのか! タシューさんが使えなかったから俺も使えない……教えてもらえなかった魔法だ。
次は金髪の青年。年は多分同じだろうが、背が高いからか年上に見える。
「僕はドラヴィス・コード。得意な魔法は火と風。君達と共に勉学に励むことができて光栄だよ。よろしく頼む」
キザタイプだな。扱いやす……いい友達になれそうだ。
次は姉妹か? 同じような薄い緑色の髪、目の色は朱色と空色で違うが……。
「私はアイン・ハイデ。マインの姉。得意な属性はマインが不得意な属性。よろしくお願い」
「私はマイン・ハイデ。アインの妹。得意な属性はアインが不得意な属性。よろしくお願い」
ちょっと、色々と分からないが仲が良い事は分かった。
そして最後。黒髪黒目の青年。
「どうも、俺は福田和樹。魔法はあまり得意ではありませんが一応火と光属性を使えます。よろしくお願いします」
俺はにっこりと心の中で叫んだ。
――何でお前が居るんだよ――と……。
パチパチと教室に疎らな拍手が響く。
現在登校初日。自己紹介は無難に終えたと言うべきだろう。
国立魔法学園ヘヴィール。計十五棟の寮兼教室棟を含む膨大な敷地と数々の大魔法使い、英雄を輩出する名門。剣術学園と並び、二大学園と呼ばれるが、文字通りスケールが違ってくる。大きな魔法を使うには大きな土地が必要とのことだ。
SクラスからDクラスまで西に第一学年、北に第二学年、東に第三学年の教室棟がある。
現在、俺含め九名のクラスメイトと担任の自己紹介は終わり、ホームルームが続いていた。
「えー以上で下の階の寮に関するルール、マナーの説明は終わりだ。何か質問はあるか?」
紺色のポニーテールと凛とした顔立ちの担任――フェーン先生は言う。正直長くて覚えられないが最初に配られたプリントの内容を復唱していた様なので後で確認すれば問題は無いだろう。
「あ、あの……」
おずおずと手を挙げたのは、栗色の髪と目に抱える熊のぬいぐるみ……小柄な体型もあり、小動物を彷彿とさせる少女だった。
「アリス・ロット。何か質問か?」
「え、えと……あの……」
この少女、なかなか引っ込み思案な性格らしく、先ほどの自己紹介でも数秒間あわてふためき、結局ボソッと言って座った為、名前一つ聞けなかったのだ。
「ふむ、トイレならこの教室を出て左手だぞ?」
「そ、そうじゃなくって……」
流石に俺でもそのくらいは分かる。階段を上がって来て教室まで来るのに必ず前を通るからな。で、何を言いたいんだ?
「こ、ここで暮らすって……その、い、異性と一つ屋根の下で暮らすって事に……」
あ……この子純粋だった……。俺含めポカーンとしているのが四名、笑いを堪えているのが二名、純粋なのがアリス含め三名、ポーカーフェイスで顔は涼しげだが教壇の裏で拳をプルプルさせているのが一名。
先生、手は見えないと思ってるようですけど端からじゃその顔は意味ないですよ?
「そうだな……そうなる。だが、入学希望者には事前に資料が送られているはず、この学園に入った時点で、それは了承してもらおう。このクラスは人数が少ないからまだましだろう。最も人数が多いDクラスは百人程居た筈だ」
「は、はい……」
赤面なのは箱入り娘という事を意味するのだろうか? 他の純粋達もほとんどが女の子だ。
「じゃあ続けるぞ。次は授業に関してだ。基本的にはSクラスには授業というものが無い。何故ならここに入った時点でそこらの魔法使い、剣士より秀でているからだ。それは才能というものだ。が、才能とは努力に劣る。全てがそうとは言わないが、宝石の原石も磨かねば磨いただけのそこらの小石にも負けるだろう……」
そして……と、続ける。
「力の有無ではなく、才能有無がここでの入学基準だ。君たちはSクラス。最高の原石だ。原石には一つ一つそれぞれの磨き方がある。『最高の原石には最高の研磨を』それがこのSクラスの方針だそうだ。ま、幸い私という指導者がいて、競い合える好敵手がいて、自由に使える場所がある。後は……まあ、勝手にしろ。以上だ」
と、言い終わると、ふぅーと、息を吐いて教室から出ていく。
唖然とし、声も出ぬまま数秒後。
――隣の職員室にいるからな――
「うぉあ!?」
大音量の書き置きならぬ、叫び置きが届いた。驚いて叫んだのは俺だけでは無さそうでほっとする。
そこから更に数分後。
『……』
沈黙が流れる。
声を出そうにも出せない状況が発生中だ。
こんなときは……。
俺は椅子を少し引いて体を捻り、後ろを見てこう言った。
「自己紹介……もう一回しないか?」
と……。
「俺はレト・アルトレアだ。基本的な属性魔法を使う。ここに来るまでは冒険者をやっていた。よろしく」
先生という目上の人が居なくなったからか、先程までの緊張した空気とは打って変わり、和やかな空気になったと思う。
俺の次は緑髪の少年。
「僕はロイル・テリス。魔法は風と土。あと光属性も使えます。父が陛下の親衛隊長を勤めているので、頑張って父に追い付きたいと思っています。よろしくお願いします」
気は弱そうだが優しそうな顔立ちだ。
その次は赤毛の少女。
「レミル・トランドですの。誇り高きトランド家の名に恥じないよう、ここに入学しましたの。風、水魔法は誰にも負けない自信がありますの。よろしくお願い致しますの」
因みに髪型はツインドリルだ。金髪以外にもツインドリルってあるんだな……。
次は金髪……というよりは黄髪か? 日に焼けてスポーツ的な雰囲気の少女。
「あたしはキューテ・グレイス。風と土、あと無属性が得意だ。後、走るのが好きだ。以上だ」
疾走感溢れる……溢れすぎて、動いて無いのに走っている幻想が見えそうだ。
次は先程質問していた栗色の髪の少女。
「あ、アリス・ロット……です。普通の魔法は苦手だけど、精霊魔法が使えます。よろしく……お願いします」
精霊魔法が使えるのか! タシューさんが使えなかったから俺も使えない……教えてもらえなかった魔法だ。
次は金髪の青年。年は多分同じだろうが、背が高いからか年上に見える。
「僕はドラヴィス・コード。得意な魔法は火と風。君達と共に勉学に励むことができて光栄だよ。よろしく頼む」
キザタイプだな。扱いやす……いい友達になれそうだ。
次は姉妹か? 同じような薄い緑色の髪、目の色は朱色と空色で違うが……。
「私はアイン・ハイデ。マインの姉。得意な属性はマインが不得意な属性。よろしくお願い」
「私はマイン・ハイデ。アインの妹。得意な属性はアインが不得意な属性。よろしくお願い」
ちょっと、色々と分からないが仲が良い事は分かった。
そして最後。黒髪黒目の青年。
「どうも、俺は福田和樹。魔法はあまり得意ではありませんが一応火と光属性を使えます。よろしくお願いします」
俺はにっこりと心の中で叫んだ。
――何でお前が居るんだよ――と……。
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