異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!

八百森 舞人

ランクアップするけど、試練って何!

 「オークの上位種、討伐して来ました。一応報告に来たんですけど、大丈夫でしたか?」


 ギルマスの部屋のソファーに座って言う。


 「ああ。それより……森にでも入ったか? 引っ掛かれたような擦り傷が見えるが、オークは草原にいたんじゃなかったのか?」


 まあ、草原で枝に引っ掛かるような事は無いため、当然の質問だ。
 俺は用意されていたお茶を飲んで、一息ついてから崖から落ちたこと――本当は故意だが、事故として話した――そこに上位オークの大群がいたこと、そこからオークがということを話した。




 「あそこって調査とかはしたことは無いんですか?」


 俺は質問した。


 「ああ。あの崖から下……盆地になっている所は『竜の足跡』と言われ、昔から近寄ってはいけない場所とされている。俺も俺のじいさまにキツく言われたもんさ。だが、皆が皆それに従う筈もなく、自ら志願して調査に行った奴は何人もいる。しかし、結果は案の定と言うべきか誰一人帰って来なかった」


 ガレッタさんの顔に影が落ちる。


 「そうですか……」


 「ま、もう過去の話だ。それよりオークの死体が重なっているのは仲間を踏み台によじ登ったって事なんだよな? お前の考えは」


 「ええ。確実……とは言えませんが、現場を見て何となく感じました。そしてあの崖はオークのような大きい体だと登れない筈ですが、一ヶ所に死体が積み重なっていました。俺も壁を登っていて思ったのですが、崖の中腹は風が吹き荒れていました。上からだと同じところに重なるのは難しいと思います。下からだと、仲間を伝って真っ直ぐ下へ落ちたと説明がつきます」


 何となく俺が思っていることを話した。
 上から集団で固まって落ちるのもアリだが知能が低いオークは落ちるのを怖がってそんな事はしないだろう。


 「と、なると、だなぁ」


 顎に手を当てて考え込む仕草をする。無精髭とよくマッチして絵になる姿になる。普段は強面だけに余計に絵になる。


 「なんですか?」


 「いや、なんでもねーさ。……そうだ、報酬を決めないとだな。何がいい? 普通のオーク退治じゃなく、上位の討伐。そして竜の足跡の探索と、結構な報酬を受け取れるぜ?」


 マジか……報酬……考えてなかったな。


 「報酬……ですか……そうですねー……」


 「別に遠慮しなくてもいいんだぜ?」


 遠慮……ん? 遠慮……はっ! シーナさんが言っていた遠慮せずにってこの事だったのか!? ならば、今欲しくて堪らないものを要求することにしよう。


 「なら、二つお願いします」


 「おお。どんとこい。俺に用意出来る物は用意してやる」


 よし、言質は貰った。


 「先ず、一つ目にオークの買い取り額を割り増ししてください」


 資金はいくらあっても困らない。


 「いいぜ」


 ガレッタさんが頷く。次が本題だ。


 「二つ目に……俺に武器を下さい」


 「ああ。分かった。……けどそんなので良いのか? てっきり、城と女でも要求されるのかと思ってたが」


 おお! あっさり了承してくれた……ん? 城と女?


 「俺にどんなイメージ持ってるんですか!? 城なんて要りませんよ! 女も……い、いりません!!」


 「一瞬迷ったな? 年頃だろ? ええ?」


 前のめりになって聞いてくる。


 「あ――はははあそうだよ年頃だよ……とりあえず話を戻して……」


 あ、あぶねぇー。心の声が出そうだった……。


 「ま、良いだろう、許してやろう」


 何をだよ!? 俺なんか許されなきゃいけない事でもしたか!? ……なんてお決まりのツッコミで心の平穏を取り戻す。


 「んで、お前は竜の足跡の調査をした訳だ。これは前代未聞だ。俺の贔屓じゃなく、ちゃんとした理由でランクを上げられる。まぁ、ちょっとした実戦試合と筆記試験があるが……ま、問題ないだろう」


 「ちょ、ちょっと待って下さい、試験って聞いてないんですけど?」


 びっくりしてお茶を吹きそうになる。


 「実戦は今日、ええーっと今が十一時だから……」


 ガレッタさんは掛け時計を見て時間を確認してから机の引き出しを引いて資料を取りだして……あれ? 今日?


 「え? 今日……ですか?」


 「ああ。今日の……三時でいいか」


 なんかあっさりと決まった。


 「いやいやいや、さっき言いませんでしたっけ? 俺、もうMPが少なくて魔法も使えないんですよ!?」


 「あ……ま、まあ殺されはしないから……多分」


 多分って……多分って。


 「一応聞きますけど筆記試験は……?」


 俺の問いに長く考え込むが、その答えは短い物だった。


 「明日」


 「はぁ……分かりましたよ。もう一度、詳しくお願いします」


 俺が何を言っても無駄な気がしたので、もう観念した。


 「筆記試験は一階の会議室に午前中に来てくれ。内容は教えられんが、常識が備わっているかの確認だから思ったことを書けば良いだろう……きっと」


 きっと!? ……きっと!?


 「実戦試合はどういう?」


 「前も言った気がするが、丁度Aランクの冒険者が来ていてな……そいつが相手をしてくれると思う。あ、そうそうAランク以上だと二つ名を貰えるんだよ。王様直々にな……」


 

「異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く