異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
街に帰ったけど、依頼は報酬を貰うまで!
オーク上位種の大群を討伐し、なんとか崖を登って来た俺は、報告のため、街に向かった。
途中でオークの死体が山にされて冒険者が近くに集まっているのが横目に入る。おそらく、素材や肉等の分配だろう。一瞬、さりげなく混ざろうかと思ったが、途中から入っても、横取り扱いされては堪らないので、無視して進む。
俺のMPは既に残り二割を切っている為、走りで。
正直、ステータスの影響で多少の運動――走る事等であって、戦闘ではない――ではあまり疲れないが、転生する前の運動不足の所為か精神的に疲れがでる。魔法をMPギリギリまで使い続ける方がまだ楽しい。
「ちょっと休憩するか」
少し息が切れて来たので、森の方に寄って行き、木陰に入る。
「『アイテムボックス』『強欲の書』」
左手にアイテムボックスから出した弁当を、右手に強欲の書を持って座り込む。
「魚サンドイッチ……旨いな」
女将さんに俺がサンドイッチが好きだと言った翌日からは弁当にサンドイッチが入っていた。
普通に旨いのだが、基本的に野菜とハムを中心とした具材の物しか食べて来なかったので、具材がハム、生姜焼き、ハム、と肉しか入っていない時は驚いた。
まあ、それも旨かったのだが……。
そして今日は魚サンドイッチ。茹でられている魚の切り身が少量のソースと共にパンに挟まっている。
「ふぅー、旨かった。ごちそうさまでした」
サッと食べ終わると、目を強欲の書へと戻す。
「『オークの上位種について』さっきの影ってやっぱり……あ、あった!」
====================
ハイドオーク――
闇に潜みしオーク。
基本的なステータスは通常のオークと大差ないものの、俊敏と特殊性に秀でており、影に潜む固有魔法、『シャドウ・ハイド』を使う。
影から出て来たところに光や火を当てると怯む。
ライトオークと同じく、弱点が大きい為に他のオークより素材の価値が低い。
====================
「はぁーマジかー」
俺は一気に脱力感を覚える。そして、やっぱり事前情報は大事な物だと痛感する。
距離を詰めたときに影が落ちて普通のオークに戻ったのも俺にじゃなく、光にビビった訳だ。
あのときの自分が恥ずかしい……。
俺からはもう逃げられないと悟ったようだな……的な事を思っていた気がする。ってか言ってた気もして来た……言ってないよな! さすがに。
冗談はさておき、昼飯を食べ終わった俺は引き続き、街に向かった。
「や! お帰り、レト君」
「どうもグラフィルさん。ただいま帰りました」
門に着くとグラフィルさんが話し掛けて来た。いつものようにニコニコしているが、今日は珍しく午前中だけ門の見張りらしく、街の見回りという名目で俺に着いてくる。
「そういえばさ、ガレっさんが朝……って言ってもレト君が狩りに出たあとに「レト見かけたら引き留めてくれ。部下が五月蝿くてよぉ」って言ってた」
俺にお笑いの才は無いがこのギルマスの物真似は受けを狙っているのか? それとも地なのか? グラフィルさんは普段あまり表情を変えない為、分かりづらい。
「あ、あはは、そうなんですかー」
ヤバい。対応しづらいがために苦笑いになってしまった。
今の感想に満足しているだとっ!? 満面の笑みだぞグラフィルさん。……感性がよくわからない。
「あ、着きましたね。じゃ僕は行って来るんで!」
「うん。多分朝の伝言の意味とか聞いたら教えてくれると思うから」
やっぱり知り合いなんだろうな……ギルマスとグラフィルさん。
それも後で聞いてみようと思いつつ、ギルドへ入った。
ギルドの中は朝とは打って変わって静まっている。俺が早弁しただけでまだ昼前だからな。一番人が少ない時間帯だ。
ん? 受付の人がなんか慌ててる? あの人は確か朝の……。
「レト君ー!!」
奥の扉からシーナさんが出てきてこちらに駆け寄って来る。
「あ、シーナさんこんにち――」
「大丈夫だった? ケガしてませんか!? こんなにボロボロになって……」
言われてみると小さな擦り傷が無数にあり、服もボロボロだ。
「いや、これは――」
「オークにやられたんでしょ?」
「いや、ちが――」
「そうね、先にギルマスに報告しないとよね」
言えない。崖から落ちたなんて言えない……。
俺は言われるがままにギルマスの執務室まで一緒に行った。
「じゃあ私はここまでだけど何かあったら遠慮せずにね!」
俺のをポンッと叩いてシーナさんは階段を降りて行く。
「いたっ!?」
叩かれた肩にチクリと痛みが走る。えりを捲って見ると、枝の欠片が入り込んでいた。
少しブルーな気分になりつつ、考える。
「遠慮せずに……何をすればいいんだ?」
少しの間考えながら、他にも服の中に枝が入っていないかチェックしつつ、身だしなみを整える。
地味にまだ痛みが残っていたが、ちょっと刺さっただけなので、すぐに痛みは引いた。
「レト・アルトレアです」
ノックして名前を言う。
「ん? おお、入れ入れ」
二週間前とは違い、明るく感じる声が――野太い所は変わっていない――返って来た。
俺は安心して部屋に入った。
途中でオークの死体が山にされて冒険者が近くに集まっているのが横目に入る。おそらく、素材や肉等の分配だろう。一瞬、さりげなく混ざろうかと思ったが、途中から入っても、横取り扱いされては堪らないので、無視して進む。
俺のMPは既に残り二割を切っている為、走りで。
正直、ステータスの影響で多少の運動――走る事等であって、戦闘ではない――ではあまり疲れないが、転生する前の運動不足の所為か精神的に疲れがでる。魔法をMPギリギリまで使い続ける方がまだ楽しい。
「ちょっと休憩するか」
少し息が切れて来たので、森の方に寄って行き、木陰に入る。
「『アイテムボックス』『強欲の書』」
左手にアイテムボックスから出した弁当を、右手に強欲の書を持って座り込む。
「魚サンドイッチ……旨いな」
女将さんに俺がサンドイッチが好きだと言った翌日からは弁当にサンドイッチが入っていた。
普通に旨いのだが、基本的に野菜とハムを中心とした具材の物しか食べて来なかったので、具材がハム、生姜焼き、ハム、と肉しか入っていない時は驚いた。
まあ、それも旨かったのだが……。
そして今日は魚サンドイッチ。茹でられている魚の切り身が少量のソースと共にパンに挟まっている。
「ふぅー、旨かった。ごちそうさまでした」
サッと食べ終わると、目を強欲の書へと戻す。
「『オークの上位種について』さっきの影ってやっぱり……あ、あった!」
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ハイドオーク――
闇に潜みしオーク。
基本的なステータスは通常のオークと大差ないものの、俊敏と特殊性に秀でており、影に潜む固有魔法、『シャドウ・ハイド』を使う。
影から出て来たところに光や火を当てると怯む。
ライトオークと同じく、弱点が大きい為に他のオークより素材の価値が低い。
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「はぁーマジかー」
俺は一気に脱力感を覚える。そして、やっぱり事前情報は大事な物だと痛感する。
距離を詰めたときに影が落ちて普通のオークに戻ったのも俺にじゃなく、光にビビった訳だ。
あのときの自分が恥ずかしい……。
俺からはもう逃げられないと悟ったようだな……的な事を思っていた気がする。ってか言ってた気もして来た……言ってないよな! さすがに。
冗談はさておき、昼飯を食べ終わった俺は引き続き、街に向かった。
「や! お帰り、レト君」
「どうもグラフィルさん。ただいま帰りました」
門に着くとグラフィルさんが話し掛けて来た。いつものようにニコニコしているが、今日は珍しく午前中だけ門の見張りらしく、街の見回りという名目で俺に着いてくる。
「そういえばさ、ガレっさんが朝……って言ってもレト君が狩りに出たあとに「レト見かけたら引き留めてくれ。部下が五月蝿くてよぉ」って言ってた」
俺にお笑いの才は無いがこのギルマスの物真似は受けを狙っているのか? それとも地なのか? グラフィルさんは普段あまり表情を変えない為、分かりづらい。
「あ、あはは、そうなんですかー」
ヤバい。対応しづらいがために苦笑いになってしまった。
今の感想に満足しているだとっ!? 満面の笑みだぞグラフィルさん。……感性がよくわからない。
「あ、着きましたね。じゃ僕は行って来るんで!」
「うん。多分朝の伝言の意味とか聞いたら教えてくれると思うから」
やっぱり知り合いなんだろうな……ギルマスとグラフィルさん。
それも後で聞いてみようと思いつつ、ギルドへ入った。
ギルドの中は朝とは打って変わって静まっている。俺が早弁しただけでまだ昼前だからな。一番人が少ない時間帯だ。
ん? 受付の人がなんか慌ててる? あの人は確か朝の……。
「レト君ー!!」
奥の扉からシーナさんが出てきてこちらに駆け寄って来る。
「あ、シーナさんこんにち――」
「大丈夫だった? ケガしてませんか!? こんなにボロボロになって……」
言われてみると小さな擦り傷が無数にあり、服もボロボロだ。
「いや、これは――」
「オークにやられたんでしょ?」
「いや、ちが――」
「そうね、先にギルマスに報告しないとよね」
言えない。崖から落ちたなんて言えない……。
俺は言われるがままにギルマスの執務室まで一緒に行った。
「じゃあ私はここまでだけど何かあったら遠慮せずにね!」
俺のをポンッと叩いてシーナさんは階段を降りて行く。
「いたっ!?」
叩かれた肩にチクリと痛みが走る。えりを捲って見ると、枝の欠片が入り込んでいた。
少しブルーな気分になりつつ、考える。
「遠慮せずに……何をすればいいんだ?」
少しの間考えながら、他にも服の中に枝が入っていないかチェックしつつ、身だしなみを整える。
地味にまだ痛みが残っていたが、ちょっと刺さっただけなので、すぐに痛みは引いた。
「レト・アルトレアです」
ノックして名前を言う。
「ん? おお、入れ入れ」
二週間前とは違い、明るく感じる声が――野太い所は変わっていない――返って来た。
俺は安心して部屋に入った。
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