異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!

八百森 舞人

依頼を受けたけど、回り道は好きでする!

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 討伐依頼――


 ゴブリン十匹で銅貨五十枚。……警備隊


 スライム十五匹で銅貨三十枚。……警備隊


 ホイールラット五匹で銀貨一枚。……警備隊


 ハイドウルフ三匹で銀貨五枚。……警備隊


 オーク一匹で銀貨五枚。……警備隊




 護衛依頼――


 フェルキルまで。……ノーガス一行


 王都まで。……ジョイセン一行




 採取依頼――


 無し


 その他――


 武術指導。……ドゥーイ夫人




 詳細は受付まで。


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 何を受けようか……。


 討伐系を受けることには変わりはないのだが……上から順番に受けることにする。迷った時は安直な選択肢でいい。


 俺はゴブリンの討伐書を剥がして受け付けに持っていく。


 「お願いします」


 「ゴブリン討伐ですね! 受理します! 少しお待ちください」


 何故かシーラさんは嬉しそうな顔をしている。


 「前にも言ったと思いますけど、冒険者ランクに釣り合わない依頼は受理しかねます。昨日は受理しましたが、あれは特例です。暴動に発展しそうだったので、仕方なくです。いきなりオーク討伐を選ばなくて良かったです」


 危なかった。一瞬上からと下からで迷っていた中、上からを選んだ自分を褒めたい。


 「分かりました。これからは気を付けます」


 冒険者カードを確認すると、裏側に、ゴブリン0/10という文字が現れた。受注出来たということらしいので、踵を返し、ギルドを出る。










 少し歩き、門に近づいた所で声を掛けられた。


 「やあレト君。依頼、受けてくれてありがとう」


 グラフィルさんだ。


 「いえ、こちらこそありがとうございます。グラフィルさん。耳が早いですね」


 「ああ、みてたからね」


 「それなら声を掛けてくれても良かったんじゃないですか?」


 「いやいや、真剣な顔で依頼を選んでたからね。声を掛けづらかったのさ。それと、分かってるとは思うけれど今回から通行料は免除だから、思う存分討伐に勤しんでね」


 「まぁ、頑張ります」


 武器無しってのもロマンに欠けるけども……。


 「頑張ってねー」


 と、見送られながら街を出た。


 「『強欲の書』街の付近にいるゴブリンの位置」


 木の影に隠れるように強欲の書を呼び出す。


 「北西に群れ? いや、この数は集落か……避けよう。この辺りにもチラホラいるっぽいからそいつらを倒して戻ろうかな」


 流石に一対数百の戦いは分が悪いという物だ。十匹狩るだけならそこら辺にいるので十分……とは言えないが、少し離れた所と合計すれば十は越える。


 「狩るか」


 歩きでは時間が惜しいので、この前教えてもらった飛行魔法を使う事にする。


 「『エア・プロテクト……バースト』!」


 教えてもらったのは風魔法の、『フライ』であってこの魔法は俺が考えたんだけど。
 課題として出された、風魔法の応用を難なくクリアした優秀魔法の一つである。


 普通の飛行魔法は『フライ』なのだが、ふわふわ浮いてふわふわ動くので寝る間は惜しんで暇な時に開発したのが、この魔法。


 『エア・プロテクト』で体に圧縮した空気を纏い、バーストで空気を解放し、推進力を得る。と、言うのは簡単だが、それと同時に魔力操作で速度と方向、内側に影響が来ないようにしている。


 これを全て操作出来るようになるのに三日は掛かった。失敗しても『エア・プロテクト』してるから平気だったけど。


 意外にMPの消費が少ないのがこの魔法の良いところだ。魔力操作する分には精神的な消耗しかないし、『バースト』も魔力操作の応用で消費MPを殆ど抑えている。唯一使っているのが、『エア・プロテクト』の補充分。


 これを全て合わせても、フライより、効率が違う。十メートル移動するだけでも燃費に大きな差が出来る。




 以上、タシューさんに提出したレポート(うろ覚え)である。


 そんなこんなで、強欲の書片手に飛び回ること数分。現在九体目を倒し、アイテムボックスに収納しているところだ。


 ただ殴っているだけだが、『レジスト』してある拳が高速で飛んで来たらゴブリンさんも一溜まりもないだろう。


 「次は……っ!?」


 咄嗟に近くにあった岩影に隠れる。


 「確かこの辺りにいた筈だが……気のせいか?」


 少しして現れたのは、汚れの一つも無い白いプレートアーマーを身につける金髪の美少女だった。顔立ちは整い、声は凛としている。まさに美少女だ。


 少しして、踵を返し来た方向に戻っていく。


 本の端から人のマークが近づいてきた時は心臓が跳び跳ねた。だって俺と同じ速度ってマジで恐怖しかなかったが……デカかった。


 バランスがとれてるデカさ巨乳だった。








 「……ふっ!」


 十五匹目のゴブリンを倒した所で、街に戻る。


 え? 五匹多いって? きにするな、心頭滅却の犠牲になっただけだ。




 街に並ぶ人だかりが見えてきた頃、ふと気がつき地面に降りる。


 「このまま飛んでると目立つよな……少し腹ごしらえしてから歩くか」


 俺はアイテムボックスから、宿屋で昼飯用にともらったサンドイッチを出し片手に持つと、気になったので、久しぶりにステータスを見てみる事にした。


 「『ステータス』」


 ――――――――――


 性:アルトレア 名:レト 年齢 13


 HP 2500/2500 MP3950/4000


 体力 540
 筋力 720
 魔力 1350
 敏捷 810
 技能 970
 物理耐性 820
 魔法耐性 1030


 スキル  自動HP回復(中)・自動MP回復(中)・痛覚軽減(大)


 固有魔法 魔力操作(使用魔力軽減(特大)・パワー・レジスト)・強欲の書・討伐の書


 称号 転生者


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 「おお! 遂に1000代に入ったのか流石は魔法関係。使えば増えるのはありがたい気がするな。適当じゃ上がらないのが厳しいけども。HP・MPも一気に上がったな……魔物を倒したからか?」


 魔物で思い出した。もう一冊本があった!


 「『討伐の書』」


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 (新討伐のみ表示) (討伐ボーナス)


 ゴブリン     HP・MP上昇(極小)


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 「おお! すげー。討伐ボーナスかぁ……おじいちゃんもヤバい物くれたな。流石は神様」


 あれ? ロードウルフのボーナスは……。


 ――――――――――


 ロードウルフ   下位種が未登録なので討伐ボーナスは受けられません。


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 「……」


 スキルツリー制!?


 た、確かウルフ種って全属性いるって……。


 「ま、気長にやっていくか。まったりするのもいい事だし」




 サンドイッチを食べ終わってから、歩いてゆっくりギルドに戻った。






















 王都、急遽招集された貴族たちは手に冷や汗を滲ませながらセルカトブルド王の問いに答える。


 「おい、この前の件はどうなった?」


 カーテンが閉められ、薄暗い部屋。


 「はっ。私奴が調べた所、やはり貴族の仕業かと……」


 「ふむ……アルトレアの息子の行方は?」


 「げ、現在……」


 目を向けられた貴族はおどおどと手元の資料に目を落とす。が、


 「はい」


 「ん? どうした」


 「俺の街に一人、それらしき子供がいる」


 割り込むように入ってきたのは、筋肉質な男。


 「ギルドにいるのか?」


 「ああ。いる……確認はしてないが、同姓同名で登録があった。レト・アルトレアってな」


 王に答える口振りは堂々としている。


 「し、しかしどうやって西の辺境から東の辺境まで……部下に、し、調べさせたが魔方陣の類いも王都に通じる一つしか無かったとの報告が……」


 「俺の部下は魔方陣は破壊のうえ隠蔽されていたが、僅かに魔力の反応が残っているっつってたぜ? お宅には報告が上がってなかったのか?」


 少し挑発気味な発言におどおどした貴族は机を叩いて立ち上がる。


 「き、貴様っ! 貴族でもないクセに我を愚弄するつもりか!?」


 「少なくても、お前さんよりは地位、権力、金、名誉。全て上回っているつもりだが?」


 「止さんか!!」


 王の怒声が響く。


 「今は一刻を争う。ギルドの方で友好を計り、本人の了承を得てから連れてこい! いいな?」


 「へいへい」


 「解散! 他のものも、十分気をつけるように」


 王が解散を宣言すると、次々に部屋から貴族が出ていく。


 「はぁ。まったくもって頑固なものよ……」


 一人残された王は深々と溜め息をついた。


 「今は貴族だ平民だと争う時でもなかろうに……」



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