異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!

八百森 舞人

勝負には負けたけど、報酬は貰った!

 「報酬を貰えますか?」


 「え? ああ! 既に討伐してたって事ですね!」




 俺が討伐することは考えていなかったのか、最初に、何を言ってるんですか? 見たいな顔で呆けていたが、流石は職員。すぐに対応してくれた。
 それにしても、どうなんだろう? この反応を見る限り先に魔物を倒していても、クエストの依頼、報酬の受け取りはできるみたいだな。単に、慌てているだけかもしれないけど。


 「では、魔物の討伐証明部位の提示をお願いします」


 「討伐証明部位?」


 初耳だ。言葉からなんとなく分かるが、一応聞いておこう。


 「ああ……昨日冒険者になったばかりでしたね……本当はランクを上げて初めて魔物の討伐依頼の推奨ランクに届いてから順序だてて説明していこうと……。魔物の討伐を証明できる物を証明部位と言います。対象の魔物の特徴的な部位等が主な物ですが、丸ごと持ってきたり、手なずけて、害が無くなった事をギルドに認められ、依頼を完了した事例もあります」


 丸ごとアイテムボックスに入れているから問題はないはず。
 でもこの広さだとギリギリだな、人もいるし。あ、昨日の会議室みたいなとこなら広かった気がする。


 「アイテムボックスに入ってるのがあるんですけどここじゃなくて、会議室でもいいですか?」


 「ええ、いいですよ。それにしても珍しいですね、アイテムボックスを使えるなんて」


 「教えてくれた人がいましてね」


 と、奥の部屋についていく。


 部屋に入って広さを確認する。机等は隅に纏められており、広さは十分だ。


 「よし、『アイテムボックス』」


 「わっ!? なんて大きさ……?」


 部屋の中心にハイドウルフを出す。


 「どうかしましたか?」


 なぜか、固まったままハイドウルフを見つめている。


 「あの……どうかしました?」


 「依頼書……依頼書は見ましたか?」


 先ほど、俺が提出した依頼書を手渡して来る。


 「うん? ハイドウルフ……森での行方不明者多数により、ギルド本部からの依頼。これが何か?」


 「その下です」


 「ハイドウルフの特徴――体長約一メートル……気配遮断のスキルを使う。全体に蒼い毛皮を纏い、物理的攻撃に耐性を持つ……あ……」


 もう一匹の方……逃がしたんだっけ……。


 「これはロードウルフ。討伐対象では


 「え……でもこいつも原因の内というかこいつが小さい方に誘き寄せられた所を襲っていた元凶というか……」


 なんだかさっきまで自信たっぷりだったのが恥ずかしい……。


 「この依頼の報酬は残念ですが、渡せません……しかし」


 「しかし?」


 「Aランクの討伐依頼の内の一つに、ロードウルフ討伐の依頼があります。本来なら、登録したばかりのFランクでは申請出来ないランクですが、既に討伐されているので異例として受理出来るかと……」


 結構危なかったし、Aランクというのも分かる。実質後は報酬を貰うだけの依頼ならやるに決まってるよな。当然だ。


 「よろしくお願いします!」


 「分かりました。一旦戻りましょうか」


 アイテムボックスに再びハイドウルフもといロードウルフを入れて、受付まで戻った。


 その後会議室に獣臭い匂いが充満していたのは俺のせいじゃない。おそらく、多分、きっと。


































 「俺の勝ちだぁぁぁぁー!!」


 思ったより早かったな。カロンだっけ? カルンだったか? まあいいや。
 入り口から視点を戻し、飲み物のメニューを見る。


 ジュースにするか、


 「あ、おい!」


 お茶にするか、


 「おい! 聞こえていないのかー!」


 水にするか。


 「あの、果実水一つ下さい」


 「おーい!」


 「なんだよ! さっきから耳元で大声出して!」


 いつの間にかこちらによって来たのは勿論カロンだ。


 「聞こえていない様子だったからね」


 「いや、聞こえてる。聞こえている上で無視してる」


 鬱陶しい、それが本音。しかも、


 「なんだ、聞こえていたんだね。勝負の件は――」


 無自覚である。少し好感度が上がるが、肩をバシバシ叩かれているので、少し下がる。


 「あーはいはい。俺の負けでいいですよ」


 「ほんとかい!? ……コホン、やっとボクの素晴らしさが分かったようだね。やはりボクが一番――」


 ふと外を見ると、日が傾いて来ていたので少し早いが、宿屋に行ってみることにした。
 俺は果実水を片手に、お代を渡してギルドを出る。うるさいやつに関しては、受け付けに報酬を貰いに行ったのですぐに撒いた。


 そしてチェックしていた宿に向かった。






 




 
 「ここか」


 着いたところは、汚れてなく無駄に高級感があるわけでもない、普通の宿屋だった。




 中に入ると、恰幅のいい中年らしき女性が出てきた。


 「いらっしゃい。あら、見ない顔だね? 泊まってくかい?」


 「はい、お願いします」


 「一晩なら銅貨八枚、一週間なら銀貨四枚で良いよ」


 強欲の書で見た値段なので、安心して一週間分の部屋を借りる。
 入ってすぐの階段から上がって一番奥の部屋に案内される。


 「朝と夜の食事は宿泊費に含まれるから、下にある食堂に来な。昼は自分で用意するか、食堂で頼むんだね」


 「ありがとうございます」


 「いいよいいよ、私も若かった頃は苦労したからね、この街は初めてだろ? 分からないことがあったら私にききな」


 と、にっこりして部屋を出ていった。




 「さて、と。何から調べようか? 『強欲の書』……ロードウルフについて」


 ――――――――――


 ロードウルフ――


 ウルフ種の上位個体。


 その体長は大きいが、気配と共に、姿を隠蔽することが出来、発見するのは難しい。また、非常に高い知能を持っているので、下位個体のウルフ種を稀に従える事がある。


 物理攻撃によるダメージは毛皮が半分以下に軽減する。これは年月が経つにつれて、より毛皮が分厚くなり、軽減出来るダメージも増加する。


 毛皮は防具、爪や骨は武具、肉は食用、臓器や血液は魔術の媒体等にと、余すところなく利用価値があり、完全体だと、価値がはねあがる。
 個々だと、耐久性がある骨と、貴重な臓器が高く売れる――。


――――――――――




 俺は完全体で仕留めたから、売り払うのに最適というわけか……。
 ラッキーだな。明日、ギルドで買い取って貰おう。


 
 俺はこの時まだ知らなかった。殴った勢いで、見た目からは判断出来ないが、骨が折れ、臓器が潰れていたことに。

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