コネクト  創造する世界

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創造する世界 終わりに向けて 金剛グループ

 あの画面から出た騒動から数日、そろそろイベントが1月たとうとしていた。


 いまだ一般人はコネクトに入ることはできず。報道も酷く、内容も過激になってきている。


 そうしてようやく準備できた会議に、またあのエレベータに乗り、空中部屋にまた来ている。


 来ているのは前と一緒のメンバー……、と自分が連れてきた狂人。まぁ自分の後の後継者と、例のサイバー対策のメンバー、と運が良く日程に調整のついた政治家が招いておりこの部屋に10名程度が集まっていた。


「さて、人もそろったようだし。始めるとしようか」


 いつも通りの羅漢に合図を受け、会議は始まる。


「でだ……、どうするつもりなのかな」


 羅漢の開幕の言葉はそれであった。


「まずはその前に売り上げを。服飾の伽梨はどうなりましたか? 」


「服飾は、売り上げは戻ったわよ、いえそれ以上ね。【高級層へシフトした】といえばわかるかしら」


 なら、最初の問題はなくなった。


「では、涅槃。この一月近くで【回収できた利益は?】」


「VRでは数十億、飲食にも波及して数千万、また服飾も含めれば100億に届きそうだね」


「それは金剛グループとしてはどうなんですか」


「人と時間を考えれば【異常】その一言に尽きる。このイベント継続的にやらないのかい」


 それは無理な話だ。これは契約の穴をついただけで、抜け道を無くせばそれだけで終わってしまう。


「それは無理ですね。では黒の……」


「黒でいい、それで……あぁ回収の総額の話か。服飾は百億規模だが、新たにきた債権は千億規模だ」


 千億か……。


「それで、どうするのだ。【これでは終われんぞ】」


「それに関する前に先にこっちを。先生現状の説明を」


 自分の隣にいる政治家から、現状のVR法案についての状況を聞く。


「では……、VR法案は早ければ来年には施行がほぼ確定。これは想定の5年は早い施行です」


「これにより、コネクトとのズブズブの多くは解消。こちらに食い込める隙はできました」


「まぁ、最も変わりにきつきつで作りますので単純な技術力勝負に持って行く形になってしまうんですけどね」


 それは元から承知していた事項だ。


「そしてそれに関する裏の行動について」


「じゃあこっからは俺が話させて貰うぜ」


「敬語敬語」


「別にいいだろ。堅苦しいのは嫌いなんだ」


 それでも、相手を考えろ。目上、権力者、ついでに日頃使っているの三拍子揃っているのだぞ。


「構わん続けろ」


「はいよ、それで裏なんだが。【コネクトの管理に政府も関わるようになった】ようは利権が無くなった部分の穴埋めだな。と同時に【意図的に開けていた穴を塞ぐことになった】今入れないのはそれが理由だな。あっお前……わかったよ空海様が入った穴に関しては不明だから、そっちは調査だ」


「あれは人為的じゃないと? 」


「人為的っていうか神為的だな。【現在の技術では不可能と判断された】これまでの行いもあるし、いったんお祓いとかした方がいいんじゃないか?」


 それに関しては大きなお世話だ。にしてもあれはあやはり人為的ではないのだ。


「なるほど、作為的な確かだから解析はしてくれ」


「あいよ。とりあえずこっちとしては。政府の関係者が年始ぐらいから活動を開始することを覚えておいてくれ」


「まぁ、VRでの大きな出来事はこれくらいですかね。続いて空海の扱いについてなのですが。とりあえず【イベント終了で側だけ残す形とします】経営に関してはVRに金を入れていく形で一応空海が必要となった場合。行動は彼に託します」


 隣にいる狂人に託す。


「先ほど、拝命を受けた……まぁ、いいか。安良英司あらえいじだ。緊急時の際の対応を任されている。あぁ、緊急時以外は趣味で動くから。経理は注意してみてくれ」


 一通り自己紹介を終え狂人は座る。


「彼が、年始後のVRの動き方になります。最も余った金を使う程度なのでほそぼそですかね」


「後継とはどういう意味かな」


「言葉通りです。このイベントを通し【法が固まるまでは研究費のみ運営する】のが適切と判断しました。よってVR……空海の部署は【今回のイベントを機に一旦表側から消えます】」


「残ってる負債はどうする。回収するのか」


 そんなもの、決まっている。


「【回収はしません】これからコネクトの馬鹿と交渉に行きますが、そこで利権確保して手打ちにします」


「各対応はどうする」


「このイベントを成功させるために今までやってきた布石があります。今からそれを見せましょう」


 各人員に資料が配付される。ここ数ヶ月でとった。偽の名前、偽の職、偽の新聞、偽の会見。その全てを公開する。


「これは……」


 多種多様の顔ぶりを見せる。あるのもはそういうことかと笑みを浮かべ、あるものは狂っていると嘆き、あるものは理解できずに途方にくれる。


「こうなると思っていたので最初から準備はしてたんですよ」


 アルバイトも、事前の前売りも、借金の話もレートの異常な上がりも冷静に考えれば判断がつくものだ。あとはそれをどう落とし込むかと終わった後、対応させうまくすれば全ては流せる。


「しかしどうする? 例えそうだとしても今更そうでしたと言えないだろ」


「それができるんです。というかできないわけがないんです。【全ては回収できているんですよ】」


「あの、自由枠はどうする。もう注文は終わっているんだろう? 」


「別に作りますよ【私はそういう契約を結んでいますので】」


 殆どの人物が理解できていない。できているのは流れを知っている自分と……


「あっ、あぁぁぁ」


 今まで何十と付き合った羅漢だけだ。


「問題ない。……そう、そうだ問題ない。こやつは買っている。個人ではなく。【ゲームとして】優先的に開発費0で開発して貰う権利を」


 そう持っている。だからあくまでゲームとして報酬として、その報酬を【開発させるという課程をつけた】その為のゲーム為替。


「そうだ。あの中で我々に関わってくる物など【商品券だけではないか】後はゲーム上のデジタル品のみそしてそれも……」


「今までの過程で開発費は0円で落ちる。つまり問題ないんです【いつ終了にしたって】内部で払っておけば問題ないんですよ」


「つまり、商品券がイベントないのみ有効なのもそういう意味なんだね」


「なんだそれは? 」


 知らない情報がでてきたのか羅漢の話がとまり、馬食の話が始まる。


「期限だよ。僕も見せて貰ったけど。あれの期限ってイベント期間内としか書かれて居ないんだ。まぁ一番上が期間を知っているから問題はないんだけどね。終了の告知はするみたいだし」


「そういえば、私の所もそんな形で書いてあったような気がするわ」


「医療も同じね」


「つまりは……、そういうことか? 」


「ここまでやってあればわかるでしょ。そういうことです」


 流れは違うがおおよそこうなることを、いやこうなるように動いたのが正しいか。


「はん、まぁ内容はわかった。それで落とし所はどうする。ただそうでしたというわけではないのだろう」


「それに関しては、これから話します。このイベントの落ちどころですが……」


 そうして内容を話していく。


「……と、このあと涅槃さんがあれを流して終了です。なにか質問は……」


「……、おい小僧。正気か? 」


 いつも通りの回答だ。


「正気ですよ。ちなみにスイッチ……というより連結型のそれは後継に持たせてあります」


「あぁ、持ってるよ。安心しな【躊躇せず】そのスイッチを押してやるから」


「だそうです。後は戻ってこれれば問題ないですね」


「戻ってこれればだと。小僧その意味をわかっているのか? 」


 わかっている。けれどそれは【何度か通った道だ】そして何度も成功している道だ。


 だからその行為に躊躇はしないし。ギリギリで保って居られる。


「手品のように戻ってくるから、心配は必要ない」


「簡単にいいおって……ふん、まぁいい。今回のは全て空海。貴様の主催じゃ。せめて最後までやり遂げて見せろ。利益の確保ができているならわしらは文句は言わん」


「私も別にいいわ、溜飲は下がったし」


「高級料理を食べさせる機会を作ってるし。何も異論はないね」


「僕としては、長く続いて欲しいんだけどね」


「黒としては早く終わらせて欲しい」


「私はどちらでも……で、いつ頃終わらすの? 」


 終わりか、そうか終わりか。


 結構いろいろな事をしてきたがこれでいったん終わりか。


 思えば結構色々したな。最初に転移させて、開発権利貰って。開発して、イベントに参加したらAIの暴走があって。


「あぁ」


「どうした? 」


「いや、まだまだVRって難題がありすぎると思って」


 モラルにAIに技術不足に、おまけに意味不明のバグなどかなり不完全だよなこれ。


「ふん、そこはこれから直していくんだろ。……いや直させるのか。全く度しがたいな」


「だったら、とっとと技術革新なり、法整備なりを進めてください」


 さてどうするか……、あぁもういいか予定通りで。


「では予定通り年末に終わらせましょう。それまでは規制しながら。とりあえずは吸う形で報道やらなにやらで対策しとけばなんとかなるでしょう」


「ふむそれでいいなら。構わん……」


 羅漢が何か言いたそうな顔でこちらを見る。


「そんな、心配ですか」


「ふん、貴様の無茶など今にはじまった物ではない……、ないが」


 流石にこれはやりすぎであろう。……か。


「これくらいしないと、もう無理なんですよ。それくらい【名前が売れてしまった】」


「金剛の隠れ蓑もか? 」


「それは箔がつくだけでしょ。まぁそれなりに楽しかったですけどね」


「そんなものか? 」


「そんなものです。まぁ終わったら裏でこそこそやらせて貰いますよ。名前の分くらいは」


「ふん、つまらん」


 あらら後ろに向いてしまった。


「とっとと行け。そして終わった後戻ってこい」


「それじゃあ、後は今後の方針はとりあえず彼と話し合っておいてください」


「まぁ、お手柔らかに」


 そうして言いたいことを言ったので空中会議室を出る。


「小僧……」


 最後の最後まで気になるのか。


 振り向き、金剛羅漢の方を見る。


 後ろにした体は正面に戻り、その顔は狂気で笑っているのではなく。会えなくなる寂しさなのか泣きそうになっているのがわかる。


「笑えよ金剛。こういう状況ほど笑うのがピエロだぞ」


「ふん、言われんでもわかるわい」


 そうそれでいい、その下品な笑いこそ。金剛羅漢だ。


「ククク、そうだ。何を恐れている。これをするのが我々でそしてそれを成功させ続けたのが小僧ではないか。何を恐れる必要がある」


 おなじみの自己完結の話が続きそうなので部屋を出る。


「ククク……」


 ブツブツと言っている羅漢を尻目に今度こそ次を得る。


「次はコネクトか」


 その後、会見でようやく余裕ができるな。そろそろ中間テストの時期だし、いい加減レポートもまともに書かないと評価可になりそうだし。


「ゲームしている場合じゃないんだよなぁ」


 はぁ、次行くか。



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