コネクト  創造する世界

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創造する世界 玩具箱1

「なんだ、随分若いじゃないか」


狂人と呼ばれる人物は、若い男性に見える。髪の毛の金髪がまた不良じみてるといえばいいのだろうか。


「クク、久しぶりだな小僧」


小僧といってる辺り・・・いや金剛からみた小僧か当てにならないな。


「爺さんも元気そうで何より・・・それで」


気だるそうにこちらを見てくる。


「そっちのピエロはいつ説明してくれるんだい」


「初めまして・・・」


彼の目を見る・・・あれは値踏みしている目だ。


社交辞令は求められてるものとは違う気がする。


そもそも、なぜ自分が呼ばれた?


称賛?違うなそんなこという必要はない。


では叱咤?違うなそんなの時間の無駄だ。


なら依頼?これも違うな・・・それは後だ。


なら後は


「それで、何処の回答が欲しいんですか」


【先程のゲームの質問】恐らくそれで間違いないだろう。


「ふぅん」


狂人は下向きに向けていた顔をあげる。


「ぶっちゃけさ、どうやったら勝てたの?あれ」


あれの勝ち筋か。


「ありませんよ【相手の勝ち筋なんて】」


「なら1%は?」


「【プレイヤースキルが必要なゲーム】なら1%あるかもしれませんね、ちなみに今回のは【ヒューマンエラーですよ】自分がミスしない限り負け筋なんてありませんよ」


淡々とそう説明する。強いて言えば。事前に薬を買い。相手が純粋な運勝負だったら負け筋もあったかもしれない。


「負けたいんだよな?あんた」


「臆病者なのでね、怖いからやっぱやめたが多いんですよ」


「はっ、はっはっは」


狂人は笑う。金剛を見ればいやらしい顔をしている。


「どうだ、面白いだろ」


「今時のガキでもやんねぇよこんなこと」


誉められてるのかけなされてるのか、どっちなんだろうなこれ。


座っているソファーにのけぞり。顔を戻す。ますます不良にしか見えないなこいつ。


「それで、俺は遊んでいいのかい」


先程とはうって変わって真剣な顔でこちらを睨み付ける。


「幾つか守ってくれるのなら」


「俺のやり方に手を出さないならなんでもいいぜ」


狂人のやり方か。


「何ですかそのやり方というのは」


「なぁに」


ポケットから何かを取り出す。


パァンと乾いた音が響く。


「た・・・っと【・・・】を・・・だ」


耳の近くの皮膚が切れる。耳がまだ元にもどっていない。


狂人の手からナイフを紙がおかれる。


狂人はなれたように皮膚をきり、血文字で文字を書く。そして紙を回転させこちらに向ける。


「キーン」


何かを言ってるようだが聞こえない。


金剛はニタニタと笑っている。


・・・ようはやっていることは契約書だ。なら


ナイフで指を切り。血文字で【端末を動かす】


最近のビジネス用の携帯についた、遺伝子情報付きの電子契約書だ。


それを狂人に渡す。


「・・・ねぇ。まぁ嫌いじゃない、そういう奴らは」


まだ塞がっていない血で情報を登録し、こちらに返してくる。


伊藤淳治いとうじゅんじそれが彼の名前らしい。


契約書の中には【命を賭けること】と明文化されて帰ってくる。


命・・・命か。


狂人・・・相手はそう狂人だ。自分にはわからなくとも金剛がそう呼ぶくらいだ。恐らく相当いってるんだろう。


つまりいのちとは文字通りの命であり。ようは【生死の賭けたデスゲーム】がお望みらしい。


「命は生死に関わりますか?」


「さぁ?それはお前が決めることじゃないのか」


なら【裏技】も使えるな。


賭けるのは【自分のVR情報】普通は壊れたら植物人間になる奴だ。


その内容に狂人は訝しむ。


「何か変ですか?」


「変だね。その顔は生死のかかった顔じゃない」


正解。


「それが嘘とでも?」


「・・・」


真剣にこちらの顔だけを見る。


「嘘をついてるようには見えない、しかし・・・」


タバコに火をつけ上を見る。


「死ぬようにも見えないね。はぁー」


ため息から煙が舞い上がる。


「いったいどういう仕掛けだい?」


仕掛けと言ってもな。


「ゲームと一緒です」


「死んだら生き返ると」


その顔は馬鹿にしている顔だ。


「まじで言ってんの?」


「大真面目ですよ」


「ふーん」


端末を寄越すように言われ、渡すと鼻から煙を出しながら。端末を操作している。


なになに、【ゲームの権限を寄越せ】・・・ね。


それは別にいいんだが、それは終わりに関わってくるからな。


端末に【計画の参加】を入れ、計画の詳細を書いて。渡す。


「・・・まじ?」


そこで初めて、素の顔が出たと感じた。


「おい、何を渡したんだ」


「終わりの内容ですよ」


そう終わりのね。


「これ本当にするのか」


「えぇ、ピースは幾つか揃ってます」


【情報破壊システム】【ゲームの終了のスイッチ】後は、【奴ら】さえ揃えば最後の準備ができる。


「後は、人だけです。特に【撃つ人物は煽動しないとでてこないでしょう】」


どうですか、煽動してくれますかと合図をする。


「その前に・・・だ」


銃を突きつけてこちらを威嚇する。


「あんたが不死身か試してみたい」


「私は人間ですよ」


「普通の人間は脳が死んだら死ぬのさ」


「私だって死にます」


問答を繰り返す。


「では、何故死なない?」


「死なないからです」


「でも情報は破壊されるんだろ?」


「壊れますね」


「じゃああれか、神様よろしく復活するのか」


「そうです」


照れも笑いもせず。堂々とそう答える。


「なんなら賭けますか死んだら復活するかどうか?」


「いいね、もし生き返ったら。そうだな・・・【10年】・・・10年くれてやるよ」


「なら、何をさせるか考えなくてはいけませんね、ところで・・・そろそろ降ろしてくれませんかそれ」


流石に心臓バクバクなんだけど。


「あぁ、これかい」


先程放たれた銃を頭に向け。


ぱぁんと自分の頭を打つ。


しかし頭は吹き飛ばず、ただ煙っぽいのが頭の付近からでてるだけだ。


「ARガンだ。見るのは初めてか?」


「耳の痛みは?」


「私が切った。銃に切られたような痛みだったろ」


お前か・・・。


「まぁ、欲しけりゃやるよ」


ARガンを貰う。


「まぁ、色々と技術の粋を集めているんだぜ。VRのせいで目は見ないけどな、あぁこの煙草もフェイク。臭いもないだろ」


はぁ、と煙を吹きかけられる、確かに臭いもしない。


「こういう事もできるぞ」


口から輪を作ったり、失敗した科学者のように煙を噴出したりしている。


「ここらは中々楽しいぜ。ノートとかも書いてる不利ができるしな」


不意に疑問に思う。


「どうしてそんなの持ってるのですか」


「あぁ、これ?うーんしいていうなら」


少し間を空けて言われる。


「【紛い物】だからかな、俺もあんたもこいつもたいして変わらない。だから同じ紛い物のこいつに惹かれた」


「だからいってるであろう【お主は過程を見てない】」


その言葉から、博士の言葉を思い出した。


「だからいってるであろう【お主は過程を見てない】」


紛い物に過程を見ていない。誰がどの思い悪意を持っているかはわからない。


まぁ、少なくとも。


「あなたとはうまくやっていけそうですね」


紛い物とよんだ彼とはうまくやっていけそうな気がする。





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