コネクト 創造する世界
幕間 悪巧み
廊下を歩き、壁の前に立つ。
廊下は何処かに繋がっているように見えて、何処にも繋がっていない。
入り口は何処だったかは覚えていない、ただ何処かしらの扉を鍵を持った状態で開けただひたすら歩いてきただけで。そうしてただ歩きふと思いだしたかのようにそこで止まる。
模様も何も無いところに鍵を出す。そうするとまるで最初からあったかのように扉が現れる。
鍵穴に鍵をさしドアを開ける。ガチャリと音がし、ギィと軋んだ音があがる。
扉の先にはベッドに寝てる少女、PCの前に立つ男性しか見えない、狭く小さな部屋だ。
「きたか」
椅子を半回転させこちらを向く。いつものおちゃらけた口調は何処に言ったのやら、その顔は真剣な面持ちだった。
別段呼ばれたわけでもないし、呼んだわけでもなかった。ただ自分と同じできっとここに来るだろうと互いに確信があったのだと思う。
「それでどうするんだ」
「どうするの何も【流れに従うだけさ】」
「流れだと、激流の先にあるのは崖だぞ。落ちて死ぬだけだ」
先は崖、どうあがこうと【小さな物は流され大きな物は残る】
「報復は良い、むしろ進んでやるべきだ抑制の効果はある問題は【周知】だ。【わざわざ無差別に反感を買ってどうする】今は良くても、その【憎しみの炎】は消えることはないぞ。遊びではなく人生をかけて襲ってくる奴らが増えるぞ」
「それはわかってる」
「馬鹿かお前は」
博士の怒声が響く、起きるわけはないがベッドの少女が起きるのではないかとヒヤヒヤする。
「わかってるなら、何故こんな馬鹿な真似をした。知っててやるんであればもう知らん、勝手にくたばってくれ」
「これにも理由がある」
「理由だと?いつも通りの自己満足で強い奴と戦いたいからとかなら帰れ、馬鹿につける薬も無ければ、与える策も無い」
「まぁ単純に言えば、【現状の打破】だ」
ピクッと体を動かし、
「現状の打破、打破だと」
表情にはないはずの顔に青筋が立つのが見えるような気がする。
「あぁそうだ、【俺は勝ちすぎた】リスクの低いうちに負けなきゃいけなかったんだ。不正プレイヤーでも、運営でも、企業でも良かった」
「・・・」
話は・・・聞いてはくれそうだな。
「最初はしかたがない。【開幕はあれでなければ埋もれてしまう】問題は運営と企業の対処。特に企業の対処は完璧に間違えた。【買収ではなく倒産の流れに持っていくべきだった】」
「どちらも変わらないんじゃないか」
「いいやおおいに変わる。倒産なら【敵対するのが悪い】イメージが着く」
「それは、買収でも同じだろう」
同じなようで同じではない。厳密に言えば
「買収は【味方に益が出る】イメージなんだ」
「・・・」
「味方に益が出る。確かにそうだ、【最初は自ゲームのプレイヤーに金銭が与えられ】【運営と戦ったゲームは盛り上がり】【親しいプレイヤーに至っては巨万の富や企業との提携が行われている】開始半年でこれだ、【周囲が期待しないわけがなない】」
「なら、自分で・・・無理か」
「あれは【背負わないから長所となる】背負ってしまえば萎縮し、行動が鈍くなる」
「しかし、投げるにしても今の現状では神輿にされ結局被害を被るか」
「失敗をしてるなら別だった、意識不明の重体になったり。有り金全て無くしたりしていたら。こんな状態ではなかった」
「しかし結果は【一大イベントでは勝ち続き】負けは浸透していない、いや【負けも想定してると判断されるか】」
数分の沈黙は流れる。先に話したのは博士であった。
「だから、自壊すると」
「ついでにこれが終わったら、暫くは放浪するつもりだ」
「実験室はどうする」
「今回のイベント前に引き継ぐは行っている。他のも金剛グループを使えば何とかなるはずだ」
そう、そういう意味では律儀ではあった。後腐れなく離れられる。
「そうか・・・、ではわかったでアール。ミーにAIについては任せるのでアール」
いつもの調子に戻った。安心できるのか安心できないのか・・・
「ありがとうございます」
「・・・こんな話を知っているか。時間の体感についての仮説だ」
「スイッチの切り替えしたなら、もう少し持たせてくれませんかねぇ」
「なに、真面目な話は真面目に話したほうが聞く耳を持つだろう」
椅子を回転させ、机の方に向きなおす。
「人は何故寝るかを知ってるか?」
「確か疲労の回復と、記憶の処理だろ」
「ふむ、70点。記憶で無く【脳のメンテナンスだと】考えている。PC理論は覚えてるか」
あぁ、人間がPCとみなした考え方のことか。
「あぁ、覚えている。第一人者が博士と同じく追放されたこともね」
あの頃は人権団体やらのバッシングが酷かったからな。人を人とみなさない非人道的な論文と感情論で認証されなかった。
「本来はあやつもここに呼ぶつもりだったが」
「悪かったな、タイミングが悪くて」
このタイミング以外にこれなかった。来てるのもバレルのもいけないし、思いのほか時間がかかった。
後数日でイベントが始まる・・・本当にギリギリだった。
「本当にな、・・・で話を戻すが、その理論では睡眠とは定期的に発生する【メンテナンス】と処理が追いつかずに発生する【処理落ち】の二つに分かれている。この中で特徴的なのは【処理落ち】の方だ、授業中眠くなったことあるだろ」
「たまにな」
「退屈な時に限って時間が長く感じられるだろ。あれは【処理落ちの状態だ】簡単な話理解できないから、脳が必死に回答を探そうとして高負荷状態になり落ちそうになるのがその論文の趣旨だ。ちなみに少しの刺激で目が覚めるのは負荷の状態の解除となっている。案外座禅見たく眠くなったら叩いて貰ってリセットした方が効率がいいのかもな。ちなみに爪で引っかくとかは殆ど意味ないぞ。不意打ちや、静電気じゃないとリセットするほどの力はないからな」
「へぇ」
それしか出てこなかった。しいて言えば静電気って目が覚めるのかって感じだ。
「でそれがどこにかかってくるんだ」
「さっしが悪いな、高負荷を【処理落ちと行ったんだ】簡単に言えば。【ここ一番は集中するな】まぁ集中しないように手はうってるみたいだが」
「?? そんなのやってないけど」
「無意識のうちにやってるのか、お前の【BGM】もその1つだ。環境音として認識してるかも知れんがそれは一点集中を妨害し、体感を長くしている」
へぇ、そんな機能があったんだ。
「ついでに、お主は考える方だから【高負荷に慣らしているんだろう】じゃないと他人の感情の共有とかできるはずも無いからな」
思い当たるふちは幾つかあるが。
「その理論だとあの死ぬときの、時が遅くなってるんのはどうなってるんだ」
「あれは、実際は【類似状況の検索】だそして無い場合は【逃避行動が始まり自分にとっての良い記憶がフラッシュバックする】大抵死ぬやつが良い顔する時はこれが原因だな。まぁ感情の修正で高揚状態にもはいるし、実際それで助かることもあるにはある。私は否定するがな、最初から高揚状態できて戦えといいたい」
「それは、火事場の馬鹿力と一緒でギリギリじゃないとでないものじゃないのか?」
「ならコントロールできるようになってからくるか、そんなことにならないように対策するべきだろう。【確立を信じるなど愚か者の行為だ】」
愚か者か確かにそうかもしれないが。
「その、確立ってのを本能で理解できるのも稀に居るみたいだぞ」
「ほぅ、なら今回のイベントも勝ってしまうな」
「まぁ、勝つかも知れないな」
「なんだ、結局いつもの変わらないではないか」
「いいや、今回は【流れを変える】ちゃんと方向を決め俺が負けるように。被害が少ないように誘導はしていくさ」
まぁ、そうなるかは7割位だか。【それぐらいできなければここに立っていない】
「・・・また話が脱線したな。いいかこれだけは覚えとけ【考える暇が欲しいなら、色々な事を考え処理を増やせ】【1つに集中するな。常に複数居ることを想定しろ】ついでに【相手の集中は切らすな。そこにあるはずのない勝ち筋が見えてくる】」
1つのことに集中するな、相手は集中させろ・・・ね
「無茶だね」
「それくらいしないと、突破できんな今回は。さて話は終わりだとっとと帰った帰った」
扉の外に弾き出され。そこは壁となって消える。鍵はなく今はもう壁としか認識されない。
「愚かな人ですね」
後ろから声がする。振り返れば先程まで寝てた少女がいた。
「わざわざ挨拶にきたのか」
「不快ですが、博士の客人ですし。不快ですがしょうがないので挨拶しにきました。不快ですが」
3回も言われることはよほど嫌っているんだな。顔からは見分けはつかないけど。
「・・・」
「なんですか?」
いや挨拶をしようとするなら、して帰ればいいじゃないか。
「他の用事でもあったの?」
「なんでそう思ったのですか?」
いや挨拶しないからだけど。
「エスパーだからさ」
「からかってるんですか」
「からかってるよ。それで結局なんの用?」
一瞬表情が変わった。
「おぉ」
つい声が上がってしまった。
「なんですか」
本来は変わらない表情が少し変わっている。
「いや、成長がわかってね」
「・・・不快です。えぇ、不快です。この気持ちは私でもわかります」
それはこちらからも見て取れた。しかし1ケ月でここまで成長するとなると、今までの思考実験はなんだったんだろうな。
「それで、そんな不快な貴方に質問があります」
「質問なんだい?」
「なんでこんな馬鹿な事をするんですか?」
「ん、意味がわからないぞ」
少女は一瞬止まり
「質問を変えます。今回のイベントに貴方は何を求めているんですか」
「全力で戦って負ける相手」
「負けた時、どうなるかわかってるんですが。周りにも被害がでるんですよ」
「知ってる」
「周りだけじゃないですよ、このイベントで多くの人が不幸になる。貴方はそれの責任を負えるのですか?」
「負えない」
表情が変わる。おぉ、負の感情は表情豊かになってきたな。
「最低ですね」
「そうだな」
「悪いと思わないのですか?」
「共感して確認して見れば。博士から許可は貰ってるんだろう」
「もうしてます」
「ならわかるだろう」
責任を負うのあたりから、心臓の鼓動が大きくなり。幾分か体も震えてる。
「いえわかりません、【そんな後悔してるならやらなきゃいいじゃないですか】」
「やらないと駄目なんだよ」
「何故ですか?」
「さぁ、何故だろうね」
きっかけはわかる。持て余した戦いしかなかったからだ。しかしそれだけでここまでやるのかと言われたら多分やらないだろう。
「そこらへんがわかるようになったら教えてくれ」
「私は貴方じゃないのでわかりません」
「なに、理論つけて頑張ってる君ならいずれたどり着くさ」
「・・・」
これで終わりかな、歩き出し。共有部分に戻る。
「待ってください」
少女に呼び止められる。振り向き少女の方を向く
「・・・、さようなら。次ぎ合う時はちゃんと殴れる場で一発殴らせて貰います」
・・・
「フフ、あぁ殴れるように祈ってるさ」
廊下は何処かに繋がっているように見えて、何処にも繋がっていない。
入り口は何処だったかは覚えていない、ただ何処かしらの扉を鍵を持った状態で開けただひたすら歩いてきただけで。そうしてただ歩きふと思いだしたかのようにそこで止まる。
模様も何も無いところに鍵を出す。そうするとまるで最初からあったかのように扉が現れる。
鍵穴に鍵をさしドアを開ける。ガチャリと音がし、ギィと軋んだ音があがる。
扉の先にはベッドに寝てる少女、PCの前に立つ男性しか見えない、狭く小さな部屋だ。
「きたか」
椅子を半回転させこちらを向く。いつものおちゃらけた口調は何処に言ったのやら、その顔は真剣な面持ちだった。
別段呼ばれたわけでもないし、呼んだわけでもなかった。ただ自分と同じできっとここに来るだろうと互いに確信があったのだと思う。
「それでどうするんだ」
「どうするの何も【流れに従うだけさ】」
「流れだと、激流の先にあるのは崖だぞ。落ちて死ぬだけだ」
先は崖、どうあがこうと【小さな物は流され大きな物は残る】
「報復は良い、むしろ進んでやるべきだ抑制の効果はある問題は【周知】だ。【わざわざ無差別に反感を買ってどうする】今は良くても、その【憎しみの炎】は消えることはないぞ。遊びではなく人生をかけて襲ってくる奴らが増えるぞ」
「それはわかってる」
「馬鹿かお前は」
博士の怒声が響く、起きるわけはないがベッドの少女が起きるのではないかとヒヤヒヤする。
「わかってるなら、何故こんな馬鹿な真似をした。知っててやるんであればもう知らん、勝手にくたばってくれ」
「これにも理由がある」
「理由だと?いつも通りの自己満足で強い奴と戦いたいからとかなら帰れ、馬鹿につける薬も無ければ、与える策も無い」
「まぁ単純に言えば、【現状の打破】だ」
ピクッと体を動かし、
「現状の打破、打破だと」
表情にはないはずの顔に青筋が立つのが見えるような気がする。
「あぁそうだ、【俺は勝ちすぎた】リスクの低いうちに負けなきゃいけなかったんだ。不正プレイヤーでも、運営でも、企業でも良かった」
「・・・」
話は・・・聞いてはくれそうだな。
「最初はしかたがない。【開幕はあれでなければ埋もれてしまう】問題は運営と企業の対処。特に企業の対処は完璧に間違えた。【買収ではなく倒産の流れに持っていくべきだった】」
「どちらも変わらないんじゃないか」
「いいやおおいに変わる。倒産なら【敵対するのが悪い】イメージが着く」
「それは、買収でも同じだろう」
同じなようで同じではない。厳密に言えば
「買収は【味方に益が出る】イメージなんだ」
「・・・」
「味方に益が出る。確かにそうだ、【最初は自ゲームのプレイヤーに金銭が与えられ】【運営と戦ったゲームは盛り上がり】【親しいプレイヤーに至っては巨万の富や企業との提携が行われている】開始半年でこれだ、【周囲が期待しないわけがなない】」
「なら、自分で・・・無理か」
「あれは【背負わないから長所となる】背負ってしまえば萎縮し、行動が鈍くなる」
「しかし、投げるにしても今の現状では神輿にされ結局被害を被るか」
「失敗をしてるなら別だった、意識不明の重体になったり。有り金全て無くしたりしていたら。こんな状態ではなかった」
「しかし結果は【一大イベントでは勝ち続き】負けは浸透していない、いや【負けも想定してると判断されるか】」
数分の沈黙は流れる。先に話したのは博士であった。
「だから、自壊すると」
「ついでにこれが終わったら、暫くは放浪するつもりだ」
「実験室はどうする」
「今回のイベント前に引き継ぐは行っている。他のも金剛グループを使えば何とかなるはずだ」
そう、そういう意味では律儀ではあった。後腐れなく離れられる。
「そうか・・・、ではわかったでアール。ミーにAIについては任せるのでアール」
いつもの調子に戻った。安心できるのか安心できないのか・・・
「ありがとうございます」
「・・・こんな話を知っているか。時間の体感についての仮説だ」
「スイッチの切り替えしたなら、もう少し持たせてくれませんかねぇ」
「なに、真面目な話は真面目に話したほうが聞く耳を持つだろう」
椅子を回転させ、机の方に向きなおす。
「人は何故寝るかを知ってるか?」
「確か疲労の回復と、記憶の処理だろ」
「ふむ、70点。記憶で無く【脳のメンテナンスだと】考えている。PC理論は覚えてるか」
あぁ、人間がPCとみなした考え方のことか。
「あぁ、覚えている。第一人者が博士と同じく追放されたこともね」
あの頃は人権団体やらのバッシングが酷かったからな。人を人とみなさない非人道的な論文と感情論で認証されなかった。
「本来はあやつもここに呼ぶつもりだったが」
「悪かったな、タイミングが悪くて」
このタイミング以外にこれなかった。来てるのもバレルのもいけないし、思いのほか時間がかかった。
後数日でイベントが始まる・・・本当にギリギリだった。
「本当にな、・・・で話を戻すが、その理論では睡眠とは定期的に発生する【メンテナンス】と処理が追いつかずに発生する【処理落ち】の二つに分かれている。この中で特徴的なのは【処理落ち】の方だ、授業中眠くなったことあるだろ」
「たまにな」
「退屈な時に限って時間が長く感じられるだろ。あれは【処理落ちの状態だ】簡単な話理解できないから、脳が必死に回答を探そうとして高負荷状態になり落ちそうになるのがその論文の趣旨だ。ちなみに少しの刺激で目が覚めるのは負荷の状態の解除となっている。案外座禅見たく眠くなったら叩いて貰ってリセットした方が効率がいいのかもな。ちなみに爪で引っかくとかは殆ど意味ないぞ。不意打ちや、静電気じゃないとリセットするほどの力はないからな」
「へぇ」
それしか出てこなかった。しいて言えば静電気って目が覚めるのかって感じだ。
「でそれがどこにかかってくるんだ」
「さっしが悪いな、高負荷を【処理落ちと行ったんだ】簡単に言えば。【ここ一番は集中するな】まぁ集中しないように手はうってるみたいだが」
「?? そんなのやってないけど」
「無意識のうちにやってるのか、お前の【BGM】もその1つだ。環境音として認識してるかも知れんがそれは一点集中を妨害し、体感を長くしている」
へぇ、そんな機能があったんだ。
「ついでに、お主は考える方だから【高負荷に慣らしているんだろう】じゃないと他人の感情の共有とかできるはずも無いからな」
思い当たるふちは幾つかあるが。
「その理論だとあの死ぬときの、時が遅くなってるんのはどうなってるんだ」
「あれは、実際は【類似状況の検索】だそして無い場合は【逃避行動が始まり自分にとっての良い記憶がフラッシュバックする】大抵死ぬやつが良い顔する時はこれが原因だな。まぁ感情の修正で高揚状態にもはいるし、実際それで助かることもあるにはある。私は否定するがな、最初から高揚状態できて戦えといいたい」
「それは、火事場の馬鹿力と一緒でギリギリじゃないとでないものじゃないのか?」
「ならコントロールできるようになってからくるか、そんなことにならないように対策するべきだろう。【確立を信じるなど愚か者の行為だ】」
愚か者か確かにそうかもしれないが。
「その、確立ってのを本能で理解できるのも稀に居るみたいだぞ」
「ほぅ、なら今回のイベントも勝ってしまうな」
「まぁ、勝つかも知れないな」
「なんだ、結局いつもの変わらないではないか」
「いいや、今回は【流れを変える】ちゃんと方向を決め俺が負けるように。被害が少ないように誘導はしていくさ」
まぁ、そうなるかは7割位だか。【それぐらいできなければここに立っていない】
「・・・また話が脱線したな。いいかこれだけは覚えとけ【考える暇が欲しいなら、色々な事を考え処理を増やせ】【1つに集中するな。常に複数居ることを想定しろ】ついでに【相手の集中は切らすな。そこにあるはずのない勝ち筋が見えてくる】」
1つのことに集中するな、相手は集中させろ・・・ね
「無茶だね」
「それくらいしないと、突破できんな今回は。さて話は終わりだとっとと帰った帰った」
扉の外に弾き出され。そこは壁となって消える。鍵はなく今はもう壁としか認識されない。
「愚かな人ですね」
後ろから声がする。振り返れば先程まで寝てた少女がいた。
「わざわざ挨拶にきたのか」
「不快ですが、博士の客人ですし。不快ですがしょうがないので挨拶しにきました。不快ですが」
3回も言われることはよほど嫌っているんだな。顔からは見分けはつかないけど。
「・・・」
「なんですか?」
いや挨拶をしようとするなら、して帰ればいいじゃないか。
「他の用事でもあったの?」
「なんでそう思ったのですか?」
いや挨拶しないからだけど。
「エスパーだからさ」
「からかってるんですか」
「からかってるよ。それで結局なんの用?」
一瞬表情が変わった。
「おぉ」
つい声が上がってしまった。
「なんですか」
本来は変わらない表情が少し変わっている。
「いや、成長がわかってね」
「・・・不快です。えぇ、不快です。この気持ちは私でもわかります」
それはこちらからも見て取れた。しかし1ケ月でここまで成長するとなると、今までの思考実験はなんだったんだろうな。
「それで、そんな不快な貴方に質問があります」
「質問なんだい?」
「なんでこんな馬鹿な事をするんですか?」
「ん、意味がわからないぞ」
少女は一瞬止まり
「質問を変えます。今回のイベントに貴方は何を求めているんですか」
「全力で戦って負ける相手」
「負けた時、どうなるかわかってるんですが。周りにも被害がでるんですよ」
「知ってる」
「周りだけじゃないですよ、このイベントで多くの人が不幸になる。貴方はそれの責任を負えるのですか?」
「負えない」
表情が変わる。おぉ、負の感情は表情豊かになってきたな。
「最低ですね」
「そうだな」
「悪いと思わないのですか?」
「共感して確認して見れば。博士から許可は貰ってるんだろう」
「もうしてます」
「ならわかるだろう」
責任を負うのあたりから、心臓の鼓動が大きくなり。幾分か体も震えてる。
「いえわかりません、【そんな後悔してるならやらなきゃいいじゃないですか】」
「やらないと駄目なんだよ」
「何故ですか?」
「さぁ、何故だろうね」
きっかけはわかる。持て余した戦いしかなかったからだ。しかしそれだけでここまでやるのかと言われたら多分やらないだろう。
「そこらへんがわかるようになったら教えてくれ」
「私は貴方じゃないのでわかりません」
「なに、理論つけて頑張ってる君ならいずれたどり着くさ」
「・・・」
これで終わりかな、歩き出し。共有部分に戻る。
「待ってください」
少女に呼び止められる。振り向き少女の方を向く
「・・・、さようなら。次ぎ合う時はちゃんと殴れる場で一発殴らせて貰います」
・・・
「フフ、あぁ殴れるように祈ってるさ」
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