コネクト 創造する世界
幕間 悪巧み
「もしもし、父さん?」
ふと、声が聞きたくなる。
「えっ、突然なんだって?いやちょっと声が聞きたくなってさ」
誰かと話したくなる。逃げ道を探したくて、免罪符が欲しくて。
「えっ、学校はどうだって?そこそこ楽しいよ。うん、うん、サークルにも入ったし。えっバイト、それに近いこともやってるし」
親には予備校に通っていたていとなっている。VRだって昔話したきりだ。
「でもさ、ひょっとしたら」  
ひょっとしたら日本にはいられなくなるかもしれない。逃げて親のところに行って飛行機のりになってるかもしれない。
自分のやることが馬鹿げたことなんてわかってる。そもそも、会社事を考えれば手が震えてしまう。
しかし、体は止まらない。一時に任せそして成功してしまった。
何度も何度も、多少の失敗はあるもののデカイ、ここぞというものは成功し続けてきた。その結果が今だ。もはや自分だけじゃ手がつけられなくなってしまっている。そしてその都度父さんに電話をかけ。
「あぁ、うん。わかった【頑張ってみるよ】」
がんばれの一言。いつもと変わらない。怖くて電話して、勇気付けられて。それでも怖くて。そうして寝る前に震えて、馬鹿らしくなってそうして、翌日には安定する。
その都度、一人じゃ生きていけないと確信する。そして、時が進むにつれ、自分一人で十分となる。
そうして、終わりないループを繰り返していく。恐らく今回も……願うなら上手く成功するように・・・
そうして、翌日には目覚まし時計に起こされ。昨日送るはずだったメールの幾つかを消し。ボケた頭で作戦の実行のメールを送る。
 
まずは隔離だ。自分と仲の良い現実のサークルメンバーや友人に対して、暫くは近づかないようにと警告をする。
そして、自分と遊んでいるメンバーには。遊びの誘いを行う。デカイのをあげるからどうだろうと。
最後に企業に対してはアポイントをとり、自分を売り巻き込んでいく。
その中の特にデカイのは、現実からもオファーしていく例えば・・・
ドアを開け、一階に降り。黒ガラスのいかにもな車に近づく。
「クク、準備はいいのか」
「あぁ、これでいい」
その辺の古着屋のジーンズとシャツをき、そこそこいい上着を羽織、車に乗る。
「スーツで来ると思ったが」
「礼節をわきまえないガキなどこれくらいでいいんだよ。変に来てくれば、変な気になってしまう」
「その、威勢がいつまで続くかの?」
その後の会話はなかった。自分が話すには緊張のしすぎだし、相手はこちらの状況を見て笑っている。
鼓動が早い。脳が失敗したと、開き直れで葛藤を続けている。
「到着致しました」
そうこうしているうちに、目的の場所についた。大きな高層ビルだ。周囲はスーツ姿の男性か、ブランドだと思われるファッションで着飾った女性がおり。ただ一人自分だけが浮いている。
「どうした、とっとといかんか」
羅漢を筆頭に周りをガードマンに固まれ。周囲のざわつきを聞きながら扉を開き。
「いら、大変申し訳ございません。羅漢様、奥のエレベーターをお使い下さい」
周囲がざわめく。エレベーターを待つ人員は、道を開け、羅漢がエレベーターの前につく頃にちょうど扉が開く。
エレベーターに乗る。
「お主たちはここまででいい」
「はっ」
ガードマンを含め周りが全員頭を下げている。まるで何処かの国王みたいだ。
「こらっ、羅漢様の前だぞ頭を下げないか」
頭を下げながら頭を下げろと命令してくる。
ふっと、笑ってしまう。あまりにも滑稽で馬鹿馬鹿しくて。周囲と自分とのギャップがありすぎて。声が漏れてしまう。
「あぁすまない。場を和ましてくれたんだな。おかげで楽になったよ」
あまりにもおかしくて、労いの言葉をかけてしまった。その光景にまたフフッと笑ってしまう。
「ふん、いくぞ【空海】」
色々とかかってはいるみたいだが。空想、現実には存在しないとういう空に、あらゆるものを飲み込む海をかけたものだと教わった。
「く、空」
ドアが閉まる。閉まる前に見えたのはお辞儀から、土下座に体制が変わる社員たちであった。
「いい社員じゃないか」
落ち着きを取り戻す。
「当然だ、【ワシの会社だぞ】」
「元が着くけどな」
エレベーターの窓から、外を眺めればみるみるうちに地上が低くなっていく。
「いったいこのビルにいくらかかってるんだが」
「お主が提供した金額の半分も満たないぞ」
ピコンと音がなり、秘書がこちらを出迎える。
「羅漢様、空海様、本日は頂きありがとうございます」
呼び出されたんじゃなくて、呼んだんだけどな。結果召集がかかったのがここなだけで。
「他の方々はお待ちになっております」
「どうやら、空海を待ってるようだぞ。普段からこれぐらい集まれば良ければもう少し稼げたんだがな」
秘書に連れられ奥のドアに案内される。
一礼しドアが開かれる。
ドアの先見える景色は一面の青。透明なガラス張りで床以外は全て外が見えるようになっている。
「久々に来たな、次来るときは涅槃はもう変わってると思ったが」
「私も貴方が来るのは葬式だと思ってましたよ」
「落ち着け、涅槃。新人の前だ」
涅槃と呼ばれるもの、その後は・・・
奇抜なファッションの女性が一人。一世代前の格好の女性が一人。そして中央の黄金眼鏡が一人か。趣味悪そうだな。
 
「馬食と詐修羅はどうした。片方は飯でも食ってると思うが」
「何、ちょっと呼ばれてましてね」
胡散臭い男と・・・、馬というか・・・
「では、【金剛会を始める】議題は新人の空海から」
全員が見えたと思ったら即会議が始まる。
「では、【金剛空海】が議題を」
ここはシンプルに完結に。
「来月行う。【イベント】に金剛グループとして噛むかどうか。その採決を行って頂きたい」
「メリットとデメリットを」
「噛まなければ、今までどおり。【金剛羅漢】をメインに行います。当然利益は羅漢の元で」
「わしの手元に余る奴はお主らに投げる形じゃな」
「当然、対象は【羅漢】で金剛グループには益は瞬間的に利益は入る可能性があるぐらいですかね」
「では噛んだ場合は」
さて、ここからかどう転がるか。
正直今までどおりの方が気が楽である。心情的には噛んで欲しくはない。そうは言っても今までの経験が勘が。噛むように促していく。
「【VRの利権】欲しくありません?データだけで人工しかかからず、しかし、一度はまれば半永久的に利益を与え続ける例えばこんな風にね」
前回見せた、データと同様のものを流す。
「ほぅ、これは」
「いいね、人もかけなくてもいいってのがいい」
なかなか、当たりはいいみたいだ。
「売れない場合のカンフル剤は?」
「そこはゲームです。【私は四年間は開発関係者と業務提携しております】」
「なるほど、幅が広いのはいいことです。ひょっとして最初から準備してました」
「準備はしてませんが【想定はしてました】」
限定解放、開発者の勧誘。ゲームの作成。全部が全部先の事を見据えてではないが、少なくとも今のぬるま湯を熱するぐらいの気持ちは持っていた。
元より、あんまり運営に期待できるものでもない。前科がありすぎる。
その他のプレイヤーも同様、基本的に関心を持てるレベルのプレイヤーは少ない。上位プレイヤーなら多少移動はあると思ったが動く気配が一行にない。あれから4ヶ月程度はたとうとしているのに、この体たらくだ。
結局自分のわがままを通したければ、環境を誘致し、餌を出し。相手を探すしかない。めんどくさい話である。
「それで、デメリットは」
「私が【金剛として動きます】」
「それのどこがデメリットなのかね」
「私はこれから、【分の悪い賭け】と【徹底した弱いもの苛めを行っていきます】つまり金剛グループとして、悪評が素早く伝達されます」
「……説明を」
さて、ここからか。
「これまた、単純に言えば。【最近、相手の張り合いがないので】こちらから殴ってもらえように環境を作ります。その際に利益も出そうなのでどうせなら派手にと召集させました」
「・・・」
当たりが静寂に包まれる。さてどっちだこれは。
「復唱してもらっていいかな」
「敵に張り合いがないので、環境構築して、張り合いがある奴を釣ります。規模がデカイほど、デカイのがかかるので貴女方も巻き添えにしようと考えました」
「利益云々は?」
「おまけです。強いていうなら、研究するのにジャマな奴らがいるのでそいつの排除も考えてるぐらいです。あぁ【私は責任を負いませんから】ミスったら空海ごと抹消してください」
再度の沈黙。そのあと、議会を開始した人物が
「つまり、【私利私欲の為に我々を使うと】」
「えぇ」
「己の欲望の為に【金剛グループを動かすと】」
「えぇ」
「責任は負わないと」
「えぇ」
……、司会進行はため息をつきは、周辺の表情は読み取れない。強いていうなら・・・
隣の羅漢が満面の笑みをしてるのが見てとれるだけだった。
「想定の予算はどうなっている?」
恐らく、最後の選択だろう。ここで、間違えれば少なくとも【安く見積もれば】問題なく、逆に【高すぎても】却下されて安心できるだろう。
だから攻めるのはギリギリのライン。【自分の権限が及ぼすであろう最大の金額】を入れ込めば良い。
「予算?何を言ってるんですか」
口元が乾く。声が枯れそうになる。
「【貴方がたが認証すれば私は私が使える範囲を全額使います】」
そうだな、あれが兆の単位だから。
「最低【5000億】私が引っかけた物はそのぐらいの価値はあったはずだ、後ついでに言えば【私は予算をくれなんていってません】」
「クク、カカカ」
羅漢は笑いを堪えている。
「【貸した借りを返してくれって言ってるんです】まぁ、私はしましたがあれも貸しなはずですよ」
「金剛の名前を渡したと思うが?」
「馬鹿ですか?それはお返しじゃなくてただの称号でしょ。むしろ有名になるので金払って欲しいですが」
「カカカ、カーカッカ」
ついに笑うことを堪えきれず、羅漢の笑い声が廻りに響き渡る。
「聞いたか、これが【空海】じゃ。酷いだろ」
「度しがたいな」
司会の男は諦めた顔で言う。
「そうですか?有象無象よりかは印象がはっきりしていいと思うわよ」
パンクの女性が賛同する。
「そんなことよりも、金だそんなにすぐに引っ張り出せるものはあるのか?」
胡散臭い男も賛同か、過半数は超えたな。
「今回に限っては、私のところも開けましょう。結末に興味があります」
羅漢の後釜も賛同。
「僕も初めから賛成派だったけど。まさかここまでとはね」
丸君(仮称)も賛成だし。これは全員一致かな。
各々が、個別に話し出す。
「なんだ?もう決まったのか」
「クク、そうじゃ。通ったぞ【一大イベント】が」
一大イベントか、確かにそうだな。
手をタンタンと叩き。注目を戻す。
「デメリットは先ほど述べましたがいいんですね」
「問題ない。いやもう意味がないといった方が良いか」
「私達が呼ばれて理由は各部署からの予算の算出だと思ってた」
「しかし、実際は自分の部署……いや違うか、【僕達に貸している金の請求だからね】いや、全く驚いたよ」
「そこまでの度胸はないとでも?」
「ククク、小僧普通はだな」
いつも通り羅漢の説明が始まる。
「普通はな、貴様のような若造はな。例え自分の金でもあまりの大金だと周囲に伺いをたてるものじゃ。今回もそうだと思ってたし。ワシ含めて審議だと思っておったわ」
いつも通りのギラギラな目付きでこちらを見つめてくる。
「さてこれで【逃げ場はなくなったぞ】クク、後はもう進むだけだ」
「お見通しか」
「クク、人なんてそんなもんだ。むしろこの年でそこまでできるお主は十分やっていけると思うぞ。まぁ」
肩を叩かれ
「期待しているぞ。わし含め、ここに居る全員がな」
ふぅ。胃が痛い話だが。
「まぁやるだけやってみるさ」
ふと、声が聞きたくなる。
「えっ、突然なんだって?いやちょっと声が聞きたくなってさ」
誰かと話したくなる。逃げ道を探したくて、免罪符が欲しくて。
「えっ、学校はどうだって?そこそこ楽しいよ。うん、うん、サークルにも入ったし。えっバイト、それに近いこともやってるし」
親には予備校に通っていたていとなっている。VRだって昔話したきりだ。
「でもさ、ひょっとしたら」  
ひょっとしたら日本にはいられなくなるかもしれない。逃げて親のところに行って飛行機のりになってるかもしれない。
自分のやることが馬鹿げたことなんてわかってる。そもそも、会社事を考えれば手が震えてしまう。
しかし、体は止まらない。一時に任せそして成功してしまった。
何度も何度も、多少の失敗はあるもののデカイ、ここぞというものは成功し続けてきた。その結果が今だ。もはや自分だけじゃ手がつけられなくなってしまっている。そしてその都度父さんに電話をかけ。
「あぁ、うん。わかった【頑張ってみるよ】」
がんばれの一言。いつもと変わらない。怖くて電話して、勇気付けられて。それでも怖くて。そうして寝る前に震えて、馬鹿らしくなってそうして、翌日には安定する。
その都度、一人じゃ生きていけないと確信する。そして、時が進むにつれ、自分一人で十分となる。
そうして、終わりないループを繰り返していく。恐らく今回も……願うなら上手く成功するように・・・
そうして、翌日には目覚まし時計に起こされ。昨日送るはずだったメールの幾つかを消し。ボケた頭で作戦の実行のメールを送る。
 
まずは隔離だ。自分と仲の良い現実のサークルメンバーや友人に対して、暫くは近づかないようにと警告をする。
そして、自分と遊んでいるメンバーには。遊びの誘いを行う。デカイのをあげるからどうだろうと。
最後に企業に対してはアポイントをとり、自分を売り巻き込んでいく。
その中の特にデカイのは、現実からもオファーしていく例えば・・・
ドアを開け、一階に降り。黒ガラスのいかにもな車に近づく。
「クク、準備はいいのか」
「あぁ、これでいい」
その辺の古着屋のジーンズとシャツをき、そこそこいい上着を羽織、車に乗る。
「スーツで来ると思ったが」
「礼節をわきまえないガキなどこれくらいでいいんだよ。変に来てくれば、変な気になってしまう」
「その、威勢がいつまで続くかの?」
その後の会話はなかった。自分が話すには緊張のしすぎだし、相手はこちらの状況を見て笑っている。
鼓動が早い。脳が失敗したと、開き直れで葛藤を続けている。
「到着致しました」
そうこうしているうちに、目的の場所についた。大きな高層ビルだ。周囲はスーツ姿の男性か、ブランドだと思われるファッションで着飾った女性がおり。ただ一人自分だけが浮いている。
「どうした、とっとといかんか」
羅漢を筆頭に周りをガードマンに固まれ。周囲のざわつきを聞きながら扉を開き。
「いら、大変申し訳ございません。羅漢様、奥のエレベーターをお使い下さい」
周囲がざわめく。エレベーターを待つ人員は、道を開け、羅漢がエレベーターの前につく頃にちょうど扉が開く。
エレベーターに乗る。
「お主たちはここまででいい」
「はっ」
ガードマンを含め周りが全員頭を下げている。まるで何処かの国王みたいだ。
「こらっ、羅漢様の前だぞ頭を下げないか」
頭を下げながら頭を下げろと命令してくる。
ふっと、笑ってしまう。あまりにも滑稽で馬鹿馬鹿しくて。周囲と自分とのギャップがありすぎて。声が漏れてしまう。
「あぁすまない。場を和ましてくれたんだな。おかげで楽になったよ」
あまりにもおかしくて、労いの言葉をかけてしまった。その光景にまたフフッと笑ってしまう。
「ふん、いくぞ【空海】」
色々とかかってはいるみたいだが。空想、現実には存在しないとういう空に、あらゆるものを飲み込む海をかけたものだと教わった。
「く、空」
ドアが閉まる。閉まる前に見えたのはお辞儀から、土下座に体制が変わる社員たちであった。
「いい社員じゃないか」
落ち着きを取り戻す。
「当然だ、【ワシの会社だぞ】」
「元が着くけどな」
エレベーターの窓から、外を眺めればみるみるうちに地上が低くなっていく。
「いったいこのビルにいくらかかってるんだが」
「お主が提供した金額の半分も満たないぞ」
ピコンと音がなり、秘書がこちらを出迎える。
「羅漢様、空海様、本日は頂きありがとうございます」
呼び出されたんじゃなくて、呼んだんだけどな。結果召集がかかったのがここなだけで。
「他の方々はお待ちになっております」
「どうやら、空海を待ってるようだぞ。普段からこれぐらい集まれば良ければもう少し稼げたんだがな」
秘書に連れられ奥のドアに案内される。
一礼しドアが開かれる。
ドアの先見える景色は一面の青。透明なガラス張りで床以外は全て外が見えるようになっている。
「久々に来たな、次来るときは涅槃はもう変わってると思ったが」
「私も貴方が来るのは葬式だと思ってましたよ」
「落ち着け、涅槃。新人の前だ」
涅槃と呼ばれるもの、その後は・・・
奇抜なファッションの女性が一人。一世代前の格好の女性が一人。そして中央の黄金眼鏡が一人か。趣味悪そうだな。
 
「馬食と詐修羅はどうした。片方は飯でも食ってると思うが」
「何、ちょっと呼ばれてましてね」
胡散臭い男と・・・、馬というか・・・
「では、【金剛会を始める】議題は新人の空海から」
全員が見えたと思ったら即会議が始まる。
「では、【金剛空海】が議題を」
ここはシンプルに完結に。
「来月行う。【イベント】に金剛グループとして噛むかどうか。その採決を行って頂きたい」
「メリットとデメリットを」
「噛まなければ、今までどおり。【金剛羅漢】をメインに行います。当然利益は羅漢の元で」
「わしの手元に余る奴はお主らに投げる形じゃな」
「当然、対象は【羅漢】で金剛グループには益は瞬間的に利益は入る可能性があるぐらいですかね」
「では噛んだ場合は」
さて、ここからかどう転がるか。
正直今までどおりの方が気が楽である。心情的には噛んで欲しくはない。そうは言っても今までの経験が勘が。噛むように促していく。
「【VRの利権】欲しくありません?データだけで人工しかかからず、しかし、一度はまれば半永久的に利益を与え続ける例えばこんな風にね」
前回見せた、データと同様のものを流す。
「ほぅ、これは」
「いいね、人もかけなくてもいいってのがいい」
なかなか、当たりはいいみたいだ。
「売れない場合のカンフル剤は?」
「そこはゲームです。【私は四年間は開発関係者と業務提携しております】」
「なるほど、幅が広いのはいいことです。ひょっとして最初から準備してました」
「準備はしてませんが【想定はしてました】」
限定解放、開発者の勧誘。ゲームの作成。全部が全部先の事を見据えてではないが、少なくとも今のぬるま湯を熱するぐらいの気持ちは持っていた。
元より、あんまり運営に期待できるものでもない。前科がありすぎる。
その他のプレイヤーも同様、基本的に関心を持てるレベルのプレイヤーは少ない。上位プレイヤーなら多少移動はあると思ったが動く気配が一行にない。あれから4ヶ月程度はたとうとしているのに、この体たらくだ。
結局自分のわがままを通したければ、環境を誘致し、餌を出し。相手を探すしかない。めんどくさい話である。
「それで、デメリットは」
「私が【金剛として動きます】」
「それのどこがデメリットなのかね」
「私はこれから、【分の悪い賭け】と【徹底した弱いもの苛めを行っていきます】つまり金剛グループとして、悪評が素早く伝達されます」
「……説明を」
さて、ここからか。
「これまた、単純に言えば。【最近、相手の張り合いがないので】こちらから殴ってもらえように環境を作ります。その際に利益も出そうなのでどうせなら派手にと召集させました」
「・・・」
当たりが静寂に包まれる。さてどっちだこれは。
「復唱してもらっていいかな」
「敵に張り合いがないので、環境構築して、張り合いがある奴を釣ります。規模がデカイほど、デカイのがかかるので貴女方も巻き添えにしようと考えました」
「利益云々は?」
「おまけです。強いていうなら、研究するのにジャマな奴らがいるのでそいつの排除も考えてるぐらいです。あぁ【私は責任を負いませんから】ミスったら空海ごと抹消してください」
再度の沈黙。そのあと、議会を開始した人物が
「つまり、【私利私欲の為に我々を使うと】」
「えぇ」
「己の欲望の為に【金剛グループを動かすと】」
「えぇ」
「責任は負わないと」
「えぇ」
……、司会進行はため息をつきは、周辺の表情は読み取れない。強いていうなら・・・
隣の羅漢が満面の笑みをしてるのが見てとれるだけだった。
「想定の予算はどうなっている?」
恐らく、最後の選択だろう。ここで、間違えれば少なくとも【安く見積もれば】問題なく、逆に【高すぎても】却下されて安心できるだろう。
だから攻めるのはギリギリのライン。【自分の権限が及ぼすであろう最大の金額】を入れ込めば良い。
「予算?何を言ってるんですか」
口元が乾く。声が枯れそうになる。
「【貴方がたが認証すれば私は私が使える範囲を全額使います】」
そうだな、あれが兆の単位だから。
「最低【5000億】私が引っかけた物はそのぐらいの価値はあったはずだ、後ついでに言えば【私は予算をくれなんていってません】」
「クク、カカカ」
羅漢は笑いを堪えている。
「【貸した借りを返してくれって言ってるんです】まぁ、私はしましたがあれも貸しなはずですよ」
「金剛の名前を渡したと思うが?」
「馬鹿ですか?それはお返しじゃなくてただの称号でしょ。むしろ有名になるので金払って欲しいですが」
「カカカ、カーカッカ」
ついに笑うことを堪えきれず、羅漢の笑い声が廻りに響き渡る。
「聞いたか、これが【空海】じゃ。酷いだろ」
「度しがたいな」
司会の男は諦めた顔で言う。
「そうですか?有象無象よりかは印象がはっきりしていいと思うわよ」
パンクの女性が賛同する。
「そんなことよりも、金だそんなにすぐに引っ張り出せるものはあるのか?」
胡散臭い男も賛同か、過半数は超えたな。
「今回に限っては、私のところも開けましょう。結末に興味があります」
羅漢の後釜も賛同。
「僕も初めから賛成派だったけど。まさかここまでとはね」
丸君(仮称)も賛成だし。これは全員一致かな。
各々が、個別に話し出す。
「なんだ?もう決まったのか」
「クク、そうじゃ。通ったぞ【一大イベント】が」
一大イベントか、確かにそうだな。
手をタンタンと叩き。注目を戻す。
「デメリットは先ほど述べましたがいいんですね」
「問題ない。いやもう意味がないといった方が良いか」
「私達が呼ばれて理由は各部署からの予算の算出だと思ってた」
「しかし、実際は自分の部署……いや違うか、【僕達に貸している金の請求だからね】いや、全く驚いたよ」
「そこまでの度胸はないとでも?」
「ククク、小僧普通はだな」
いつも通り羅漢の説明が始まる。
「普通はな、貴様のような若造はな。例え自分の金でもあまりの大金だと周囲に伺いをたてるものじゃ。今回もそうだと思ってたし。ワシ含めて審議だと思っておったわ」
いつも通りのギラギラな目付きでこちらを見つめてくる。
「さてこれで【逃げ場はなくなったぞ】クク、後はもう進むだけだ」
「お見通しか」
「クク、人なんてそんなもんだ。むしろこの年でそこまでできるお主は十分やっていけると思うぞ。まぁ」
肩を叩かれ
「期待しているぞ。わし含め、ここに居る全員がな」
ふぅ。胃が痛い話だが。
「まぁやるだけやってみるさ」
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