コネクト  創造する世界

AAA

仮想と現実 周回特典

このゲームの一周目と2周目は別のゲームである。


2回目の召喚と言えば、たいして問題ないように聞こえるが。それは本質を知らない人間なだけだ。それ前提で動いた2周目は、一周目とは比べ物にならない。なぜなら、【初めから2周目を前提で動いているからだ】


これは、このゲームの根幹が関わってくる。【生存するだけでいい】


何もしなくていい、ただ隠れるだけでいい、逃げるだけでいい。強いものの取り巻きになって守ってもらうのもいい。生存すればいいのだ。やりようはいくらでもある。


そうして、なんとか一周目を生き残れば。【弱点の消えた召喚が手に入る】妨害のできる火力型、唯一の弱点を補完した防御型。魔力だけの一芸特化も2周目を考えれば十分に考慮に値する。


自分もそうだ。耐久型の万能役を召喚することにより、2周目を暴れるつもりだった。そう最初から規定路線ではあった。液状化と毒耐性さえあれば、後はどうとでもなる。そんな考えだったのだが。


「何故か知らないが最終段階まで解放できてしまったからな」


ステージ1のギミックと思われる。【ここに来たプレイヤー】を処理していく。ここで散っていったのが多いのか。かなりの数が襲ってくる。


当然相手も2周目だ、穴を埋めてくる。地面を沈めながらレーザーを発射する。空中に胞子を撒き、触れたら爆発しさらに寄生される。どれもこれも一筋縄にいきそうにないやつらばっかりだ。


しかし、所詮は【対人だ】なら、1周目と同様で倒せる。


倒せないやつは趣向を変える。内部の魚を巨大化させ破裂させるのもよし。増殖させて、魔力を吸引し、枯渇させるのもよし。


そもそも体内に入らない相手も。


「しっ」


思いきり殴り飛ばせば、撲殺できる。相手の攻撃は液状化で避け、蒸発させたり、不純物を混ぜようとすれば、同化して糧とする。やがて体は馴染んでいき。数時間もすれば【完成する】


1周目とは効率が違う、手法が違う。なにより【やる気が違う】


1周目では、やる気がない人物も2周目では好戦的になる。状況を知ってるから、準備ができたから。おのおのの理由で本気で殺しにかかってくる。なかには完全燃焼してゆったりとしてるやつもいるが、それは稀だろう。


そうして、準備を終えたら普段なら。上位者による、バトル・ロワイアルが発生するのだが……


「今回は、大型だけか……。【つまらん】」


恐らく、ステージ1のクリア条件であろう。巨大な敵に遭遇する。


背中の羽や姿から見るに天使の類か。


いや、言い方が変か、敵が発生する箇所を手当たり次第行ったら。ここにたどり着いたが正解か。


「ィィィン」


高音の叫び声なのかなんなのかわからないが音を発生させる。


ここに来てから何度か見てるプレイヤー達が現れたから、召喚なんだろう。


先程同様に処理していく。


「待ってくれ、お」


【俺達は彼処に囚われたプレイヤー】だ。【もしくは別のところで戦っているプレイヤー】か、


だからなんだと言いたい。そういうのは、お涙頂戴が効く奴等にやるべきだ。さくさくと人を倒すのに抵抗ないやつにするもんじゃない。


あっけなく処理が終る。また、あの音を出して再召喚する。処理は魚に任して、自分は本題に向かう。


透過、増殖、風適正を行い作成した魚を作る。プレイヤーが魔力の用いた攻撃がくればくらい。【増殖し遊泳する】敵の体に入れば毒をいれ、自分の体に入れば。魔力を吸引出す。そのぐらいの行動パターンは【事前に用意している】他にもいくつかのパターンは作ってある。何が起きても問題はないよう。対処できるよう準備はしてある。


その他大勢も大勢が片付いた所で本題に入る。しかし現状倒すのが早すぎるのか、プレイヤーの召喚しかおこなえていない。


つまり【殴り放題である】そうしてある程度殴り続ける。


やがて、巨大な天使が徐々に形を変え、悪魔のような形となってくる。普通は光って無敵やら、透明な壁がでてきてダメージが食らわないものだが、今回に限っては悪手である。


壁を剥がし【こちらも相手と同化する】そういう召還だ今回の召還は。


自分への侵食が終わった装備が相手を侵食していく。増殖、増加、巨大化、透過、その変化に対しもてる結果を全てだし、同化を行っていく。


しだいに、変化が訪れたのは天使の方だった。


「&%&’”#」


声にならない叫び声を出す。それは人でなくても悲鳴だとわかるようなそんな声だった。


暴れることも、同化を邪魔することもできない。ただなすがままされるだけだ。


想定してないことには何もできないのがAIの弱点だ、そもそも進化や変化中はどう処理するのか……今度聞いてみるか。


そうして、1時間程度時間がたてば。ボスであろう天使を吸収することができた。まぁ抜け殻が残ってしまったが。


「さて、先に進むか」


まぁ、どうせ先に進めないだろうが。


そうして、ステージのゴール地点に着いたが、やはりゴールは開かなかった。


「まぁ、想定どおりだよ」


「こっちは想定外だよ」


「規格外だな」


無理やり【ゴール地点を空けた後】、先程聞こえた声の方を向いたが誰も居なかった。先に進むことにする。


「景色は変わらず、地形が変わったぐらいか」


もう【クリアまでの道筋はできてるんだけどな】


先程同化した、天使を召還する。だいたいの場合想定していないもののコストは0になってる。これは設定の忘れよりかは、PCが強すぎるためAIの救済用にしてるところが多い。まぁ今回は前者だと思うが。


魚と時と同様、増殖、魔法吸引、透過。さらに同化を加え召還する。後は【適当にうろついていれば勝手に終わっていく】


人口のAIは【周辺を散策しろ】【動く奴が居たら近づいて吸引しろ、できないなら殴れ】【一定値に達したら増殖しろ】【散策の起点は動く標的とする】


これぐらい、設定しておけば後はあっちでなんとかしてくる。


増殖するのを確認した後、次の準備を行う。


目の前にある。スタート地点の転移装置を同化させる作業に挑む。


まず、固着か。魔法やらなんやらのはずだから、そういったものを固着、物質化するものだ。


触れるようになるのを確認し次は同化を行っていく。これは元から設定されないものを新規で取りにいくので時間がかかってしまう。また中身を確認しながらやらないと挙動がおかしくなりそうなので、丁寧に分解しながら同化を行っていく。


……、何も動かない状態だとさっきのあれを思い出すな。


感覚が全部失われて、ただ待っているあの時はしんどかった。自分が限界だと感じた時には数ヶ月たっていたらしいが、個人的には15日程度にしか感じていなかった。【同じ時間を共有】していたかはわからないが、近いうちに実験は行いと思う。


……、まだかかりそうだ、あの天使もどきはこのステージのボスを倒せているだろうか。一応少しは弄くったからそれなりには機能するはずだし、透過と同化さえあれば物理も魔法も大丈夫なはずだが。


「さすがに即死とかの概念攻撃する奴いないよな」


いても、増殖による数の暴力でなんとかなると思うが少し気になるな。


一回作業を中断し、周囲を見てみると。馬鹿でかい羽をした巨大生物が10体程度何かしてるのが見えたのでまた作業に戻る。


……、よし同化は完了した。それじゃあ歩いていくか。多分もうあっちは終わってるとおもうが。


右往左往した数十体のデカブツを目印に歩き出した。


「結構派手にやったんだな」


地面の抉れぐあい。何かあったと思われる痕跡から、それなりに大規模な戦闘があったと思われる。


「まぁ、次回に期待するか」


そうしてゴール地点の渦に入り、ステージ3に移行する。


ステージ3は1、2とは違い。大きな門が見えるだけだった。良く見ると門の前に何かがたっている。


後ろを向き、転移装置を見る。先程と同様、固着し同化させる。そして、天使の同化で手に入れた【勝利のフラグ】を転移装置に流し込む。後は元に戻して。そこに入れば【ステージクリアだ】


渦の中に入る。次に見えた光景は、数時間前に見たあの場所だった。元から居た三人はだんまりとなっていたが。約二名ほどグッとガッツポーズしてるのが居るので。恐らくクリアしたのだろう。戦友の二人はこちらに近寄ってくる。


「完走した感想は?」


「温すぎだな、公式イベントの方が難しかったぞ」


「いいやがるぜ、この、この」


こっちに近寄り、背中を叩かれ。頭にグリグリと攻撃される。クリアしたことに安堵したのか、満面の笑みを浮かべる二人を見て。


「あれ、まともにやるときついのか」


「「きっつい」」


息を合わして二人が言う。やれ二面は一面のメタだの、一面の変化した後はかなりきついだの。最後の三面はボスが頭おかしくて攻撃する前に死ぬだの。愚痴がただ永遠と続いていった。


「はいはい、詳しいのは3周目でな」


「「はい?」」


「とりあえず、クリアしたとこだし、考察しながら、三週目やろうぜ」


「「今日はもう勘弁」」


しゃあないな。いったん帰るか……あっ。


「どうした」


「俺は大変なことに気づいた」


「何に気づいたの」


深刻な顔に、二人は緊張した顔で聞き返してくる。


「俺、このゲームクリアするのに、現実に1日たってねぇ」


その言葉を聞いた際の二人は、今まで見た中で最も酷い顔をした。



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