コネクト  創造する世界

AAA

仮想と現実 二日目 儀式

このゲームには、試練というものがある。


巨大生物、災害、伝染病、多くの種類を試練として与えてくる。今回は……


「脅威の試練か……」


目の前の男は珍しい者をみるような目でこちらを見てくる。


表からじゃ見えないが。マントのようなものを羽織ってる。中世の魔術師のような服装か。


「……効かない……か」


「何かしたようだね」


「何もできなかったみたいだけどね」


この時点で、手札はなくなった。後できることは


「何をしてるんだい」


「何かの芸かな」


「……いや、【生贄のポーズ】を一応」


それを言い終わると、相手はポカンとし。


「舐めてるの」


「いや全力ですよ。それともまずは謝罪したほうがいいですか」


体から冷や汗が出るが、できることがないのでしかたがない。


逃げる?無理だだったら初めから隠れて行動すればいい。


じゃあ戦う?無理だ、この召還は暗殺ぐらいしかできない。


時間稼ぎ?したところで何になる【それをするのは仲間を勧誘しようした場合だ】【一人で動いた俺には意味はない】


じゃあやることは何が残る。ソロで行動したから得た情報、そんなの【生贄の手法しかない】


ならば、怒られようがなんだろうが。もう【捧げたほうがいい】それで終わるならそこまでだ。


「なら何故、最初からやらない。【私ごときでは最後だけでいいとでも】」


憤怒していることがわかる。相手の周囲の空間が歪む。


「【これしか知らないもので】教えてくれるんなら最初からやりますが」


言い終われば、男は消え、


頭を掴まれる。できることはこのポーズを変えないことだけ。


「……ふむ」


「本当みたいだね、というか凄いね。もうここまできたんだ」


頭から手を離して。また元の位置に戻る。


「まぁ、ここまでは何とかなったさ、今はまだ情報が全然ないんだ。もうこの時点で今回は終了だし、【次に残す何かが欲しいなら】もうここはこう動くしかない」


「戦ったほうがいいんじゃない」


「それを試みて【さっき負けたのさ】ジョーカー使ったのにスペ3で返された感じだな。わかったのはスペ3を使ったということぐらいだ」


まぁ、つまり【毒が効かないのと】【体内が詰まってる、もしくは体に入らないように抵抗何かがある】そこまでだ、とういかこの時点で現段階では【何もできないと考えられる】


推測から考えるに相手は、魔力で身体的、魔術的に強化した何かだ。敵として脅威がでるならだいたい【一つ先の脅威だ】つまり、二日目以降の準備で【戦いになる】レベル……、つまり今回のような対人用なら勝てるわけがない。


「札の幾つかが効けばよかったんですがね」


「うん、まぁわかってると思うけど」


「【全て無効だったよ】まぁ便利だと思ったけど」


まぁ、一応【他の手】もあるが、今使ってもなぁ。


「それで、俺は【贄】になれるのかい?」


「………、いいだろう【贄】にしてやる、しかしいいのか」


「かなりきついよ、わかってると思うけど」


「「その【器】じゃ、ただの塵だ、捧げられるものじゃないね」」


つまり、無理やり上げる必要があるってことか。


「ならば……、あげて貰いましょう、何か方法があるんでしょう?」


「あるには、あるよ」


「たえられるか、不明だけどね」


さてどんなものになるか。


「わかってると思うけど、僕達が求めているものは【正気の人間だ】死体じゃないし、壊れたものでもないよ」


「ようは、痛みに耐え切れず、精神崩壊したり、ショック死したら、無駄死にってことだね」


「それでいいです、始めましょうか」


その回答に少し間をおいて……


「今なら見逃してもいいよ」


「でも貴方方にはもう会えないかもしれないんですよね」


「まぁ無理だね」


「そもそもエンカウント自体は稀だしね僕ら」


「なら、捧げる一択ですね、【蟲毒もループするんでしょう】」


「……」


反対を向き、また顔が出てくる。


「あぁ、彼は君の底上げに入ったから、これからは僕が相手をするよ」


「……、顔二つあったんですね」


「まぁ、そうそうあるもんじゃないね」


男は、後ろ向いたりまた戻ったり。している。


「さて、僕がどういう状態なのかある程度は知ってるよね」


「人口AIで、神様を擬似的に構成した場合。どういう反応を示すか……宗教問題用と本格的な人口AI搭載にするにあたりの安全性の試験とかですかね」


「だいたい、合ってる。じゃあ今がどんな状況かもわかるよね」


そこがわからないんだよなぁ。


「……、いえわかりません」


「あぁ、まだ戻ってないのか。なら死んで戻ったらわかるさ。まぁ君達には良くない状況であることは確かだね。僕達はどうでもいいけど」


「準備できたぞ」


男の頭の上に、黒い何かが浮かんでいる。


「さてこれが底上げだけど本当にいいの?」


最後の忠告とばかりに、男は聞いてくる。


「構いませんやってください」


「えーと、モーションで最後の構えにした方がいいよ、固定しとけば痛みとかあっても体制を変えないだろ」


あぁ、そういえばそうか


体勢を儀式の体制に変えふと気づく。


「あれ……、これ周りに狙われたらどうします?」


「そうだねぇ」


何かをとなえると、空間が歪み。


「はい、これで多分大丈夫。さてはじめようか」


何をしたのかはわからないが、まぁ大丈夫なのだろう。


目の前に黒い物体が浮かぶ、それが体の上に浮かび。顔からそのどす黒いなにかを受ける。


衝撃が走る。体が重く。体は小刻みに震える。


徐々に体が何かに浸食されるのがわかる。侵食された場所は痛みが伴う。体が潰されるような痛みに襲われながら、ただ耐える。


顔の方は更によくわからなくなっていた、眼球等の顔のパーツと呼ばれる箇所はもはや感覚を失くし。ただ痛みだけが残った……それなら、まだよかった。


抉れたはずの目から映像が流れ込む、自分が殺した相手の視点だった。目の前で自分に殺されていく、何度も、何度も、絶え間なく映像が続く。そして死ぬたびに更に激痛が走る。


殺され、更なる激痛が走り。殺されなくても、体はどんどん侵食し、痛みがどんどん増えていく。


耐えるのには、前まで受けていたもの……だけでは難しく。気を失いそうになるたびに過去の経験、乗り越えた試練、助け合った仲間、今この状態への怒り。そんなことを考えながら、体全体の侵食に耐え切った。


「……」


なんとかなった。そう言おうとした、現に痛みは引いてきており。視覚もまだフラッシュバックで映像が残っているが、視覚自体は問題はなく。黒しか見えない。


問題はないはずだ、五感も通常通り。声がでないのは喉もやられたからだ。そう感じたかった。


……、何時間たったのか。もう痛みも引き。感覚も【何も感じないだけだ】


……、今どれだけ時間がたったがわからない。まだおわらないのか。


……、まだかまだかまだかまだか






















……


「すごいね、器までみたせたよ」


「うん、凄いね。だけどここから先、耐えられるかな」


まだ器が満たされただけだ。後は【馴染むまで待つだけ】


馴染むまでどれくらいまで、かかるかは不明だ、一般的な時間で、日、月、年。いつ馴染むかはわからない。


「彼は保てるかな自我を」


「ここまできたなら保って貰いたいものだね」






……


どれくらい時間がたったであろう。まるでわからない。どの感覚も生きていない状態では、限界はある。


何も聞こえず、何も見えず、何も感じず。まだ痛みがあったほうがわかりやすかった、まだ殺した相手の映像があるほうがわかりやすかった。


まずいな、さすがにこの光景が何ヶ月も続いてるがこれに耐えられそうもない。


まだ考え事、新しいことの構想、後は適当に今回の事について考察とかできるが、だいたいはまとまってしまったからなぁ。


まぁ、これいこうがきつそうだし。無理やり馴染ますしかないか。








……


「大丈夫かな、彼」


「まだ、大丈夫な気がするけど。それにまだ2ヶ月でしょ」


「僕達と彼らの感覚を比べちゃいけないよ、……ん」


彼の体中の紋様が動き出す。


「死んだかな、確か心臓に集まって。捧げ物の玉になるんだっけ」


「まぁ、その場合は無効だけどね、結局駄目だったのかな」


「……、そもそもなんでこんな早く死ぬんだい?あれって確か【肉体的に死んだ場合だよね】」


「ひょっとして、何かやってる?」










……


外部になにかすることができないが、内部はなにかできそうだったので、とりあえず【自分で毒を生成し】自分を瀕死にすることにした。


それにより、痛み等は一切ないが。視界が霞むような、眠たくなるような感覚で、毒がまわったのを判断する。後は外側の何かを無理やり使って治療を行っていく。


馴染むとはようは適合していないことである。今このPCは魚と魂を交換している。つまり他の何かをとりくもうとした場合、この交換した魂が邪魔をして馴染まなくなる。


この馴染まないのを馴染ます方法は幾つかある。例えば自分よりも巨大な器で自分を閉じこみ、自分に馴染ませる。この方法は現在やっている方法だ。この方法ならいつかは適合して馴染むだろう。ただどれくらいかかるかわからない。【感覚を飛ばせる魔法があれば】それでも良かったが、今の場合はそんなことしてたら気が狂ってしまう。


最初の方はフラッシュバックでなんとか保ってきたがそれもきつくなってきた。今はもうあの光景すら思い出せない。だから、


体を瀕死にし、無理やり適合させる。


さてうまくいくかどうか。


「……」


感覚が戻らないから、無理やり体が馴染ませているように、そういう【イメージを行う】


体に纏ってあると思われる何かを、使って魔力を生成し、それを抗生物質に変える。またそれとは別の毒をまた作り、それをまた抗生物質に変える。そうして体に纏わりつくものを【魔力として吸収していく】


……、そうこうしていくうちに生成ができなくなったので、とりあえず体に全部馴染んだと判断し、液状化して体を一回元に戻す。


「ふぅ」


ようやく、五感が戻り。いつぞやにあった男の方を見る。


「あぁ、儀式中でしたっけ、確かこう」


また儀式のポーズを行う。


その状況をポカンとしている男が一人。


「あれどうしました?」


やるならとっとやってくれないか、そう思いながらポーズをとる。


「えい」


また何ヶ月のぶりかのボールを食らう、しかし馴染んでいる体にはむしろ、よく馴染むだけだった。


「えい、えい、えい」


余りに多くるので、また生成と抗生物質の無限ループで無理やり消化する。


「おぉ、そうやって馴染ませたのかぁ」


「凄いね、本当に無理やり馴染ませたよ」


パチパチと拍手しながら、こちらに近づいてくる。


「それでどうする、もう一度戦ってみる。今ならそれなりに戦えるんじゃない?」


「うーんそうだなぁ」


いつものスキルを購入し、最終日と同じような構成となる。


「まぁ、ここまでやったし。【変わらず贄でいい】多分戦うよりも得られるもの多そうだ」


「……、君は狂人の類かな」


「うーん、そこらへんでいくと、探索者とかドリーマーとかそう言い方はされるな」


「それは、なんだい」


「TRPGっていうのがあるから、そこらを調べて見たらわかるよ」


まぁ、人工知能なんだし勝手に調べるだろう。


「なんだったら【スカイアースの実験室】っていう場所がそういうの扱ってるから使っていいぞ。ロックって奴にいつものあれだって言えばわかるから」


「とりあえず、そのロックって言う人は大変だなってことがわかった、そうだね」


また男から光が出たかと思うと、何かのポーズが頭に刻み込まれる。


「これは?」


「ちゃんとした捧げ方だよ」


「あぁ、これでちゃんと捧げられると」


「まぁ、こんなの熱心な信奉者でも捧げられた事がないけどね」


言われたとおり、頭に刻まれたポーズをとり、最後に言われたポーズを行う。すると体から感覚が消えていく、たまに感じたことがあるこの感覚は……あぁ


「久しぶりの死か」


こうして、イベントで

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