コネクト 創造する世界
正式版 祭りの後 責任
正式版三時間後の午後13時、自分やあそこで戦っていた有志の方々等含め、二十名近くがスカイアースの実験室に人員が集まっている。
「みなさん、まずは集まって頂いてありがとうございます。私はコネクト社の林です。今回はこの度起こりました不正者についての後始末について説明したいと思います」
「説明? 」
「当然だな」
何人かの人員は戸惑ったり、当然の行いをしたと胸を張ってる人たちが居る。しかし殆どの人員は浮かないかをしている。無理もない、あの惨劇を見たんだから。社長も……だめだな、完璧に血が上ってる。
「待て、ちょっといいか」
「はい、なんでしょう」
「今回の事件で何人の人が犠牲になったんだ」
「えぇ、あなた方のおかげで【0.1%】以下に抑えることができました」
「良かった」等のほっと一息ついた人がいる、それは大きな勘違いだ。社長が苦い顔をしてる時点で、そんな低規模で扱ってよい範囲を超えてる。
「そういう煙に巻く言い方はよくないな」
「……何か疑問点でも、金剛殿」
「はっきり言わんかい。いったい【何人】これに関わったのか」
「ですから【0.1%】『わしが聞いてるのは人数だ』」
金剛が一括する。まぁそうなるよな。0.1%も【コネクト全体】の数だろう。
「話を逸らすな、その【範囲が述べられていない】%等、塵も同然じゃ」
「……」
林さんは黙る。まぁそうだよな。【1000万人】だっけ初日の予想アクティブユーザーは。
「7638人これが巻き込まれた人数だ」
「社長! 」
社長が被害人数の言葉を出す。約8000人が巻き込まれたか、そして
「なるほどな、して【被害者】は何人かの」
「……、7000名近くが被害者だ」
「ほう、500名も不正者が居たと。社長はそう発言をするか」
「私の渡した不正者用プログラムも不正者として扱われた。それが水増しの原因だ。」
苦しい言い訳だな。【攻撃】しないと不正所として認識しない仕様なのに、不正者として認識されたということは行動をとったということだろ。何人攻撃側に回ったのかな。
実際に不正者を入れた空間は四桁の人員が入ってた。これはつまり社長のプログラムをダビングして配った奴が居ることにほかならない。多分後で追求が入るだろうな。
「ほうそうかそうか、ところで我々が設置した、不正者用『金剛』」
言葉を制止する。その情報をここでだしていいものじゃない。後で出したほうが武器になる。
「その話は後にしようか。今は被害者の確認だ」
「……、わかったわい」
「さて、社長今回の責任はどうとるつもりで」
「それは、規約に書いてあるとおりだ。【コネクト接続状態の被害者は自己責任とする】」
そういうしかないとは言え、よく言えるなその言葉。
「一応聞いておきますが、何人が【責任内】で」
「0人だ。【全員がコネクト接続での被害者だからな】」
「馬鹿な」「そんな」等の声が上がる。まぁそりゃあそうだろうな。経営者の立場としてそういうしかないだろう。
「ちょっと待ってくれ、被害者は不正者に【強制的】にコネクト接続状態にされたんだぞ」
「だとしてもだ、そこが【接続】状態だったことに変わりはない」
「糞が」
さて、【準備】は整った。そろそろ動き始めますか。
「なるほど、まぁ被害者はいいでしょう」
「おい、ちょっと待て何がいいって言うんだ」
「【自己責任】です。運がないと諦めてもらいましょう。【運営】からの補短は」
「何だとあいつらはなぁ『黙れ』」
冷酷に、暗い表情で発言する。
「だったら、お前が7000人守れ、勿論【負担】も全てお前だ」
「なっ、俺はいちユー『ユーザーという第三者で自分を騙ってんじゃねぇ』」
それが答えだ、見なかった奴が悪い、聞かなかった奴が悪い。想定してなかった奴が悪い。この世界はそういう風に回っている。今回の騒動も【規約】のってる以上追及はできない。
「運営はβの際に規約に自己責任であることを告げていた。それが運営の責任だ。この話はこれ以上の広がりはできない」
「じゃあ、てめぇはその【責任】とやらをとったのかよ」
「自分と金剛の二人の企画で【今回不正を犯した人員全員を捕縛しているが】」
「な、馬鹿もやすみやすみ言え、そんなのユーザーができるわけないじゃないか」
……、まぁ【ユーザー側】に居る以上そういうしかないよな。
「彼の発言は本当だ、彼のゲームに不正者は【捕縛】されている」
「そんな、嘘だ」
あくまでも認めないつもりか、ならば
「お前は、この一ヶ月間何してたんだ」
「いきなり、何だ」
「お前はこの一ヶ月間なにしてたと聞いている」
「俺が何してようがいいじゃねぇか」
「そうか、俺はなこの一ヶ月間【自分の保身】の為に動き回ったぞ」
「はっ」
「βで社長自ら【敗北宣言】したからな。必死に不正者対策をしたぞ、開発者を探す為に現実世界で開発者のフレンドを探したり、規約を読み穴がないかを発見したり。金剛氏のような思慮深き人物に会ったり」
まぁ、最後のは嘘だがな。
「……」
「自ら、ゲームを考え、不正者対策を考案し、自ら本社に出向き。法律の専門家にも話を聞き。抜けがないように対策をし続けた。【一ヶ月】な。でのうのうと遊んでばっかりで、いざ不都合が起きると【責任】だのピーヒャラ言ってるお前は、いったい何をしたんだ。βで社長自ら【悪意に負けたと】言ったんだ。ユーザーに対策を投げたんだ。さぞ凄い対策をしてたんだよなぁ」
「……」
「どうした、さっきまでの威勢はどうした。お前にとっての【責任】はどうした」
「俺はただのユーザーだ」
「そうか、なら【ユーザー如きが口答えするな】したいならせめて個人で行え」
それが【責任】だ。ユーザーだの第三者など言ってる、お客様状態が立ち入っていい領域じゃないんだよ。
「ちなみにお前が不正者と戦えたのは、【俺がそう提案】したからだ。そうでなければ【ユーザ】のお前が勝てるわけないだろ」
「つまりは、俺達が戦えたのはあんたのおかげと」
別の方から発言がされる。高圧的な態度にしすぎたせいか、ユーザーからの印象が敵意に変わってる。
「いや、そうは言ってない。俺は【責任】なんていうもんだから、反論しただけだ。じゃあお前は何をやったんだと」
「……」
まーた黙ったよ。こいつら都合が悪くなると黙るよな。自分もそうだけど。
「そもそもの話、お前らはコネクトが不正者対策してないとでも思っているのか」
「それは、当然行ってるとは思う」
「そうか、では次の質問だ。お前らはゲーム中常に監視されても文句は言わないのか」
「常に監視だと、それは文句いうに決まってるだろ」
「そうか、それじゃあ最後の質問。システムもスキルも可変性がない、つまり自由がないゲームをやるとしたらどう思う」
「そんなの、【VRゲームじゃない】」
そうか、【監視もなく】【可変も自由なゲーム】でシステム管理者は【不正者】を探せとそういうのか、千いや万もいるユーザの中から。
「そうか、俺の感想は【ふざけるな】だな。んな状態で不正者なんて捕捉できるわけないだろ。どうやって不正を発見するんだよ」
「それは、俺たちができないような事で『自分ができないことを他人に求めるなよ』」
「どっかの馬鹿はお客様は神様だろってふんぞり返ってる奴らがいるか、それは【運営】側の台詞だぞ。ここのように1000万のユーザーが居るのにたかが一人消えようが何も問題ないよな。わかってはいると思うが、運営は対策を行ったうえで、管理ができないと【公言】してるんだぞ。規約にも書いてる。お前ら【規約に同意】してやってんだろ。その時点でこの論議は無意味なんだよ」
「……」
「何度も言うが、対策に対策に重ねて、それを大っぴらに公言して、バッシングを受けて、それに納得してゲームやってる人間が、いざ対策抜かれて、規約道理の対応したら責任追及されるっておかしくないか? 少なくとも俺にはクレーマーにしか見えないね。俺の意見何か間違ってる」
「いや、何も間違ってはいない。しかしだとすれば【被害者】はどうするんだ。あれだけのことをされてトラウマを植えつけられ、何にもないのか」
何にもない? また話がずれてきてるな。
「何もないわけないだろ。トラウマの治療費や慰謝料は払うよ、表向きはできないが裏ではコネクトも動くんじゃない」
「はっ」
「確かに、【運営】は動かない。しかし実行者は別だろ。不正者に対応した被害者探し出して追及すればいい。まぁそこは問題ない。こちらには【金剛氏】がいる」
金剛の方をチラッと見る。これは金剛が負担するという意味ではなく。金剛に今回の【首謀者】と打ち合わせて貰い、手打ちを貰うって言う話だ。金剛もその意図に気づいているだろう。
「ふむ、まぁいいじゃろう。今回の不正者の補短は【ワシが責任を持とう】それでいいな、野部社長」
「……、…あぁ、それでいい」
これで【金剛にとっては最善】になった。人権団体、その他の権利会社全ての【弱み】を握れ、その権利は【コネクト社ではなく金剛個人の元になった】以降は【金剛はこっちをアシスト】してくれるだろう。
「それじゃあ、話を進めて今回の『ちょっと待ってくれ』」
制止がかかる。今度は何だ。
「なんでしょうか」
「あぁ、悪い。あんたが企画者だと聞いたからな。質問なんだが【何故俺たちは不正者に勝てたんだ】」
あぁ、理由か確かに気になるよな。
「少し長くなるが、よろしいでしょうか」
「あぁ、構わない」
「では、まず結論から。【視点が違うのです】」
「視点が違う? どういうことだ」
「一方がRPGがメインに、もう一方はTRPGがメインのゲームとなってます」
「ちょっと待て、俺たちはRPGのゲームをやっていたはずだぞ」
「VRゲームでTRPGをする。それがあなた方につけたTRPG【コネクトゲーム】です。この場合システム処理は【TRPGのゲーム一環でRPGをやってる】処理となります。つまりメインゲームはTRPGで今回はRPGのゲーム世界で遊んでいるという形となります」
これが肝になってくるんだよな。最初はこんな想定ではなかったんだがな。詰めていったり議論したりしているうちにエグイ【システム】へと変わって言ったな。
「……、なんとなくだがわかった。それでその視点が違うと何が変わるんだ」
「例えば、VRの一般的なRPGを考えましょう。ここで不正者が体力を無限にする。そうすると体力が無限となる。ここまではいいですね」
「あぁ、いい」
「さて、ここで疑問です。【不正者はどうしゃって体力を無限にしたのでしょう】」
「そりゃあ、【体力を弄くったんじゃないのか】」
「恐らく違います。それは【リスク】が大きすぎる」
「リスク? 」
「えぇ、リスクです。中身自体を弄くってしまったら【後が残る可能性がある】戻らない危険性もね。だから恐らく不正者は何処かからデータを引っ張ってきてるはずです。例えば【複数人で戦うユニークモンスター】とかまぁモンスターデータをソートして一番体力が多いモンスターのデータでもひっぱてるんじゃないんですか」
「だからか、いきなり名前が変わったのは」
「恐らく、そしてモンスター用のデータなので、そんな値を想定してないユーザーのステータスは」
「バグって文字化けを起こすわけか」
そう、多分【今回】のハッカー共はデータを引っ張って不正を行っている。だからこそ今回の手は使えた。
「しかし、これがTRPG視点だと変わってくる。なぜなら【体力無限大】等、TRPGを探せばごまんと居ます。今回はそのような体力無限大があるTRPGを選び、付与させました」
例えば最後のビーストだと。【獣化】した奴を相手にするとき。獣の因子を持ってない奴らはダメージを与えることはできない。
「だからか、【一度死なないと発動しないのは】」
「そういうことです。一般人からプレイヤーキャラに変わることにより、【無限大の体力】が倒せるようになる。しかし無限大は機能し続けてることになります。その結果、【そのTRPGに適応した何かが発生します】これは【設定にTRPGの要素が追加されたからです】設定が使用されれば、当然システムも機能します。ビーストの場合なら自己再生能力とかね」
「そして、適用された設定によって侵食もされていくと」
「えぇ、そしてそこで矛盾が起こります」
「矛盾? 」
「無敵の矛盾です、ビーストの場合なら【自己再生能力】の矛盾ですね。再生能力が強すぎるんです」
「そうなると、どうなるんだ」
もう敵意は何処にいったのやら、今は手品の種明かしを楽しむように笑っている。
「当然検索をかけます。【このシナリオにおいてのモンスターの情報をね】、そして当然そんなモンスターは見つかりません。そうすると」
「タイム、タイムじゃ。少し考える時間をくれ」
「今回はいいでしょう、金剛氏」
「そこをなんとか。すぐに終わるかな」
「しょうがないですね5分だけですよ」
「よし、お前ら集まれ、ワシにシステムを教えろ」
本当に、毎回これやってるな。まぁいいんだけどさ。
そうしてがやがやと十分ぐらい経とうとした頃結果がでたのか。お爺ちゃんが元の席に戻ってくる。
「待たせたの。それで答えなんじゃが【ユーザー指定のコモンモンスター】となるでいいかの」
「いいです。ではここから先は金剛氏でいいですかね」
「ウム、任された。といっても後は簡単だがの。コモンモンスターになってしまうと即死攻撃が効くようになる。つまり【雑魚敵用即死スキル】が発動できるんじゃ。お主が使ったのもそのスキルなんだろ」
「おしい90点でしたね今回は」
爪が甘かったな今回は。
「なんじゃ、どこが甘かったんじゃ」
「正確にはLV1のコモンモンスターでした」
「LV1……、しまった消滅系か」
「そうです、自分のLV以下の雑魚敵を消滅させるスキルを使いました」
「当然、このシステムは」
「なかったので私が作りました」
まぁ、普通はGMが作ったモンスターか公式モンスター使うからな、このような不正用のシステムはなかった。
「毎度思うが、発想がエグイゾお主」
その後には【相手は人だぞ】が続くのだが、金剛は言わない。これ以上は無粋だと判断したのだろう。
「さて、これが対策内容ですが。これで満足ですか」
「あ、あぁ、これだけ聞ければ十分だ」
よし、これでこの件はひと段落だな
「さて、それでは今度こそ今回の報酬について話しましょうか」
「みなさん、まずは集まって頂いてありがとうございます。私はコネクト社の林です。今回はこの度起こりました不正者についての後始末について説明したいと思います」
「説明? 」
「当然だな」
何人かの人員は戸惑ったり、当然の行いをしたと胸を張ってる人たちが居る。しかし殆どの人員は浮かないかをしている。無理もない、あの惨劇を見たんだから。社長も……だめだな、完璧に血が上ってる。
「待て、ちょっといいか」
「はい、なんでしょう」
「今回の事件で何人の人が犠牲になったんだ」
「えぇ、あなた方のおかげで【0.1%】以下に抑えることができました」
「良かった」等のほっと一息ついた人がいる、それは大きな勘違いだ。社長が苦い顔をしてる時点で、そんな低規模で扱ってよい範囲を超えてる。
「そういう煙に巻く言い方はよくないな」
「……何か疑問点でも、金剛殿」
「はっきり言わんかい。いったい【何人】これに関わったのか」
「ですから【0.1%】『わしが聞いてるのは人数だ』」
金剛が一括する。まぁそうなるよな。0.1%も【コネクト全体】の数だろう。
「話を逸らすな、その【範囲が述べられていない】%等、塵も同然じゃ」
「……」
林さんは黙る。まぁそうだよな。【1000万人】だっけ初日の予想アクティブユーザーは。
「7638人これが巻き込まれた人数だ」
「社長! 」
社長が被害人数の言葉を出す。約8000人が巻き込まれたか、そして
「なるほどな、して【被害者】は何人かの」
「……、7000名近くが被害者だ」
「ほう、500名も不正者が居たと。社長はそう発言をするか」
「私の渡した不正者用プログラムも不正者として扱われた。それが水増しの原因だ。」
苦しい言い訳だな。【攻撃】しないと不正所として認識しない仕様なのに、不正者として認識されたということは行動をとったということだろ。何人攻撃側に回ったのかな。
実際に不正者を入れた空間は四桁の人員が入ってた。これはつまり社長のプログラムをダビングして配った奴が居ることにほかならない。多分後で追求が入るだろうな。
「ほうそうかそうか、ところで我々が設置した、不正者用『金剛』」
言葉を制止する。その情報をここでだしていいものじゃない。後で出したほうが武器になる。
「その話は後にしようか。今は被害者の確認だ」
「……、わかったわい」
「さて、社長今回の責任はどうとるつもりで」
「それは、規約に書いてあるとおりだ。【コネクト接続状態の被害者は自己責任とする】」
そういうしかないとは言え、よく言えるなその言葉。
「一応聞いておきますが、何人が【責任内】で」
「0人だ。【全員がコネクト接続での被害者だからな】」
「馬鹿な」「そんな」等の声が上がる。まぁそりゃあそうだろうな。経営者の立場としてそういうしかないだろう。
「ちょっと待ってくれ、被害者は不正者に【強制的】にコネクト接続状態にされたんだぞ」
「だとしてもだ、そこが【接続】状態だったことに変わりはない」
「糞が」
さて、【準備】は整った。そろそろ動き始めますか。
「なるほど、まぁ被害者はいいでしょう」
「おい、ちょっと待て何がいいって言うんだ」
「【自己責任】です。運がないと諦めてもらいましょう。【運営】からの補短は」
「何だとあいつらはなぁ『黙れ』」
冷酷に、暗い表情で発言する。
「だったら、お前が7000人守れ、勿論【負担】も全てお前だ」
「なっ、俺はいちユー『ユーザーという第三者で自分を騙ってんじゃねぇ』」
それが答えだ、見なかった奴が悪い、聞かなかった奴が悪い。想定してなかった奴が悪い。この世界はそういう風に回っている。今回の騒動も【規約】のってる以上追及はできない。
「運営はβの際に規約に自己責任であることを告げていた。それが運営の責任だ。この話はこれ以上の広がりはできない」
「じゃあ、てめぇはその【責任】とやらをとったのかよ」
「自分と金剛の二人の企画で【今回不正を犯した人員全員を捕縛しているが】」
「な、馬鹿もやすみやすみ言え、そんなのユーザーができるわけないじゃないか」
……、まぁ【ユーザー側】に居る以上そういうしかないよな。
「彼の発言は本当だ、彼のゲームに不正者は【捕縛】されている」
「そんな、嘘だ」
あくまでも認めないつもりか、ならば
「お前は、この一ヶ月間何してたんだ」
「いきなり、何だ」
「お前はこの一ヶ月間なにしてたと聞いている」
「俺が何してようがいいじゃねぇか」
「そうか、俺はなこの一ヶ月間【自分の保身】の為に動き回ったぞ」
「はっ」
「βで社長自ら【敗北宣言】したからな。必死に不正者対策をしたぞ、開発者を探す為に現実世界で開発者のフレンドを探したり、規約を読み穴がないかを発見したり。金剛氏のような思慮深き人物に会ったり」
まぁ、最後のは嘘だがな。
「……」
「自ら、ゲームを考え、不正者対策を考案し、自ら本社に出向き。法律の専門家にも話を聞き。抜けがないように対策をし続けた。【一ヶ月】な。でのうのうと遊んでばっかりで、いざ不都合が起きると【責任】だのピーヒャラ言ってるお前は、いったい何をしたんだ。βで社長自ら【悪意に負けたと】言ったんだ。ユーザーに対策を投げたんだ。さぞ凄い対策をしてたんだよなぁ」
「……」
「どうした、さっきまでの威勢はどうした。お前にとっての【責任】はどうした」
「俺はただのユーザーだ」
「そうか、なら【ユーザー如きが口答えするな】したいならせめて個人で行え」
それが【責任】だ。ユーザーだの第三者など言ってる、お客様状態が立ち入っていい領域じゃないんだよ。
「ちなみにお前が不正者と戦えたのは、【俺がそう提案】したからだ。そうでなければ【ユーザ】のお前が勝てるわけないだろ」
「つまりは、俺達が戦えたのはあんたのおかげと」
別の方から発言がされる。高圧的な態度にしすぎたせいか、ユーザーからの印象が敵意に変わってる。
「いや、そうは言ってない。俺は【責任】なんていうもんだから、反論しただけだ。じゃあお前は何をやったんだと」
「……」
まーた黙ったよ。こいつら都合が悪くなると黙るよな。自分もそうだけど。
「そもそもの話、お前らはコネクトが不正者対策してないとでも思っているのか」
「それは、当然行ってるとは思う」
「そうか、では次の質問だ。お前らはゲーム中常に監視されても文句は言わないのか」
「常に監視だと、それは文句いうに決まってるだろ」
「そうか、それじゃあ最後の質問。システムもスキルも可変性がない、つまり自由がないゲームをやるとしたらどう思う」
「そんなの、【VRゲームじゃない】」
そうか、【監視もなく】【可変も自由なゲーム】でシステム管理者は【不正者】を探せとそういうのか、千いや万もいるユーザの中から。
「そうか、俺の感想は【ふざけるな】だな。んな状態で不正者なんて捕捉できるわけないだろ。どうやって不正を発見するんだよ」
「それは、俺たちができないような事で『自分ができないことを他人に求めるなよ』」
「どっかの馬鹿はお客様は神様だろってふんぞり返ってる奴らがいるか、それは【運営】側の台詞だぞ。ここのように1000万のユーザーが居るのにたかが一人消えようが何も問題ないよな。わかってはいると思うが、運営は対策を行ったうえで、管理ができないと【公言】してるんだぞ。規約にも書いてる。お前ら【規約に同意】してやってんだろ。その時点でこの論議は無意味なんだよ」
「……」
「何度も言うが、対策に対策に重ねて、それを大っぴらに公言して、バッシングを受けて、それに納得してゲームやってる人間が、いざ対策抜かれて、規約道理の対応したら責任追及されるっておかしくないか? 少なくとも俺にはクレーマーにしか見えないね。俺の意見何か間違ってる」
「いや、何も間違ってはいない。しかしだとすれば【被害者】はどうするんだ。あれだけのことをされてトラウマを植えつけられ、何にもないのか」
何にもない? また話がずれてきてるな。
「何もないわけないだろ。トラウマの治療費や慰謝料は払うよ、表向きはできないが裏ではコネクトも動くんじゃない」
「はっ」
「確かに、【運営】は動かない。しかし実行者は別だろ。不正者に対応した被害者探し出して追及すればいい。まぁそこは問題ない。こちらには【金剛氏】がいる」
金剛の方をチラッと見る。これは金剛が負担するという意味ではなく。金剛に今回の【首謀者】と打ち合わせて貰い、手打ちを貰うって言う話だ。金剛もその意図に気づいているだろう。
「ふむ、まぁいいじゃろう。今回の不正者の補短は【ワシが責任を持とう】それでいいな、野部社長」
「……、…あぁ、それでいい」
これで【金剛にとっては最善】になった。人権団体、その他の権利会社全ての【弱み】を握れ、その権利は【コネクト社ではなく金剛個人の元になった】以降は【金剛はこっちをアシスト】してくれるだろう。
「それじゃあ、話を進めて今回の『ちょっと待ってくれ』」
制止がかかる。今度は何だ。
「なんでしょうか」
「あぁ、悪い。あんたが企画者だと聞いたからな。質問なんだが【何故俺たちは不正者に勝てたんだ】」
あぁ、理由か確かに気になるよな。
「少し長くなるが、よろしいでしょうか」
「あぁ、構わない」
「では、まず結論から。【視点が違うのです】」
「視点が違う? どういうことだ」
「一方がRPGがメインに、もう一方はTRPGがメインのゲームとなってます」
「ちょっと待て、俺たちはRPGのゲームをやっていたはずだぞ」
「VRゲームでTRPGをする。それがあなた方につけたTRPG【コネクトゲーム】です。この場合システム処理は【TRPGのゲーム一環でRPGをやってる】処理となります。つまりメインゲームはTRPGで今回はRPGのゲーム世界で遊んでいるという形となります」
これが肝になってくるんだよな。最初はこんな想定ではなかったんだがな。詰めていったり議論したりしているうちにエグイ【システム】へと変わって言ったな。
「……、なんとなくだがわかった。それでその視点が違うと何が変わるんだ」
「例えば、VRの一般的なRPGを考えましょう。ここで不正者が体力を無限にする。そうすると体力が無限となる。ここまではいいですね」
「あぁ、いい」
「さて、ここで疑問です。【不正者はどうしゃって体力を無限にしたのでしょう】」
「そりゃあ、【体力を弄くったんじゃないのか】」
「恐らく違います。それは【リスク】が大きすぎる」
「リスク? 」
「えぇ、リスクです。中身自体を弄くってしまったら【後が残る可能性がある】戻らない危険性もね。だから恐らく不正者は何処かからデータを引っ張ってきてるはずです。例えば【複数人で戦うユニークモンスター】とかまぁモンスターデータをソートして一番体力が多いモンスターのデータでもひっぱてるんじゃないんですか」
「だからか、いきなり名前が変わったのは」
「恐らく、そしてモンスター用のデータなので、そんな値を想定してないユーザーのステータスは」
「バグって文字化けを起こすわけか」
そう、多分【今回】のハッカー共はデータを引っ張って不正を行っている。だからこそ今回の手は使えた。
「しかし、これがTRPG視点だと変わってくる。なぜなら【体力無限大】等、TRPGを探せばごまんと居ます。今回はそのような体力無限大があるTRPGを選び、付与させました」
例えば最後のビーストだと。【獣化】した奴を相手にするとき。獣の因子を持ってない奴らはダメージを与えることはできない。
「だからか、【一度死なないと発動しないのは】」
「そういうことです。一般人からプレイヤーキャラに変わることにより、【無限大の体力】が倒せるようになる。しかし無限大は機能し続けてることになります。その結果、【そのTRPGに適応した何かが発生します】これは【設定にTRPGの要素が追加されたからです】設定が使用されれば、当然システムも機能します。ビーストの場合なら自己再生能力とかね」
「そして、適用された設定によって侵食もされていくと」
「えぇ、そしてそこで矛盾が起こります」
「矛盾? 」
「無敵の矛盾です、ビーストの場合なら【自己再生能力】の矛盾ですね。再生能力が強すぎるんです」
「そうなると、どうなるんだ」
もう敵意は何処にいったのやら、今は手品の種明かしを楽しむように笑っている。
「当然検索をかけます。【このシナリオにおいてのモンスターの情報をね】、そして当然そんなモンスターは見つかりません。そうすると」
「タイム、タイムじゃ。少し考える時間をくれ」
「今回はいいでしょう、金剛氏」
「そこをなんとか。すぐに終わるかな」
「しょうがないですね5分だけですよ」
「よし、お前ら集まれ、ワシにシステムを教えろ」
本当に、毎回これやってるな。まぁいいんだけどさ。
そうしてがやがやと十分ぐらい経とうとした頃結果がでたのか。お爺ちゃんが元の席に戻ってくる。
「待たせたの。それで答えなんじゃが【ユーザー指定のコモンモンスター】となるでいいかの」
「いいです。ではここから先は金剛氏でいいですかね」
「ウム、任された。といっても後は簡単だがの。コモンモンスターになってしまうと即死攻撃が効くようになる。つまり【雑魚敵用即死スキル】が発動できるんじゃ。お主が使ったのもそのスキルなんだろ」
「おしい90点でしたね今回は」
爪が甘かったな今回は。
「なんじゃ、どこが甘かったんじゃ」
「正確にはLV1のコモンモンスターでした」
「LV1……、しまった消滅系か」
「そうです、自分のLV以下の雑魚敵を消滅させるスキルを使いました」
「当然、このシステムは」
「なかったので私が作りました」
まぁ、普通はGMが作ったモンスターか公式モンスター使うからな、このような不正用のシステムはなかった。
「毎度思うが、発想がエグイゾお主」
その後には【相手は人だぞ】が続くのだが、金剛は言わない。これ以上は無粋だと判断したのだろう。
「さて、これが対策内容ですが。これで満足ですか」
「あ、あぁ、これだけ聞ければ十分だ」
よし、これでこの件はひと段落だな
「さて、それでは今度こそ今回の報酬について話しましょうか」
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