コネクト  創造する世界

AAA

最初の三日間 悪意

VR機器発売当初、FPS、RPG、レース、ロボットアクション……。様々なゲームが出た。




しかし数ヵ月後に残ったのはRPGと昔からナンバリングされていたゲームのみだった。他のゲームの多くは一部のマイナーが買う程度になり、多くのゲームは消えていった。何故こうなったのか……答えは簡単だった。RPG以外のゲームはユーザーの技量に関わるものだった……ただそれだけだ。


例えば対人ゲームで剣を使うゲームだとしよう。


お互いに剣を持って戦う。しかし剣道の有段者と素人が戦った場合、どちらが勝つだろうか?
答えは当然有段者が勝つ。では次に素人に特定の振りや構えを行えるモーション機能をつけたとしよう、どちらが勝つだろうか……


答えは有段者の圧勝だ。何故なら相手は同じモーションや同じ構えでの攻撃してこないからだ。つまり相手のモーションがわかれば相手の次の手がわかる。フェイントのモーションも一緒、必殺のモーションも一緒、かといってマニュアルでの操作は太刀打ちできず、結果、元からあるモーションではない、新たなモーションを作る人物と元から基礎を知ってるもの以外ゲームから去った。


FPSもレースもそう、全てにおいて自分が持っている技量で実力が決まってしまうのだ。勿論本当はそうではない、どんなゲームもそれを反復していけばそのゲームに対応して強くなることができる。しかし最初からある程度の技量を持ったものがいることで……


スタート地点が違うことですぐに人は辞めていく。


他にも悪意を持った人物が【憂さ晴らし】に初心者を狩ったり、ろくにゲームをプレイしないで【勝てないから糞ゲー】といってアカウント凍結覚悟で不正行為を行う人物が増えていき人口がどんどん減っていった。このような状況の中でもRPG以外のゲームが生き残ったのはコネクトがゲーム会社を支援し続けたからにほかならない。その結果、VRゲームは【昔はやったMMORPGのような、レベルと装備によって強さが決まる技量が関係ないゲーム】と【適宜にアシストを切らないと、クリアすら困難な技量と経験がものを言うゲーム】に別れた。またそれによって遊ぶユーザの層を別れた。結果としてお互いのユーザー同士の関係は、ある程度はうまくいっていた。しかし大部分は技量に関係ないところで遊んでいるユーザーだ。当然技量が全てのところにくればボコボコにされる。そして不正を使う。しかしそれでも圧倒的技量の前にやられる。怒ったユーザーは相手が不正をしたと相手を名指しで公表する。そしてその映像を見せる。










……結果は簡単だ。圧倒的な技量を持つほうが弾圧される。理由は【自分ではできない】からだ。そうしてそのユーザーは【不正者のホームに行くと弾圧される】、「チーター」だの「インチキ野朗」だのそうして【そこで遊ぶ半数以上から弾圧】されゲームから……VRから去っていく。ちなみに逆は起きない。なぜなら【彼らはそれが技量だと知ってる】からだ。ゆえにこっち側があっち側と遊ぶ場合【モーションについては制限を加える】また【コネクト社自らが弾圧されたプレイヤーに特別なアシスト機能】をプレゼントしてくれるので。こっち側のユーザーでもあっち側のゲームをしてるものは多い。自分が持ってる仮面ナイトメアもそれだ。


「VRは君にとってなんだい」


チーターだのインチキなどと弾圧されたときに、自分がそうじゃないと知ったものが尋ねてきた。恨み言が聞きたいのか、それとも奮起した言葉が欲しいのか。


「VRは……」


当時は疲弊していた。【ただうまくなりたい】それだけで努力を行い。実際【強くなった】しかし周りは【自分を認めなかった】


「VRは……」


VRは自分にとってなんだろう。


「絶対にVRをやっているときはVR以外のことは言っちゃだめだよ」


あぁそうだ。


「VRは……夢です。決して現実と交わらない夢。それが僕にとってのVRです」


「そうか、それじゃあ君にあげるのはこれだね」


VRが何かを読み込む、読み込みが完了すると自分と同じ姿の黒い影がでてくる


「これは……」


「これは、君専用のアシストAIだよ。たしか作った博士は【アルター(もう一人の自分)】とかいってたね」


もう一人の自分、ここがVR(夢)の中だから。


「じゃあ君の名前は悪夢ナイトメアで決定だね。」










「あぁ、久しぶりに起動したから思い出しちった」


武器は銃が二丁。何年も使っている相棒だ。魔道銃こいつを使うこなすために努力をし、こいつを使いたいがために悪夢ファンタジーワールドにいった。最初は反動で体が飛んだ、明後日の方向へ攻撃が飛んだ。モーションを作っては飛び、暴発もし瀕死になったこともあった。そうやって作った技量だ、いまでもオフラインで使ってるので。腕は衰えていなく。ワイヤーアクションも試してきた。ゆえにこのゲームにブランクはなく。【最高難易度をクリア】した自分にとって、不正武器の一つや二つに意味などはない。


「さて、いきますか」


ワイヤーをビルにつけ、伸縮させることで加速をつけ、いつもの調整をした二丁の拳銃で反動をつけさらに加速を増やしていく。


「一人目見っけ」


どうやら相手もこちらに気づいたようだ、銃を乱射する。無軌道な弾がまるでミサイルのようにこちらめがけて飛んでくる。それを最大加速でよける。いくら不正を行ったとってあれは銃だ、Uターンはしない。結果弾を撃ち終わった所で一撃ヘッドショット与え倒す。倒すときも倒した後も移動は辞めない。恐らく誰かが自分の事を狙っているから。


スパイダーというゲームは、高難易度のゲームだった。本来は簡単なものからクリアしていき最大難易度をクリアする技量を身につけるものだが。あっち側の馬鹿が対人戦で優位にたちたいがために、【体力を無限にし】ゲームをクリアして優位にたって対人戦を遊んでいた。また最高難易度の装備がでてないことをいいことに【不正武器を通常武器と言い張って対人戦を行った】馬鹿も居る。まぁ不正武器の方は最高難易度をクリアしたユーザが気づき。【不正武器の試合を動画として配信すること】で排除することができた。ちなみに配信はチーム戦の勝者かバトルロアイヤルの優勝者しか配信できない。


さてこっち側の世界(技量の世界)の上位は二つに分かれる。【現実のように天性の感覚で戦う天才型】と【アシストを最大限に利用し戦う技量型】自分は後者だ。ちなみに天才型は【アシストを使わない】むしろアシストすることで弱くなる。それが天才型、神に愛された者たちだ。まぁVR(夢)の中だから勝敗はわからないけどね。


二人目を発見する。肩にロケットランチャーをつけていることから、体力無限なんだろう。戦法は地面に向かってロケランを撃ち周りごと破壊する。しかし地面に撃つから爆風の距離を考えて近づけば……


「無意味なんだよな。二人目」


ヘッドショットは一撃で死亡なのでいくら体力があっても意味がない。


高速移動でも攻撃が当たる理由はアシスト機能ナイトメアだ、これは昔使っていた某RPGゲームの調整そのままにしている。この調整は部位の攻撃の調整も一緒だ。速い敵、小さい敵、見えない敵、どんな生物にも当てられるよう練習した。それ故に自分の攻撃は反射と同様に行われ。【それを狙うのに最適なモーション】でアシストした攻撃は必中の一撃であった。


「最後の一人はあそこか」


どうやらビルからこちらを狙ってるらしい。アシスト機能で強制的にワイヤーを縮めた。腕に銃がかする。


「危ない危ない、当たるところだった」


アシストを用いてビルを移動していく。上下左右から加速の反動が襲ってくる。体は横に縦に。時には上下反転し、敵に背を向けて移動し時にビルがない高さまで飛びそこから地面すれすれまでワイヤーを出さずに移動する。そして最後の敵の目の前までくる。


最高速度で上下左右からなる三次元ランダム移動を行いながらの必中の攻撃、これが自分が考えた【自分にしか行えない必勝パターン】だ。今の所、ロックぐらいしか突破されてない。(圧倒的な物量による回避不能な攻撃には暫く勝てませんでした)


「……」


最後の一人は茶髪のアフロであった。アフロは銃を離しただ呆然とこっちをみていた。


「呆けるのもいいですが」


銃をアフロに向ける。


「バトルロアイヤルですからねこれ」


そういって、本日三回目のヘッドショットを放った。



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