姉さん(神)に育てられ、異世界で無双することになりました
押しかけ助っ人
ヒッポグリフ――グリフォンと馬との間に生まれた魔物か。
いや、馬が魔物でないとするのなら、魔物ハーフだろうか? 魔物を妖怪で例えるなら、半妖みたいな?
……いや、魔物だな。
ヒッポグリフの鋭い牙を見て考えを改めた。
肉食の馬なんて馬じゃない。
……肉の味は馬刺しみたいなのだろうか?
いや、魔物の肉を生で食べる気にはならないな。
「そういえば、師匠。有名な騎士様はヒッポグリフを手懐けて空を舞ったって聞いたことがあるぞ! 師匠ならできるんじゃないか?」
「手懐けるって、人間を食う馬なのにそんなことできるのか? そもそも、グリフォンの子供だっていうのなら、チッケにとっては敵じゃないのか?」
「でも、おいら、この村の馬は好きだったから、その馬の子供だというのなら嫌いになれないな」
仇と愛馬の間に生まれた子供か。
確かに、微妙な感情があるだろう。
村を滅ぼしたのがグリフォンであって、その子供は関係ないという考えなら、ここでヒッポグリフを手懐けるのも悪くない。
オーガに攫われた者のなかに怪我人がいた場合、その人たちを運ぶための足も必要になる。
「じゃあ、手懐けてみるか」
俺はそう言うと、グリフォンの肉の残りを持ってヒッポグリフに近付く。
「ほらほら、よしよし。肉が食べたいのなら食べさせてやるからな」
俺はそう言って、ヒッポグリフに近付いていき、グリフォンの肉を与えようとしたが――
「なにすんだ、こいつっ!」
ヒッポグリフがグリフォンの肉ではなく、俺に対して噛みつこうとしたので、拳でぶん殴った。
豪快に吹き飛ぶヒッポグリフ――普通の馬なら大怪我で馬刺し一直線コースだった。
しかし、そこはやはり魔物。平気で立ち上がった。
まぁ、手加減したからな。一度、懐かせてみようと思ったせいだ。
でも、こうなったら和解は無理だから、次は殺すつもりで――
「ってあれ?」
ヒッポグリフはその場に座り込んで頭を下げた。
「さすが師匠だ! ヒッポグリフが服従したぞ」
「え? え? これって懐いてるの? 殴ったのに?」
「なにいってるんだ? 魔物は殴って従えるのは常識だろ?」
なに、その弱肉強食の考え。
いや、まぁ弱かったら本当に肉として食べられていたし、俺も最初、こいつを肉として食べるつもりだったけれど。
そうか、和解って武力の末に成立するのか。
「まぁいいや。ほら、肉食べるか?」
もう一度グリフォンを差し出すと、ヒッポグリフは俺の手から肉を食べようとし――
「あぶなぁぁぁいっ!」
突然、女性の声が聞こえたかと思うと、真空波が飛んできた。
そして、その真空波はヒッポグリフの首を切り落とした。
「うわぁぁぁ……」
ヒッポグリフの鳥顔が転がったのを見て、俺は声を漏らした。
血飛沫が跳んでくる前に避けたけれど、ヒッポグリフは助けられなかったなぁ。
そして、俺は声のした方を見た。
そこにいたのは、剣士風の二十歳くらいの女性だった。
「いやぁ、ごめんね、坊や。この村にこの魔物を追い込んだの、あたしなんだ。まさか他に人がいるとは思わなくてね」
坊やって、俺のことか?
……まぁ、この女性にとっては俺は坊やなんだろうけれど。
日本人は若く見られるっていうから、もしかしたらもっと若く見られているのかなぁ。
「ちょっと、姉ちゃん! なにするんだよ、このヒッポグリフ、ようやく師匠が手懐けたのに!」
チッケが女性に対して怒った。
「ヒッポグリフを手懐けた!? この坊やが!?」
女性が意外そうな顔で俺を見た。
「ええ……といっても、完全に手懐けられたかどうかはわかりませんが」
「嘘……じゃなさそう。ごめんなさい、そんなことになってるなんて知らなくて」
「いいんです。どうせ手懐けられなかったら馬刺し……じゃなくて焼いて食べるつもりだったし」
「そっか。でもごめんね。君はこの村の子? ここは廃村だって思ったけど」
「いいえ、野宿に利用させてもらっていただけです。俺たちは東の開拓村でオーガに攫われた人たちを助けるために冒険者ギルドからの依頼でここまで」
「オーガに攫われた人を助けるため!? なんだ、あたしと一緒じゃん!」
お姉さんはそう言って、俺の背中を叩いた。
「あたしはマクリラ! 冒険者よ!」
「テンシです」
「おいらはチッケだ」
相手が自己紹介したので、俺がつられて名乗り、チッケもさらにつられて名乗った。
「そっか、テンシくんにチッケくんか。よろしくね!」
……えぇ、勝手によろしくされたけれど、どうしたらいいの?
そして――
「おいらは女だっ!」
チッケはやっぱり男の子だと勘違いされていた。
いや、馬が魔物でないとするのなら、魔物ハーフだろうか? 魔物を妖怪で例えるなら、半妖みたいな?
……いや、魔物だな。
ヒッポグリフの鋭い牙を見て考えを改めた。
肉食の馬なんて馬じゃない。
……肉の味は馬刺しみたいなのだろうか?
いや、魔物の肉を生で食べる気にはならないな。
「そういえば、師匠。有名な騎士様はヒッポグリフを手懐けて空を舞ったって聞いたことがあるぞ! 師匠ならできるんじゃないか?」
「手懐けるって、人間を食う馬なのにそんなことできるのか? そもそも、グリフォンの子供だっていうのなら、チッケにとっては敵じゃないのか?」
「でも、おいら、この村の馬は好きだったから、その馬の子供だというのなら嫌いになれないな」
仇と愛馬の間に生まれた子供か。
確かに、微妙な感情があるだろう。
村を滅ぼしたのがグリフォンであって、その子供は関係ないという考えなら、ここでヒッポグリフを手懐けるのも悪くない。
オーガに攫われた者のなかに怪我人がいた場合、その人たちを運ぶための足も必要になる。
「じゃあ、手懐けてみるか」
俺はそう言うと、グリフォンの肉の残りを持ってヒッポグリフに近付く。
「ほらほら、よしよし。肉が食べたいのなら食べさせてやるからな」
俺はそう言って、ヒッポグリフに近付いていき、グリフォンの肉を与えようとしたが――
「なにすんだ、こいつっ!」
ヒッポグリフがグリフォンの肉ではなく、俺に対して噛みつこうとしたので、拳でぶん殴った。
豪快に吹き飛ぶヒッポグリフ――普通の馬なら大怪我で馬刺し一直線コースだった。
しかし、そこはやはり魔物。平気で立ち上がった。
まぁ、手加減したからな。一度、懐かせてみようと思ったせいだ。
でも、こうなったら和解は無理だから、次は殺すつもりで――
「ってあれ?」
ヒッポグリフはその場に座り込んで頭を下げた。
「さすが師匠だ! ヒッポグリフが服従したぞ」
「え? え? これって懐いてるの? 殴ったのに?」
「なにいってるんだ? 魔物は殴って従えるのは常識だろ?」
なに、その弱肉強食の考え。
いや、まぁ弱かったら本当に肉として食べられていたし、俺も最初、こいつを肉として食べるつもりだったけれど。
そうか、和解って武力の末に成立するのか。
「まぁいいや。ほら、肉食べるか?」
もう一度グリフォンを差し出すと、ヒッポグリフは俺の手から肉を食べようとし――
「あぶなぁぁぁいっ!」
突然、女性の声が聞こえたかと思うと、真空波が飛んできた。
そして、その真空波はヒッポグリフの首を切り落とした。
「うわぁぁぁ……」
ヒッポグリフの鳥顔が転がったのを見て、俺は声を漏らした。
血飛沫が跳んでくる前に避けたけれど、ヒッポグリフは助けられなかったなぁ。
そして、俺は声のした方を見た。
そこにいたのは、剣士風の二十歳くらいの女性だった。
「いやぁ、ごめんね、坊や。この村にこの魔物を追い込んだの、あたしなんだ。まさか他に人がいるとは思わなくてね」
坊やって、俺のことか?
……まぁ、この女性にとっては俺は坊やなんだろうけれど。
日本人は若く見られるっていうから、もしかしたらもっと若く見られているのかなぁ。
「ちょっと、姉ちゃん! なにするんだよ、このヒッポグリフ、ようやく師匠が手懐けたのに!」
チッケが女性に対して怒った。
「ヒッポグリフを手懐けた!? この坊やが!?」
女性が意外そうな顔で俺を見た。
「ええ……といっても、完全に手懐けられたかどうかはわかりませんが」
「嘘……じゃなさそう。ごめんなさい、そんなことになってるなんて知らなくて」
「いいんです。どうせ手懐けられなかったら馬刺し……じゃなくて焼いて食べるつもりだったし」
「そっか。でもごめんね。君はこの村の子? ここは廃村だって思ったけど」
「いいえ、野宿に利用させてもらっていただけです。俺たちは東の開拓村でオーガに攫われた人たちを助けるために冒険者ギルドからの依頼でここまで」
「オーガに攫われた人を助けるため!? なんだ、あたしと一緒じゃん!」
お姉さんはそう言って、俺の背中を叩いた。
「あたしはマクリラ! 冒険者よ!」
「テンシです」
「おいらはチッケだ」
相手が自己紹介したので、俺がつられて名乗り、チッケもさらにつられて名乗った。
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