勇者不適合者の平和戦争

無人

適性検査で世界初の男になれたんだが

ビシッとスーツを着た一人の女がマイクを手に取り、発表する。
「花園 式部(はなぞの しきぶ )適性率88%」

「獣﨑 ガイヤ(じゅうざき ガイヤ )適性率92%」

「辻 敬矢(つじ けいや )適性率99%」
・・以上三名が異世界を救いに行く勇者だそうです。
・・はぁ・・もうお分かりかとおもいますが、俺は、その三名には入っていません。
先程の女がナニやらこれからの方針やなんやらを話しているようだが、そんな事に興味はない。
全世界の人間が真剣に聞いているなか、
俺は、静かにその場から立ち去り家に帰った。途中で二人組の学生に会った。
知り合いだ、
すれ違う、
俺は振り返らない、
きっと、
後ろ指を指されているだろうから。

家に着き、自分の部屋に入る、そのままベットに倒れ込む。
俺が世界初の男になったあの時の事を思い出す。
あの理不尽なまでに残酷な現実を・・・



~一週間前~

あの日、
この世界に、異世界からの使者が来た。
四人の。
賢者のじいさん、
精霊女王の女、そりゃあ女王だもん、女だよな。
天使の女の子?神の代役で来たらしい。
あと、魔女王、

彼らが来た時?
そらゃあ、全世界いや、全国の人間が、驚いたし、期待してたよ。
自分が何かに選ばれたんじゃないかってな。
俺もそっちの人間だった。
そして、
彼らによって全国に伝えられた。
詳しいことは覚えてないけど大まかな内容はこんな感じだった。
1、この世界から三名の勇者を異世界に送り
      邪神及び、必要によっては魔王の討伐
2、討伐の前に九つの試練(クエスト)があり
      それを達成する事
3、勇者一人に付き仲間を最低三名連れて行
      く事ができる(つまり、三名は絶対連れて
      行かなければならない)
4、異世界の人間、精霊、魔女、天使等は、勇者一向を手厚く支援する
5、また、勇者が異世界で死亡した場合、そ
     の 勇者は生き返らない
6、勇者以外のメンバーは、異世界で死亡し
      た場合、すぐにこちら側の世界に転送さ  れ、約1週間の間は異世界に戻れない。
7、また、異世界に行くことができるのは勇

      者適性率60%以上の者のみで在る。

まぁ~こんなもん。
最初聞いた時は"えっ"て思った。
色々細かいし、何より勇者は異世界で死んだらそこでおしまいらしい。
明らかに勇者に厳しい条件だ。
こんなんなら勇者よりもその仲間になったほうが断然良い


そして、二日後・・・全国で一斉に適性検査が行われた。

「勇者適性率60以上ありますように」
"神がいる"とわかった以上後は神頼み。
検査の方法は、賢者逹の作った魔法陣の中に入るだけ。
全人類一人一人の前に魔法陣が展開される。
あと、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0
ゼロの合図で魔法陣に入る。
その瞬間、体に電流がはしる。

ジジッ!?
「姉さん、待って!!」「行け!!  ○○○」
「絶対にその手、離さないからね」
「生きて」
違う場所、違う声が頭に流れ込む。
火の海、岩場、草原、病院
しかし、それが俺にはなんなのか分からない
突然、視界がクリアになる。
魔法陣が消えるともうほとんど、覚えていなかった。

魔法で目の前に文字と数字が印される。
「俺の適性率は~!!」
そこには、薄く、儚い字で
神闇  優透(かみくら  ゆうと)
適性率・・・0.00%

異世界転送値を、満たしていません
と・・・

この結果が俺を地獄に突き落とす。


            

           

コメント

  • 無人

    ルカさん、個人情報ちょい漏れですよ。

    1
  • ルカ

    適正率99 %の名前が俺に似すぎてワロタ

    1
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