ゲーマーでモブキャラ扱いの俺が何故かヒーローになった話。

怪盗80

第16話:一仕事の後には…

「おーい、煉大丈夫かー?」

「んぁ?…あー…お前の目から見て大丈夫だと思えるなら今すぐその目を抉り出して洗ってこい。」

タブレットを噛み砕いてから起き上がる。
ふと気がつくと結衣が何故か鉄製の棒を持ちながら足をぷるぷる震わせていた。
勇人が走ってきたら安心したようにその場で座り込んだ。

「あっ、やっと起きたぁ…こんなに心配させておいて後で何か奢ってよね!!!」

「それ、今言う事かよ…」

自分の体を起こされがら勇人が肩を貸してくれるが何かあるのかと怖い。
安心できるまで歩き出すと美琴がのんびりとした口調で戻ってきた。

「おーい、煉くーん♪大丈夫ー?今風見ちゃんに連絡しておいたから〜」

「とりあえず美琴…そのアタッシュケース結局誰の奴なんだ?」

「えっと…本当はこのデバイス何の意味もないガラクタなんだよね…」

…は?

「いやー、ああやって言ったほうがなんか強そうな物持ってるって思われるじゃん?」

「煉…今立てるか?」

そう勇人が言うと軽く肩を鳴らす煉。

「おけ、ちょうど今回復した」

「「おし、殴るか…」」

「ちょ!二人とも!だめだって!美琴さん!?笑ってないで逃げてぇ!!!」

風見が来るまで美琴が逃げて煉、勇人で説教するまで追いかける鬼ごっこが始まっていた。



走行中の窓から入る風が心地いい車の中。

「煉様、勇人様、初めてのデートはどうでしたか?」

あの後、満面の笑顔で微笑む風見はいつも通りのスーツを着込んで既に車を待機させていた。
乗り込む時に見えてしまったが何故赤い塗料が塗られた拳銃があるのか分からないが見なかった事にしておこう。

「てか、勇人はなんであそこにいたんだ?」

「あー、風見になんか連れてこられた、何か人気声優のイベントがあるって聞いていったんだけどよ…なんか幼女に手を出した野郎がいたからガンつけてたらお前とあった。」

うん、何も言えない。
てかすぐに分かる嘘になんで騙されているんだろうか…。
そんな事を思いながら車の中で窓の外を見ていた。

「ねぇー!煉君に渡しておいた物は!?」

「あっ…」

「安心してください煉様、結衣様、念の為を思って荷物は全てこの車に積んで置きました。」

「えっ、ね、ねぇ、あの人何者?すっごいスタイルいいけど」

「いや、そこに目が行くか普通。でも、あの人はヤベェ人って事だけ言える」

そして何故か結衣は自分の胸に手を当てて何かを確認してた。

「あっ、そういえば煉は案外胸がない方が好きだぞ」 

「…ブハッ!!てめぇ!何言ってんだ!!!」

口に含んでいた飲み物が気管に入って咳き込む。

「ね、ねぇ、その…胸ない方が好きなんだね…」

「…」(ムギュ…)

その一言でビクッとする結衣と美琴。
そして俺の服を引っ張っている結衣と何故か無言で胸を押しつけてくる美琴。

「いやー、言わないといけない空気だったからぁ…」

「美琴お嬢様、その様な行動は些か小汚いかと思われます。なのですぐにその状況を作り出すのはやめていただきたいです」

決めた、勇人…。これからお前にぜってぇ飯作らない。
あと、俺にとってそーゆー事なんてありえない神様に誓ってもだ。
てめぇは一生美鈴の飯でも食っておけ。
心の中で決意した。

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