ゲーマーでモブキャラ扱いの俺が何故かヒーローになった話。
第5話:英雄の代償。
あの日から5日程経過した。
筋肉痛が、引いてきて一人でも動けるようにもなった。
相変わらず勇人は煽りながらもちゃんと毎日見舞いに来てくれる。
さっきプリンを買ってきて欲しかった為お金を預けたの筈だが…。
何故かコンビニでプリンを買って来てくればいいのに杏仁豆腐を買ってきた。
本人曰く「杏仁豆腐が食いたかったからな仕方がない事」
と言いながら杏仁豆腐を食べていた。
「確か、あの春風美琴?って生徒会長が来るんだろ?」
「確かな、風見から聞かされたのはこの日くらいとしか聞いてないしな。
そういや今日学校休みだってよ、生徒の八割がインフルじゃないのに休みだから休業だってさ」
カレンダーに記された印を見ると今日の枠には赤い円で囲まれて分かりやすく記していた。
杏仁豆腐を食べながら話す勇人に苛立ちを感じるが抑えていた。
「なぁ、お前は良かったのかよ…こんな重大な事に巻き込まれてよ」
「…あー…その事なんだけど…」
「失礼します…お話の途中ですが春風美琴様がいらっしゃいました」
扉を開けて部屋に入る風見と春風戦場学園の制服を着てきたのかこの前見た事がある生徒会長がいた。
「えっと、煉君でいいかな?デバイスの適合祝いに来たんだけど…ダメだった?」
「いや、ダメでは無いですけど…」
「なら大丈夫だね♪君が筋肉痛だって聞いたから寝てても食べられる物を買って来たんだけど…食べる?他にも沢山買ってきたから遠慮なく食べてね♪」
美琴が持ってきたビニール袋の中には桃缶や白桃、やけに桃缶が多く入っていた。
そして美琴が扉を開けるとそこにはダンボールなどが大量に積まれていた。
そのダンボールには桃缶やミカン缶などの缶詰、果物や米、何故か家具があった。
「それじゃあ遠慮なく…」
少しお腹が空いていたので手渡してきた桃缶を開けて食べようとすると何故か美琴が桃缶をじっと見ていた。
「ほら食べていいよ♪私が桃缶を食べたいなんて思ってないから!」
「じ、じゃあ…遠慮なく…」
口に入れようと桃を取り出すと慌てながら自身の手を押さえ込んでいる美琴がいた。
「…あの…食べますか?」
「食べる!」
目を見て輝かせて桃缶を食べる美琴。
それ…絶対にアンタが食いたくて買ってきた物だろ。
「よかったぁ〜♪あっ、君は少しこの部屋から出てくモグっ…ないか…な?ゴクンッ…煉君と話がしたいんだ♪」
「わ、分かった…」
そう言うと勇人は渋々部屋から出て行った。
いつものあいつなら何かと理由をつけて安全を確保する筈だが…。
そんな事を思いながらも部屋の中には風見、桃缶の桃を食べている春風美琴、そして筋肉痛が残っている煉の三人になった。
「まず…煉様がお使いになられたデバイスはSランクのデバイスです、 Sランクのデバイスを使ってもこの様に喋れるとなると器どころの騒ぎではありません」
風見がスラスラと話を進めて行くのでもっと詳しく説明してくれると助かるんだけどなぁ…。
そんな聞きづらい空気を感じたのかホワイトボードを使って説明し始めた。
「まず子供でも使えるのがCランク。
普通の成人が使えるのがBランク。
特定の人物でかつ補助プログラムをインストールした人が使えるのがAランク。
Aランクの条件に加えてデバイス本体が認めなければ使う事すら出来ないのが Sランク。
ランクが上がる毎に強さも変わって来ますし、まずBランクと Sランクでは天と地の差があるのです。
煉様は味方になり得る人でそのSランクデバイスを使うことが出来る貴重な人物です」
ホワイトボードには三角形のピラミッドの様なイラストにランクの記号が記されておりSランクは最上位にありそれだけでもSランクは珍しいのだろう。
「だから、君の力を貸してくれないかな?世界の為に…」
「すみません…俺には無理です…」
「どうしてでしょうか?世界を救えるのは煉様しか…」
ゆっくりと口を開いた煉は先程までの声色ではなく真剣に考えているのだろう。
昨日会ったばかりの冷静な風見なら分かるのだろうが今の俺の答えに慌てている風見には分からないのだろう。
「だって…突然世界を救ってくれ、君しかいないとか言われても心の準備とか、それに…本当は怖かったんだよ…あの時はドーパミンとかがあって動けたのかもしれない…そのあとは気絶してたんだぞ…」
下唇を噛みながら悔しさの波に溺れるような感覚に陥った。
そりゃそうだ…もしもあの時にコレが使えなかったら俺は死んでいたのかもしれない、それ以外にもあの大鎌に首を掻っ切られていたのかもしれない。
そんな事を中学三年生が経験した後で世界を救えなどと言われても無理に等しい。
それでこそ何か強いキッカケで中学生が世界を救うヒーローになれるなんてそんなのは作り話の中だけだ。
「確かに煉君の気持ちも分かる…でもこの世界を救えるのは君しか…」
「Aランクのデバイスでもですか?」
「…」
用意しておいた言葉をはっきりと伝える。
その言葉には美琴も息を飲んだ。
「昨日戦ったアリアは自分のデバイスをAランクと言っていた。
あんな被害を出すくらいのAランクデバイスさえあれば俺が居なくても世界を救えるんじゃ無いのかよ…」
「そ、そういう事では…」
「そうだよー♪キミは騙されている♪」
空いていた窓から聞こえた声は昨日戦ったアリアの声だった。
窓越しに見えるアリアは少し苛立ちを見せていた。
「だからさーキミがそのSランクデバイスを渡してくれれば私達が代わりに世界を救うからさ♪だって私達は世界を救う為に仕方がなくこんな事してるんだよ?」
アリアは片手で何かを持ち上げるとそこにはぐったりした勇人が居た。
「アリア…てめぇ…」
「いやー、私って本当に優しいよね!キミがモヤモヤしているのを治してあげてるんだから…」
言葉を言うよりも先に無理矢理身体を動かしてデバイスに手を伸ばし、起動すると窓を蹴破ってアリアに斬りかかった。
赤い結晶が昨日よりも紅く光ると剣を振るだけで辺りに風を巻き起こした。
その斬撃を全て交わしてから煉を地面に叩き落とした。
「ツッ…」
「あーあ…使っちゃった使っちゃった♪すぐに倒れてしまうのに♪」
「あ?どうゆ…」
突然自分の目の前が揺れ始めた。
立ちくらみを起こして地面に倒れ込み剣を生成したデバイスは元の柄だけになっていた。
風上から紫色の煙が焚かれているのを見たアリアは舌打ちをして苛立ちを隠さずにいた。
「は?なんであいつがこんな事してんだよ…チッ…それじゃ、キミと本気で戦いたいからネ♪勇人君は二週間は何もしないから安心して準備しておいて♪今度こそバイバイ!煉クン♪」
「まずい!風見!!」
「はい、美琴様」
誰かに体を抱えられて何処かへ移動する事だけが現状虚ろな感覚で分かった。
そして銀色の鈍い光を放つ柄からは鮮やかな紅い血が垂れていた。
筋肉痛が、引いてきて一人でも動けるようにもなった。
相変わらず勇人は煽りながらもちゃんと毎日見舞いに来てくれる。
さっきプリンを買ってきて欲しかった為お金を預けたの筈だが…。
何故かコンビニでプリンを買って来てくればいいのに杏仁豆腐を買ってきた。
本人曰く「杏仁豆腐が食いたかったからな仕方がない事」
と言いながら杏仁豆腐を食べていた。
「確か、あの春風美琴?って生徒会長が来るんだろ?」
「確かな、風見から聞かされたのはこの日くらいとしか聞いてないしな。
そういや今日学校休みだってよ、生徒の八割がインフルじゃないのに休みだから休業だってさ」
カレンダーに記された印を見ると今日の枠には赤い円で囲まれて分かりやすく記していた。
杏仁豆腐を食べながら話す勇人に苛立ちを感じるが抑えていた。
「なぁ、お前は良かったのかよ…こんな重大な事に巻き込まれてよ」
「…あー…その事なんだけど…」
「失礼します…お話の途中ですが春風美琴様がいらっしゃいました」
扉を開けて部屋に入る風見と春風戦場学園の制服を着てきたのかこの前見た事がある生徒会長がいた。
「えっと、煉君でいいかな?デバイスの適合祝いに来たんだけど…ダメだった?」
「いや、ダメでは無いですけど…」
「なら大丈夫だね♪君が筋肉痛だって聞いたから寝てても食べられる物を買って来たんだけど…食べる?他にも沢山買ってきたから遠慮なく食べてね♪」
美琴が持ってきたビニール袋の中には桃缶や白桃、やけに桃缶が多く入っていた。
そして美琴が扉を開けるとそこにはダンボールなどが大量に積まれていた。
そのダンボールには桃缶やミカン缶などの缶詰、果物や米、何故か家具があった。
「それじゃあ遠慮なく…」
少しお腹が空いていたので手渡してきた桃缶を開けて食べようとすると何故か美琴が桃缶をじっと見ていた。
「ほら食べていいよ♪私が桃缶を食べたいなんて思ってないから!」
「じ、じゃあ…遠慮なく…」
口に入れようと桃を取り出すと慌てながら自身の手を押さえ込んでいる美琴がいた。
「…あの…食べますか?」
「食べる!」
目を見て輝かせて桃缶を食べる美琴。
それ…絶対にアンタが食いたくて買ってきた物だろ。
「よかったぁ〜♪あっ、君は少しこの部屋から出てくモグっ…ないか…な?ゴクンッ…煉君と話がしたいんだ♪」
「わ、分かった…」
そう言うと勇人は渋々部屋から出て行った。
いつものあいつなら何かと理由をつけて安全を確保する筈だが…。
そんな事を思いながらも部屋の中には風見、桃缶の桃を食べている春風美琴、そして筋肉痛が残っている煉の三人になった。
「まず…煉様がお使いになられたデバイスはSランクのデバイスです、 Sランクのデバイスを使ってもこの様に喋れるとなると器どころの騒ぎではありません」
風見がスラスラと話を進めて行くのでもっと詳しく説明してくれると助かるんだけどなぁ…。
そんな聞きづらい空気を感じたのかホワイトボードを使って説明し始めた。
「まず子供でも使えるのがCランク。
普通の成人が使えるのがBランク。
特定の人物でかつ補助プログラムをインストールした人が使えるのがAランク。
Aランクの条件に加えてデバイス本体が認めなければ使う事すら出来ないのが Sランク。
ランクが上がる毎に強さも変わって来ますし、まずBランクと Sランクでは天と地の差があるのです。
煉様は味方になり得る人でそのSランクデバイスを使うことが出来る貴重な人物です」
ホワイトボードには三角形のピラミッドの様なイラストにランクの記号が記されておりSランクは最上位にありそれだけでもSランクは珍しいのだろう。
「だから、君の力を貸してくれないかな?世界の為に…」
「すみません…俺には無理です…」
「どうしてでしょうか?世界を救えるのは煉様しか…」
ゆっくりと口を開いた煉は先程までの声色ではなく真剣に考えているのだろう。
昨日会ったばかりの冷静な風見なら分かるのだろうが今の俺の答えに慌てている風見には分からないのだろう。
「だって…突然世界を救ってくれ、君しかいないとか言われても心の準備とか、それに…本当は怖かったんだよ…あの時はドーパミンとかがあって動けたのかもしれない…そのあとは気絶してたんだぞ…」
下唇を噛みながら悔しさの波に溺れるような感覚に陥った。
そりゃそうだ…もしもあの時にコレが使えなかったら俺は死んでいたのかもしれない、それ以外にもあの大鎌に首を掻っ切られていたのかもしれない。
そんな事を中学三年生が経験した後で世界を救えなどと言われても無理に等しい。
それでこそ何か強いキッカケで中学生が世界を救うヒーローになれるなんてそんなのは作り話の中だけだ。
「確かに煉君の気持ちも分かる…でもこの世界を救えるのは君しか…」
「Aランクのデバイスでもですか?」
「…」
用意しておいた言葉をはっきりと伝える。
その言葉には美琴も息を飲んだ。
「昨日戦ったアリアは自分のデバイスをAランクと言っていた。
あんな被害を出すくらいのAランクデバイスさえあれば俺が居なくても世界を救えるんじゃ無いのかよ…」
「そ、そういう事では…」
「そうだよー♪キミは騙されている♪」
空いていた窓から聞こえた声は昨日戦ったアリアの声だった。
窓越しに見えるアリアは少し苛立ちを見せていた。
「だからさーキミがそのSランクデバイスを渡してくれれば私達が代わりに世界を救うからさ♪だって私達は世界を救う為に仕方がなくこんな事してるんだよ?」
アリアは片手で何かを持ち上げるとそこにはぐったりした勇人が居た。
「アリア…てめぇ…」
「いやー、私って本当に優しいよね!キミがモヤモヤしているのを治してあげてるんだから…」
言葉を言うよりも先に無理矢理身体を動かしてデバイスに手を伸ばし、起動すると窓を蹴破ってアリアに斬りかかった。
赤い結晶が昨日よりも紅く光ると剣を振るだけで辺りに風を巻き起こした。
その斬撃を全て交わしてから煉を地面に叩き落とした。
「ツッ…」
「あーあ…使っちゃった使っちゃった♪すぐに倒れてしまうのに♪」
「あ?どうゆ…」
突然自分の目の前が揺れ始めた。
立ちくらみを起こして地面に倒れ込み剣を生成したデバイスは元の柄だけになっていた。
風上から紫色の煙が焚かれているのを見たアリアは舌打ちをして苛立ちを隠さずにいた。
「は?なんであいつがこんな事してんだよ…チッ…それじゃ、キミと本気で戦いたいからネ♪勇人君は二週間は何もしないから安心して準備しておいて♪今度こそバイバイ!煉クン♪」
「まずい!風見!!」
「はい、美琴様」
誰かに体を抱えられて何処かへ移動する事だけが現状虚ろな感覚で分かった。
そして銀色の鈍い光を放つ柄からは鮮やかな紅い血が垂れていた。
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