桁間違いで異世界最強に!選んだ職業はまさかの冒険者⁉
第3話 僕、転生者です
ソーイは息を飲んだ。
自然が溢れているにもかかわらず、都会のような栄えを感じた。
矛盾しているようにも感じるが、それは言葉では表せないほど奇跡的な光景だった。
ソーイは予め頼んでいた馬車に乗った。
高級そうな塗装がしていて、いかにも貴族の馬車だ。
馬も白い毛並みで、瞳も銀と黄金で輝いていた。
「こんにちはお坊っちゃま。私のことを覚えているでしょうか?」
馬車の近くにいた老人が、そう聞いてきた。
ピシッとした身だしなみに、片眼だけの眼鏡を掛けている。
典型的な“紳士”という感じだ。
「顔はなんとなく記憶してるけど、名前までは思い出せないなー。」
「顔を覚えてくださってるだけで光栄です。」
「はぁ」
「私はヘルデン・クリストファーです。よろしければお名前もご記憶していただけると嬉しいです。」
「う、うん。分かったよ。」
薄く微笑んで、ヘルデンは操縦席へと腰を掛けた。
父親のゼファ・テラス・クーエンバッハも、前部座席に腰を掛けた。
普段は無口でお堅い感じだけど、家族といるときは随分と打ち解ける。
「じゃあ行ってくるね。」
ソーイは見慣れた街を発ち、少し離れたウェルデンという宗教に富んだ街に向かった。
ウェルデンは宗教が盛んなために、“神に愛された街”と呼ばれ、もはや神が居座っている街なのである。
その神にステータスを占って貰うのである。
ただ、神様にステータス鑑定という能力を貰っているソーイは、わざわざ自分のステータスを貰う必要は無い。
だが、ウェルデンは街全体がパワースポットであるため、興味が湧いた。
(んー、でも俺自身がかなりパワースポットかも...。)
こんなに強いと、賢者と崇められるレベルだ。
それにしても道が悪くて、さっきからガタガタと馬車が揺れている。
高級な馬車のため、座席は柔らかく尻は無事だったが、激しい嘔吐感がする。
あれから2日間の激しい馬車生活は端折って、ウェルデンに到着した。
途中で下車して、道端で吐いたことも省いて良いだろう...。
とにかく壮絶な馬車生活だった。
そこはウェルデン。神に愛された街。
田舎のような居心地の良さ、軽く吹く清々しい風が肌を優しく撫でた。
旅に出る前に母に頭を撫でられたが、それより遥かに優しかった。
ウェルデンは教会やら神社、寺が点在しており、どこの方位を向いてもそれが目に入った。
木組みの住居もかなりの雰囲気を醸し出していた。
活気に満ち溢れ、神々しさも感じた。
海にも面していて、商業も盛んである。
富をかなり蓄えていそうだが、そこはソーイには分からない。
ソーイは早速教会へと向かった。
かなり立派な教会だった。
さすが宗教が盛んなだけある。
ソーイは教会の中に入った。
最初に大きな神像が目に飛び込んできた。
そこは神々しい光に溢れ、いかにも神聖な雰囲気を醸していた。
ステンドガラスの怪しげな光が、一層場を厳かにしていた。
神父がこちらに来て、
「ご用件はなんでしょうか?」
と聞いてきた。
白いが髭腰くらいまで伸びていた。
髪の毛も伸びていた。
前職はサンタクロースだったのですか?
と聞きたくなる。
「息子の5歳の誕生日なので、ステータスをもらいに来た。」
「かしこまりました。中央の神像の前に来てください。」
ソーイは言われるがままに、髭モジャ神父についていった。
もはやこの神父が神だと錯覚しそうだ。
「それでは手を合わせて目を瞑ってください。」
「はい。」
ソーイは両手を合わせて、静かに目を閉じた。
神父が、髭に妨害された声で、
「神よ!ここに少年ソーイの力を示したまえ!」
と言った。かなり籠った声になった。
するとソーイは真っ白な空間へ飛ばされてしまった。
目の前には神父...いや、本物の神様がいた。
「やあソーイ。新しい人生はどうだ?」
それは紛れもない、始叡全王神だった。
「どうって言われたって、転生してから全然経ってないから分からないです。でも、とりあえず馬車はヤバかった。」
「そうか。じゃあグレードアップしとくか。道も補正しとこう。」
「そんなことができるんですか...。」
さすがはこの世界を創作した神。
この世界の管理はお手の物だ。
「それではステータスは自分で見れるから良いとして、さすがに強すぎるステータスを世の中に晒すと、ソーイは注目の的となり、誰もが欲しがる存在になってしまう。
それはさすがに大変だろう。なので、ちょっと強めの偽りのステータスをあげよう。
これが世の中に見せるステータスだ。」
半透明な紙のようなものを手渡された。
名前 ソーイ・テラス・クーエンバッハ
性別 男
年齢 5
LV       1/99
攻撃 980
防御 890
速度 930
体力 950
魔力 990
脳力 860
筋力 850
回復 900
視覚 A+   A+
聴覚 A A
嗅覚 S
味覚 S+
触覚 S
魔法属性 : 炎、水、自然
とまぁこんな感じだ。
前のを見るとかなり良い感じになっただろう。
良く見ると、視覚と嗅覚が上がっている。
神聖なウェルデンに来たからだろうか?
「そして最後に。両親には真実を見せた方がいい。君の両親は優しいから、売り飛ばすとか、働かせるとかは無い。安心して見せるといい。」
「はい、分かりました。」
「それではまたな。教会で祈れば、いつでもわしに会えるからな。」
そう言ってゼロゼウスは、消えていった。
すると元居た教会に戻っていた。
「どうだった?」
父のゼファが、気になってこちらに駆け寄ってきた。
そして半透明なシートを渡した。
父はすぐさま睨むように見始めた。
みるみるうちに父の顔が、歓喜へと変わっていくのが分かった。
「すごいじゃないか!中学生並みのステータスだ。5歳にしては高すぎる!」
いつもはあまり体で喜びを表現しない父も、今日は跳ね上がって喜んでいた。
ハイタッチを要求したり、胴上げしたり、とにかくハイテンションだった。
帰りにウェルデンで御守りを買った。
護符というもので、ステータスがわずかながら上がるというものだ。
父が奮発して買ってくれた。
そして馬車に乗った。
だが、全く揺れを感じなかった。
ゼロゼウスのグレードアップは伊達じゃない。
「これから稽古をつけてやる。覚悟しとけよ!」
「はい!ありがとうございます、父さん。」
今の父はとんでもなく上機嫌だ。
鼻歌を歌いながら、明日からの稽古のメニューを考えたりしていた。
息子を強くするために、必死だった。
(あ、父さんのステータスを見てみよう。)
名前 ゼファ・テラス・クーエンバッハ
性別 男
年齢 31
LV       13/99
攻撃 1800
防御 1700
速度 2300
体力 2000
魔力 2800
脳力 1700
筋力 2400
回復 1900
視覚 B C
聴覚 A A
嗅覚 B+
味覚 A+
触覚 S
魔法属性 : 炎、溶岩、熱波
これが成人男性のステータス...。
色々ソーイとは異なっていた。
「ソーイ、帰ったらご馳走だ。」
ゼファは嬉しそうな顔でそう言った。
しかし、ソーイにはしなくてはいけないことがある。
「父さん。言わなきゃいけないことがあるんだ。帰ったら話す。」
ゼファは今までの嬉しそうな笑みを崩し、少し歪めた。
問いたげな表情だった。
「分かった。」
ゼファは冷たいものを吐くように、静かに一言そう言った。
自然が溢れているにもかかわらず、都会のような栄えを感じた。
矛盾しているようにも感じるが、それは言葉では表せないほど奇跡的な光景だった。
ソーイは予め頼んでいた馬車に乗った。
高級そうな塗装がしていて、いかにも貴族の馬車だ。
馬も白い毛並みで、瞳も銀と黄金で輝いていた。
「こんにちはお坊っちゃま。私のことを覚えているでしょうか?」
馬車の近くにいた老人が、そう聞いてきた。
ピシッとした身だしなみに、片眼だけの眼鏡を掛けている。
典型的な“紳士”という感じだ。
「顔はなんとなく記憶してるけど、名前までは思い出せないなー。」
「顔を覚えてくださってるだけで光栄です。」
「はぁ」
「私はヘルデン・クリストファーです。よろしければお名前もご記憶していただけると嬉しいです。」
「う、うん。分かったよ。」
薄く微笑んで、ヘルデンは操縦席へと腰を掛けた。
父親のゼファ・テラス・クーエンバッハも、前部座席に腰を掛けた。
普段は無口でお堅い感じだけど、家族といるときは随分と打ち解ける。
「じゃあ行ってくるね。」
ソーイは見慣れた街を発ち、少し離れたウェルデンという宗教に富んだ街に向かった。
ウェルデンは宗教が盛んなために、“神に愛された街”と呼ばれ、もはや神が居座っている街なのである。
その神にステータスを占って貰うのである。
ただ、神様にステータス鑑定という能力を貰っているソーイは、わざわざ自分のステータスを貰う必要は無い。
だが、ウェルデンは街全体がパワースポットであるため、興味が湧いた。
(んー、でも俺自身がかなりパワースポットかも...。)
こんなに強いと、賢者と崇められるレベルだ。
それにしても道が悪くて、さっきからガタガタと馬車が揺れている。
高級な馬車のため、座席は柔らかく尻は無事だったが、激しい嘔吐感がする。
あれから2日間の激しい馬車生活は端折って、ウェルデンに到着した。
途中で下車して、道端で吐いたことも省いて良いだろう...。
とにかく壮絶な馬車生活だった。
そこはウェルデン。神に愛された街。
田舎のような居心地の良さ、軽く吹く清々しい風が肌を優しく撫でた。
旅に出る前に母に頭を撫でられたが、それより遥かに優しかった。
ウェルデンは教会やら神社、寺が点在しており、どこの方位を向いてもそれが目に入った。
木組みの住居もかなりの雰囲気を醸し出していた。
活気に満ち溢れ、神々しさも感じた。
海にも面していて、商業も盛んである。
富をかなり蓄えていそうだが、そこはソーイには分からない。
ソーイは早速教会へと向かった。
かなり立派な教会だった。
さすが宗教が盛んなだけある。
ソーイは教会の中に入った。
最初に大きな神像が目に飛び込んできた。
そこは神々しい光に溢れ、いかにも神聖な雰囲気を醸していた。
ステンドガラスの怪しげな光が、一層場を厳かにしていた。
神父がこちらに来て、
「ご用件はなんでしょうか?」
と聞いてきた。
白いが髭腰くらいまで伸びていた。
髪の毛も伸びていた。
前職はサンタクロースだったのですか?
と聞きたくなる。
「息子の5歳の誕生日なので、ステータスをもらいに来た。」
「かしこまりました。中央の神像の前に来てください。」
ソーイは言われるがままに、髭モジャ神父についていった。
もはやこの神父が神だと錯覚しそうだ。
「それでは手を合わせて目を瞑ってください。」
「はい。」
ソーイは両手を合わせて、静かに目を閉じた。
神父が、髭に妨害された声で、
「神よ!ここに少年ソーイの力を示したまえ!」
と言った。かなり籠った声になった。
するとソーイは真っ白な空間へ飛ばされてしまった。
目の前には神父...いや、本物の神様がいた。
「やあソーイ。新しい人生はどうだ?」
それは紛れもない、始叡全王神だった。
「どうって言われたって、転生してから全然経ってないから分からないです。でも、とりあえず馬車はヤバかった。」
「そうか。じゃあグレードアップしとくか。道も補正しとこう。」
「そんなことができるんですか...。」
さすがはこの世界を創作した神。
この世界の管理はお手の物だ。
「それではステータスは自分で見れるから良いとして、さすがに強すぎるステータスを世の中に晒すと、ソーイは注目の的となり、誰もが欲しがる存在になってしまう。
それはさすがに大変だろう。なので、ちょっと強めの偽りのステータスをあげよう。
これが世の中に見せるステータスだ。」
半透明な紙のようなものを手渡された。
名前 ソーイ・テラス・クーエンバッハ
性別 男
年齢 5
LV       1/99
攻撃 980
防御 890
速度 930
体力 950
魔力 990
脳力 860
筋力 850
回復 900
視覚 A+   A+
聴覚 A A
嗅覚 S
味覚 S+
触覚 S
魔法属性 : 炎、水、自然
とまぁこんな感じだ。
前のを見るとかなり良い感じになっただろう。
良く見ると、視覚と嗅覚が上がっている。
神聖なウェルデンに来たからだろうか?
「そして最後に。両親には真実を見せた方がいい。君の両親は優しいから、売り飛ばすとか、働かせるとかは無い。安心して見せるといい。」
「はい、分かりました。」
「それではまたな。教会で祈れば、いつでもわしに会えるからな。」
そう言ってゼロゼウスは、消えていった。
すると元居た教会に戻っていた。
「どうだった?」
父のゼファが、気になってこちらに駆け寄ってきた。
そして半透明なシートを渡した。
父はすぐさま睨むように見始めた。
みるみるうちに父の顔が、歓喜へと変わっていくのが分かった。
「すごいじゃないか!中学生並みのステータスだ。5歳にしては高すぎる!」
いつもはあまり体で喜びを表現しない父も、今日は跳ね上がって喜んでいた。
ハイタッチを要求したり、胴上げしたり、とにかくハイテンションだった。
帰りにウェルデンで御守りを買った。
護符というもので、ステータスがわずかながら上がるというものだ。
父が奮発して買ってくれた。
そして馬車に乗った。
だが、全く揺れを感じなかった。
ゼロゼウスのグレードアップは伊達じゃない。
「これから稽古をつけてやる。覚悟しとけよ!」
「はい!ありがとうございます、父さん。」
今の父はとんでもなく上機嫌だ。
鼻歌を歌いながら、明日からの稽古のメニューを考えたりしていた。
息子を強くするために、必死だった。
(あ、父さんのステータスを見てみよう。)
名前 ゼファ・テラス・クーエンバッハ
性別 男
年齢 31
LV       13/99
攻撃 1800
防御 1700
速度 2300
体力 2000
魔力 2800
脳力 1700
筋力 2400
回復 1900
視覚 B C
聴覚 A A
嗅覚 B+
味覚 A+
触覚 S
魔法属性 : 炎、溶岩、熱波
これが成人男性のステータス...。
色々ソーイとは異なっていた。
「ソーイ、帰ったらご馳走だ。」
ゼファは嬉しそうな顔でそう言った。
しかし、ソーイにはしなくてはいけないことがある。
「父さん。言わなきゃいけないことがあるんだ。帰ったら話す。」
ゼファは今までの嬉しそうな笑みを崩し、少し歪めた。
問いたげな表情だった。
「分かった。」
ゼファは冷たいものを吐くように、静かに一言そう言った。
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