なぜ俺は異世界に来てしまったのだろう?~ヘタレの勇者~
ここはどこ?
ああ……死ぬんだな。
せめてあいつらに喧嘩で……勝ちたかったな。
薄れゆく意識の中で優はそう思った。
じっちゃん。今から行くよ。
重力を感じる。しかし地球の重力より少し弱い。優はおそるおそるまぶたを持ち上げると真っ白い空間、いや感じは白いが少しグラデーションがかかっている。
「生きていたのか。」
「いや、お前さんは死んでるぜ。」
「えっ」
じっちゃんに似た声がした。
「久しぶりだな、優」
しわがれた声、ビブラートのかかりよう。間違いない。じっちゃんだ。
「ごめん俺死んだよ。」
「親より早く死におって、頭冷やせ!だがあの女の子を助ける優の姿はかっこよかったぜ。」
「でも、俺いじめられてるしぜんぜんかっこよくなんかない!!」
「優、英雄になりたい。強くなってあいつらに復讐したいと思わんか。」
「俺が英雄になる?」
「ああ、そうだ。」
「でも死んでるし英雄になんかなれない………」
「いや、なれるさ。お前さんはもうすぐ違う世界にいくんだ。その前に神様とあってくるんだ。」
「でも神様とどうやって」
「簡単だ、俺がころす」
背中にひやりと冷たい戦慄が走る。じっちゃんがナイフをだす。
「はあぁぁぁぁぁ!!」
「ガゴォォガヴ」
優は人ともいえない雄叫びを上げ無防備に突っ込んだ。
グサッ
「期待してるぜ、優」
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