第147話　VSアレクシス5

　アレクシスから放たれた黒い炎はケンイチへと接近すると爆発した。

　その光景を見て、勝ったと思ったアレクシスは完全の油断してしまったのだ、

「どうしたんだ？」

　どこから声がする。後ろを振り返ったアレクシスはあり得ないものを見たという顔をしていた。そう、そこにいたのは先ほど倒したと思っていたケンイチであった。

「何故生きているんだ!？」

「何を言うかと思えばそんなことか、さっきの黒い炎なら切ったぞ」

　意味が分からない。魔法を封じて魔法反射を使えなくした。もし、何らかの手段で魔法を使えたとして魔法反射を使ったとしても黒い炎が爆発することはなくただ消滅するはず。それについさっき魔法を切ったとしたら後ろに回り込んでくるのが早すぎる。

「魔法は使えないお前にそんなことできるはずがないだろう」

「そうだな、魔法は使えないな。ただ、魔法じゃない手段は使えるだろう」

　魔法じゃない手段での攻撃そんな物聞いたことがない。

「そんな手段があるはずがないだろう」

「それなら試してみろよ」

　俺がそういうと、今度黒い球を数発放ってくる。だが。その攻撃を剣で全て切り裂いて見せる。

　それを目の前で見せられてどうなってるのかわからないと思っていた。

「なんなんだ、その剣は」

　そう、アレクシスは魔法じゃないとしたら剣に何か秘密があるのではないだろうか考えたアレクシス。

「この剣か、ただの魔力を流したら炎が出る剣だがどうかしたか？　今はお前に魔法が封じられているからこの剣も使えないぞ」

「なら、どうやって魔法を切ったんだ」

「気で切ったのさ」

「は？」

　そういう反応になって当たり前である。ケンイチがアレクシスの魔法を切った技は気斬きざんと呼ばれる物である。

　この技はもしもこの流派のように気を使う流派と戦いになった時の対抗手段として編み出された技である。剣に気を纏わせて気を切り裂くという物である。この世界の魔法は、気を変化させた物を放ってくる。それはすなわち気斬で切り裂くことが出来ると言うことである。ただケンイチ、自身試すのは今回のが初めてであった。

　それと、先ほど一瞬でアレクシスの後ろに回り込んだ技は縮地という技である。第二型にある早足に似ているがあれの数倍早く動くことが出来るために相手からすれ瞬間移動したように見えるであろう。

　ケンイチにかけられた魔法は魔法を封じる物で気を封じる物ではない。

「お前の攻撃が俺に当たることはもうないがどうする？」

「それはどうかな？」

　俺の後ろを見ながらニヤッとした顔をしているアレクシス。

「それで勝ったつもりか？」

　俺の言葉に対して驚きで一瞬思考が停止したアレクシス。

　アレクシスの動きが止まっても後ろから迫ってくる魔法は近づいてきている。その魔法を剣で一振りして消滅させてしまう。

「何故気づいた？」

「そんな見え見えの魔法誰でも気づくだろ」

　そんなことはない。アレクシスは最初に放った魔法と同時にケンイチの後ろに魔法仕掛けていた。普通の相手であれば気づくことなく魔法を受けていたであろう。ただ、ケンイチは普通の冒険者とは違う。体に流れてい気を自分の周りに放出して周りの様子を感じ取っている。そのため、背後に何かが来ればすぐに気づけるのである。

　魔法はいとも簡単にかわされてたアレクシスは魔法での攻撃をやめて正面から迫ってくる。

「は～」

　俺はそれを見てため息を吐きながら、攻撃を紙一重でかわすのと同時に攻撃を仕掛けてカウンターを取り一撃で倒してしまう。

　胴体を真っ二つされたアレクシスはまだ生きていた。

　とりあえず結界魔法を使い回復を封じこれ以上抵抗できないようにしておいた。