最強剣士異世界で無双する

夢見叶

第97話 王都到着 

 関所を通ってから二週間、俺達は王都へと到着した。

 今は丁度お昼時、一番日差しが強い。

 風に乗り潮の香りがここまで来ている。

 常夏のリゾートと言う言葉が頭の中に浮かぶ。

「早く行きましょ!」

 街の中に入ってすぐに走り出すシェリー。それに続きいつもは大人しいヒョウカ、そしてミカが続いていく。

 俺も続いていく。

 海。

 目の前には一面の砂浜に海がある。

 砂浜にいる人達は水着を着けて寝そべり体を焼いている人や。海で泳いでいる人などいろいろな人がいた。

「お兄ちゃん」

 俺の服の袖を引っ張りながら名前を呼ぶミカ。

「どうしたんだ?」

「日焼け止めないのかな?」

 確かにそうだな。

「ひやけどめって何?」

 ないみたいだな。

 俺はシェリーとヒョウカに説明してやると、

「何それ、めちゃくちゃいいじゃない!」

「欲しい!」

 二人とも目をキラキラさせているが、この世界にない物を作れるわけないだろうが。

「無理だぞ」

 がっくりと肩を落とす三人。

 何かを訴えるような目で見てこられても困る。

 それから、俺達はこれから滞在する宿決めに向かった。

「やっぱり魚料理が食べられる宿がいいよな」

「だよね、それに海に近い所。この二つは必須だね。後は水着のレンタルとあるといいよね」

 他の二人もミカの意見に頷いていた。

 もうこれは三人に任せた方が良さそうだなと思っていた。

 そして俺達の宿は目の前に海があり、宿内に水着のレンタルをしているところのある『レイニー』と言う名の宿に決まった。

「部屋開いてますか?」

 宿の中に入り聞いて見ると、

「大丈夫ですよ! 何名様ですか?」

 宿の受付にいたのは俺達と同じくらいの年の女の子。

「四名です。部屋の数はお任せで大丈夫です。それと後これを」

 冒険者カードを見せると、

「わぁあ、Sランク冒険者の方達だったのですね」

 少し驚きを見せる少女。

「はい、こちらの宿でも大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ。ご滞在期間はどれくらいなのでしょうか?」

「今の所は二ヵ月間を予定しています。それと後で水着のレンタルいいですか?」

「分かりました。では一番いいお部屋をご用意いたしますの少々お待ちください」

 一礼して裏へと行く少女。

 だがしかし、最後の一言に俺は引っかかりを覚えた。一番いいお部屋と少女は言った。

 俺達の選んだこの宿、俺が日本に居た頃でもなかなか泊まれないであろう超高級ホテル位の大きさに立地。

 そこの一番いい部屋想像がつかない。

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

 俺達は少女の案内に従いついていく。

「こちらにお乗りください」

 俺達が案内されたのエレベーターらしき物。

「これは一体?」

 俺が不思議に思っていると、

「こちらは魔法道具のエレールになります。この辺りの宿には全て設置がしてありまして、こちらにありますボタンを押すことでそれと同じ階へと言ってくれるのです」

 まんまエレベターであった。

「それとこちらの鍵をどうぞ」

 何故こんな所でなどと思ったが答えはすぐに出た。

「お客様方の部屋はこちらになります」

 なんとエレールを降りた階全てが俺達の部屋であったのだ。

「こちらの階はその鍵がないと降りれませんのでくれぐれもなくさないようにお願いいたします」

 受付の少女は一礼して下へと降りていった。

 部屋はとても広く、窓からは街全体を見渡せる。

 それに個別の部屋もあり、その中にはかなり大きなベットまで。

「なんか凄い部屋に泊まっちゃったわね」

 シェリーは驚きのあまりその場で固まっていた。

 とりあえず、荷物を降ろした俺達は部屋を出て下へと降りる。

 そう確認しておかないといけない事がある。

「すいません」

 先程の受付の少女に声を掛けた。

「お客様どうなさいました?」

「あのお部屋のお代はいくらなのでしょうか」

 あの広さ、正直聞くのが怖い。

「これくらいでしょうか?」

 少女が提示した金額を見て少し驚いた。

   白金貨一枚

「少し安くないですか?」

 高級宿で二ヵ月間の滞在、それに最上階の一番いい部屋、何かの間違えではないかと思ってしまった。

 俺の予想だと安くても白金か十枚から十五枚位かと思っていた。

「かなりお安くしてあります。その代わりに一つお願い聞いて貰っていいですか?」

 あれだけの部屋に白金貨一枚で泊まれるなら何でも聞こう。

「いいですよ」

「Sランク冒険者が泊まった宿だと宣伝してもいいでしょうか?」

「そんな事でいいのですか?」

「はい、これ以上の宣伝はありませんので」

 そこまでいうなら俺は別にいいが。

 後ろにいる三人の顔を見てみるとかなり嬉しそうであった。

「大丈夫ですよ」

「ありがとうござます」

 とても感謝された。

 本当にお礼を言いたいのは俺達の方なのだがなどと思っていた。

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