第84話　情報

先程捕らえた盗賊達を冒険者ギルドへと連れてきた。

「すみません。先程村の中で暴れていた盗賊達を捕まえて連れてきたのですが」

「少々お待ち下さい」

　慌てて誰かを呼びに行く受付のお姉さん。多分ギルドマスターを呼びに行ったんだろうと思うけど。

「お待たせしないすまない」

「いえそんな事は、それよりも」

　後ろに連れている盗賊達を差し出す。

「この者達が先程村で暴れていた盗賊達にございます」

　それにたいして凄く驚いていた。

「この者達の処遇についてはギルドに任せてもよろしいでしょうか？」

「分かりました。では少しお時間を頂いてもよいですかな？」

「いいですが何をされるんですか？」

「この者達から盗賊達の情報を得ようかとも思いまして」

「分かりました。ではその間待たせてもらうことにします」

　それを聞きギルドマスターは盗賊達を連れて地下室に消えていった。

　俺達は待っている間、まだ朝食を食べてなかった事もあり食事を取ることにした。

　テーブルは全てあいているため俺達の貸し切り状態である。

「でもギルドマスターどうやって情報を聞き出すつもりなんだろう？」

　少し疑問はあった。いくら盗賊とはいえそんな簡単に仲間の情報を吐くとは思えない。

「やっぱり尋問とかするんじゃない？」

「でもギルドマスター凄く優しそうなお爺さんだったよ。そんな事するかな？」

　シェリーの言葉に対して否定する言葉を出すミカ。

「ギルドマスター多分元冒険者。拷問もすると思う」

「そうだな。情報を聞き出すのならするかも知れんな」

　俺もヒョウカもシェリーと同じ考えを持っていた。

　すると、

「ぎゃ～!」

　地下室から悲鳴のような声が聞こえてきた。

「シェリーの思った通りだな」

　今の悲鳴から地下室で盗賊が拷問を受けていることが創造できる。

「ギルドマスターが俺達を同行させなかったのはその様子を子供に見せないようにするためじゃなかったのかな？」

「そうかもね。私達まだ全員十代だし成人してるのミカだけだもんね。普通の大人ななら拷問の様子なんか見せたくないよね」

　俺達は冷静に先程ギルドマスターが俺達を一階に残した理由について考えていた。

　そんな事を話しながら俺達が朝食を食べ終わるのと同時に、

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

　地下室から戻ってきたギルドマスターに呼ばれる。

　俺達は食器を片付けてからギルドマスターについて応接室に向かった。

　昨日と同じように座ると、受付にお姉さんがお茶を人数分出してくれる。

「ギルドマスター早速なのですが、何か有益な情報が手に入ったのですか？」

　ここに呼ばれたという事は盗賊が口を割ったのではないかと思った。

「その通りにございます、まず盗賊達のアジトはこの村のすぐ近くにある森の中にございます。人数は六十人以上で殆どが元冒険者だそうです。ただそれ以外の情報は持っておりませんでした。あの者達は盗賊達の中でもかなり下っ端だったのではないかと思いまする」

「場所の情報だけで十分でございます。では俺達は早速盗賊達のアジトに向かおうと思います」

「さすがにそれは、相手は六十人以上いるのですよ」

　多分俺達冒険者ランクについては王都から話しを聞いた際に教えられていたのだろう。だがいくらランクが高いとはいえまだ子供。元冒険者の大人達相手にいくら何でも危険すぎると思っているのだろうと思う。

「大丈夫です。あの程度の冒険者がいくら集ろうとたいしたことは無いですよ」

　今回倒した五人の盗賊。多分あれと同じか少し強いくらいの者ばかりだと思う。それなら全然余裕である。

「ですが何の準備もなくというのは」

「ご心配はいりません。この村に来る前に必要そうな物は一通り用意してきています。それに早めに片付けないとこの村の食料などが底をついてしまいます」

「分かりました。私が言えた義理ではございませんがお気を付けて」

「はい分かりました」

　俺達ギルドを後にして盗賊達のアジトのある森へと向かった。

　その道中に簡単な作戦会議をしながら向かうのであった。