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カオスアニマ -脳筋おじさんと生者見習いの女子高生-

椎名 総

龍人とヴァルディリス

 


 日が暮れてきて『不可視の休息』は使わず、
 暖を取ってお茶片手に竜と龍人と旭でお話タイムである。




「ヴァルディリスさんと龍人は戦ったことあるの?」




「……ああ、BOSS化したエルを倒した後にな、ちょっとした八つ当たりだ」




「その時のこと話してよ、暇だし」




「ほほう、それは私も聞きたいな」




「そうだなぁ。鮮明には覚えてないが、語れるだけ語ってやるか」




「雨が降っててな、ずぶ濡れだった、おかしな日だったよあれは」




 この世界では天候は基本固定である。しかしあの日だけは『例外』だった。


 既に『ヴァルディリス城』を世界が認め、
 名称が『ガルデア城』から変わった城を眼前に一人の男がいる、
 吾妻龍人である、装備はグレートソード、
 灰色のこの世界のスタンダードな大剣武器、彼はずぶ濡れで城を見据えていた、




「何だおまえはッ」




 城門にいる生者3人、警備兵のような3人、まだ白金の鎧ではない、
 通常の生者のスタンダードな装備、
 肩甲冑と胸当て、手甲冑、足甲冑、もしくはブーツ、
 そんな装備の警備兵の一人が龍人に続ける、




「ここはもうヴァルディリス王の領地、用がなければ立ち去れ生者よ」 




「……ヴァルディリス…そうか、やつが、」




「どうしたッ立ち去れ、これ以上ここに居るなら敵対と見なすぞッ」




「……いいぜ、敵対だ、まぁやばくなったらトンズラするがな」




「あぁ? なんだと?」




     

       「『開戦』だ」




 龍人は闇の衣の柱石を起動する、それは敵対の証、




「敵襲だッ敵襲だッ」




 そう仲間に聞こえるように大声を張り上げる様子を見ていた警備兵、




「ああ、敵襲だよッッ」




 龍人はそう言うとグレートソードを振り回す、的確に攻撃を繰り出す、
 この世界に来てそれなりに時間は流れていた、強者にはなっていた、
 妻を殺され、息子を殺され、自身も殺され、この地、テラ・グラウンドに降り立って、
 その怒りも遠すぎる目標ゆえ若干落ち着きつつあった。
 しかし、この地に来て数少ない友を追いやった者に、
 その復讐の炎は若干猛ったようだ。 
 無謀とも取れる開戦、逃げる思考もあるため完全に激昂しているわけではない、
 それでも無謀と言わざる得ない、相手は数人ではない、
 かなりの数の少なくとも100近い数の、この時代の野盗、
 今現在は兵士、生者である。




「なんだッこいつはッ」




「持ちこたえろッッ」




「悠長に持ちこたえさせるわけねぇだろッッ」




 龍人は追い込む、回復をする者、
 前に出て盾などで時間を稼ごうとする者、
 吾妻龍人は容赦なくスタミナ管理を巧みに使い、
 城門にいた3人の生者を大聖堂送りにする。




「さーてどうするか、」 




 龍人はこれからのプランを適当に思考する、




「ダメだ、なんも浮かばねぇ、
 正面突破で運任せでいいか、
 (最悪アイテールに帰還するアイテム使えばいい、
 ほとぼりが冷めるまで近づかなきゃいいだけだ。
 この世界は長居するやつは少ねぇからな)」


 龍人は別に戦術、戦略に長けているわけではない、
 思考力はあるが平和な日本の現代人にそんなものはない、


 龍人はとにかく暴れた、
 形容するなら『戦術のない戦闘においては知的なクマ』、
 ただ真正面から向かい、時には引くが、その程度、出会った相手たちをただほふる、
 幾人かを屠った後、彼の運がまさった。
 幾人の生者に囲まれた龍人、その時、




「何者だ、名乗る勇気があるなら名乗るといい、」




 城の上部から聴こえる声、銀髪の男である、
 そう、ヴァルディリスその人である。




「おまえの名は、その名前が俺の求める相手なら名乗ってやるよ」




「…不敬であるがいいだろう、
 我が名もその容姿もまだ伝わっていない頃合いだろうからな、
 我が名はヴァルディリス、ルアーノ・ヴァルディリス、
 かつての王、ガルデア・マキナスを
 カオスアニマを賭けて討ち取ったこの城の新たなあるじであり、
 世界が認めた『王』だ、よく覚えておくといい、」




「…吾妻、吾妻龍人だ、」 




「…吾妻、龍人か…、聞いたことがあるな、
 カオスアニマを求める、転生を願う屈強そうな男がいると、」




「ああ、それが俺だ」




「なにしに来た。私と、カオスアニマを賭けて戦いたいと?」




「いや、それはない、今のあんたには俺では及ばなそうだ、」




「ではなんだ、」




「俺の塔にいた友人がBOSSになった、単なる八つ当たりだよ」




「塔? BOSS? ああ、エルディオンとかいうやつのことか、
 なるほどついに記憶をなくして世界にでも選ばれたか、これは傑作だ、」




「……ヴァルディリス王、不敬なのはわかるけどよ、
 少し後学のために立ち会っちゃくれねぇか、
 もちろんお互い殺しはしない、練習試合だ。
 愚かにもカオスアニマを、『転生』を望む愚かな生者に、
 新世代の王自ら施しをいただけるとありがたい、
 この怒りは時間さえ経てば俺の中で消化できるだろう、
 あんたはあんたの戦いに勝って王になった、俺はそれには文句がねぇ、
 愚かな生者のこの一時の暴走、王自らなだめちゃくれねぇか?」




「……なるほどな、いいだろう、その転生を目指す愚直さ、
 意味友のかたきとも言える私にそう言える度量、気に入ったぞ、
 おいシグナム、王の間にそいつを連れてきてくれ」




「わかった」




 龍人を囲んでいた生者の一人、
 シグナムと呼ばれた黒髪短髪の男はそう返事をした、




「ついてこい、吾妻龍人」




「ああ」







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