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カオスアニマ -脳筋おじさんと生者見習いの女子高生-

椎名 総

魔法の先

 


 そんなこんなで戦いは始まる、


 今回 龍人の武器は無強化の、
 なんの属性もついていない『ただのロングソード』を右手に持っているだけである、
 一方の旭は、使い慣れた斧『堅牢な斧』ではなく、
 『大剣グレートソード』、大剣は一振りのダメージは大きく、
 しかし、スタミナ消費も激しい、大味な装備である。
 利点としてはモンスター複数を相手にする時や、隙が一定で、
 どの装備でも一撃程度しか与えられないBOSSの場合にとても有効である、
 そして一撃の威力が大きいので、
 『仰け反り状態』を様々なタイプの重量の敵で誘発し、
 雑魚ならば3、4撃もあればスタミナを使いきって
 一網打尽に殺せるのでかなり有用性の高い武器である。
 『仰け反り状態』を誘発すると、
 相手の攻撃はキャンセルされるので、
 攻撃を受けることなく一方的に倒すことができる。
 ただし、途中で回避に切り替え、
 抜け出す敵もいるので注意はいるが、
 雑魚ならばそこまで知性は持ち合わせていない。
 今回BOSSではあるが慣れるためなのか旭は大振りな装備で望むようである。




「スタミナ管理に気をつけろ、わかってるな、
 死んだらまたここに来るまで2日かかるからな、殺されるなよっ」




「わかってるわよっあんたこそ、
 そんな使い慣れてないロングソードで舐めプして足元すくわれないようにしなさいよっ」




「ちッ俺を誰だと思ってやがる」




「ふふふ、やはり少し変わりましたね、龍人、雰囲気が、どことなく」




 魔法を詠唱しながら魔女『アリデリーナ』は笑う、
 とても楽しそうに、
 とても嬉しそうに、
 詠唱を終え、容赦のない魔法を解き放つ。


 一方『魔王ベルウエイド』は、旭と対峙していた、
 言葉はない、もちろん、ありはしない。
  ただあるのは、彼にあるのはその右手に持つ、
 極大大剣『エルドカリバー』で語ることだけである。
 戦いの始まりの空気を感じた『魔王ヘルウエイド』は旭に初撃を放つ、




「ッッッ」




 『始まりの狩人と亡者の森』のBOSS、
 『巨人デビウス』の剣撃とは、『質』が違う剣撃、
 重量、迫力、殺気、そして技術、
 『巨人デビウス』は所詮、名も無き亡者の集合体、
 そこに本物の殺気、本物の技術はない、




「はははッ」




 旭は間一髪その攻撃を躱し、呆れとも、笑いとも思える声を上げる。
 龍人ともまたアリデリーテの魔法の数々を前転し躱す。




「ちっ相変わらず、嫌で器用な魔法使いだ」




「すごいッ、なに、この衝撃ッ、あの剣の風っ」




「それに、なにあの魔法っ」




 放たられた想像を超えた剣撃と、
 龍人を狙っていた一部の魔法が旭にも降りかかりなんとかそれも躱したが、
 驚きを隠せない。




「お褒めの言葉ありがとう、驚かせちゃったかしら?」




 しかし旭は魔女『アリデリーナ』のありがとうの後に魔女の予測する反応と違う反応を示す。




「おもしろいっ」




 旭は、笑う、恐怖と、戦慄と、強者への敬意と、
 緊張感のある戦いの予感に、彼女は笑う、
「…彼女、おもしろいわね」
 フードで顔が、目が、瞳が見えない魔女『アリデリーナ』であるが、
 きょとんとした後に、意味深に笑ったことは龍人にもわかった。




「だろ?」




 龍人は嬉しそうに笑みを浮かべそう答える。
 魔女『アリデリーナ』、
 かつて、『ごう』、『カルマ』、
 絶望の大地『テラ・グラウンド』、
 この『世界』にいて『歴史上』、最強の魔法使い、
 魔法『探求者』大魔法使いアリデリーナ、その人である。


 通常、この世界の魔法は『炎』、『雷』、『氷』、であり、
 商人が売っているくらいの気軽さで『ある』。
 だがそれが、それの、最初にして、最高の、至高の、『創造主』、『探求者』
 それが魔女『アリデリーナ』である。


 彼女は同時に二つの魔法を使うことができる。
 理論上は可能ではあるが、
 今現在そんな魔法使いは龍人が知るかぎりいない。
 かなりの『法力』と『技術力』と『情熱』と『探究心』を要するからである。
 そして『魔王ヘルウエイド』は『魔王』と名乗ってはいるが
 実は『それ』を支えた、彼女の『探求』を支えた、
 気の弱そうな、だが、龍人と同じくらいの体格の
 見た目だけ見れば屈強だった男が今現在巨人の骨とかした『魔王ヘルウエイド』なのだ。


 アニマは基本譲渡できる、
 BOSSや、その他亡者から自動的に個別入手できるアニマとは
 別の入手経路であるドロップする『アニマの結晶』も譲渡可能である。
 アニマの譲渡に関してはあまりに不当に、
 そのアニマの重さを感じずに考えずに、
 なおかつ受け止めずにレベル上げなどを成すと
 精神的不一致などを起こしやすくなりそれなりにリスクも当然ながらある。


 『探求者』、本気に、真剣に、『探求』をすることにより、
 この世界に散った浮遊するアニマを『経験値』として得ることができ、
 達成すると更にアニマを得られるが、
 アリデリーナの場合、『伝承』させるための素材調べや、
 彼女自身のレベルアップをその場で簡易にするために
 アイテム『女神への言霊』が必要だったり、
 『探求』だけではいささかレベルアップが遅く、
 しかし研究のためにも法力のレベルを上げたいこともあるし、
 探求のために必要なアニマも必要である。
 その為ヘルウエイドは外にアニマと、
 結晶を集めに出稼ぎに行き続けた。
 故にこの二人のつながりは、伊達でない、
 何年、何十年、何百年あるいは千年以上、互いを信頼し知り尽くした、
 最強のコンビ、
 それが魔女『アリデリーナ』、魔王『ヘルウエイド』の語られることはない真実である。


 さすがの成長著しい旭でもこの二人相手に単身で戦うのは無理がある、
 故に龍人はロングソードで望んでいる。
 龍人が一人ならば先に『魔王ヘルウエイド』を脳筋パワーでゴリ押し、
 速攻で撃滅し、
 魔女『アリデリーナ』とのタイマン勝負に持ち込むことで安易に攻略できる。
 というか何度かしたことがある。


 魔女『アリデリーナ』の言う『いじめ』とはこのことである。
 龍人からすれば旧友の顔を見に来ている部分もあったわけだが、
 そうなると『いじめ』という表現は多少酷いことなのかもしれない、
 もちろん、魔女『アリデリーナ』もそのことはわかってはいる。




「あなた、お名前は?」




「旭、朝凪 旭」




「そう、旭、あなたは『転生』を目指しているの?」




「…はい、目指してます」




 少し思慮した後、魔女アリデリーテは何かを心に決める。




「…あなたに、見せてあげるわ、」




「…なにを?」




 一時的に戦闘が止まっているとはいえ
 少し様子の変わったアリデリーテの言葉により強い警戒をする旭。




「ふふふ、あなたの『知る』、魔法の『先』を、」


「龍人、あなたも、『知る』と良いわ」




「あん?」




「初めてでしょう、わたし『達』と、真正面から戦うなんて」




「他の生者も、ここに来る生者はあなたと似たような戦いをする生者ばかり、
 あなたは一人だから納得はできるけど、
 徒党を組んで、やることは一緒。
 でも今日は気分が良いわ。『全て』見せてあげる、」


   わたし、『魔女』『アリデリーナ・アルフレード』の
   本当の『実力』というものを


 そう言い放つと、アリデリーテは持っていた木で作られてた杖を天に、
 いや、魔王ヘルウエイドに向かってかざした。


「『エンチャント』」


 杖の先端から魔力が解き放たれる、その魔力は龍人と旭を驚かせる。




「!?」




 その放たれた魔力は、魔王ヘルウエイドの武器、
 巨大極剣エルドカリバーを徐々に熱気纏う炎の極大大剣にしていった。
 他者への装備への『エンチャント』、聞いたこともない、
 龍人が知る限り5つある魔法を総て習得し、
 法力を一定値まで上げれば自身の武器にはエンチャント可能、
 極めなくとも何らかの要因でエルディオンのように使用可能になることもあるが、
 それはあくまでBOSSの話である。
 もちろん龍人にそんな事はできるわけもない、
 魔法の商人シエスタ・パンドラから教えてもらった使えない知識である。
 使えないと言っても相手がやってくる可能性があるのだから
 『使えない』は間違いであり、
 情報とは戦闘においてもかなり大事である。
 そして今、魔王『ベルウエイド』の極大大剣『エルドカリバー』は
 確かに炎を纏っている。
 他者へのエンチャントは可能、
 それは実演を踏まえて証明されてしまった。
 そして『魔女』『アリデリーナ・アルフレード』は得意気に、優雅に、
 持っていた杖を投げ捨て、
 自身の両手と胸の中心に『炎』と、『雷』、『氷』の魔法を作り出す。
 彼女は魔法を3つ同時すら可能だったのである。
 そしてそれは、今この『テラ・グラウンド』で『伝承』されている、
 『魔法』ではない、
 この世界を長く生きる最強名高い吾妻龍人でさえその『魔法』は見たことがない。


 『魔法』、それは3属性、『5種類』


『炎』


  1、始まりの尊き赤色の炎
  2、鎮座する炎の宝玉
  3、無慈悲なる爆発の炎
  4、灼熱たる炎の火柱
  5、全てを灼き尽くす渦巻く蒼黒の炎




『雷』


  1、突き刺す雷の槍
  2、誘導される雷の矢
  3、局所的な雷の爆弾
  4、降り注ぐ雷鎚の鉄槌
  5、絶望し昇天する果てしなき黄金の雷




『氷』


  1、穢れ無き鋭き氷の刃
  2、すべての罪に突き刺さる氷の雨
  3、護りゆく硬結たる氷の結界
  4、生えゆく氷石の大いなる連鎖
  5、全てが紅に染まる無慈悲なる氷の嵐




 これが今現在の魔法の『総て』である。『全て』ではない。




  「これは『6番目』、
   あの魔晶石の鉱石では『伝承』することので出来ない、
  『伝承』されなかった魔法」




  6、炎 『容赦なき蒼黒の結界』
  6、雷 『思考を許さぬ雷鎚の拘束』
  6、氷 『灼熱の熱さすら感じる氷の侵食』




「龍人、まだ『フェア』じゃないのよね。
 だから、これでやっとフェアとなるでしょう?
 いや、そうじゃないわね、そちらがやや分が悪いかもしれないけど」




「ッッッ」




 龍人は、何時ぶりか、『戦慄』した。
 予想を超えていた。予期すらしていなかった。
 しかし淡々と魔女アリデリーテは続ける。


「龍人、あなたは、異常、異端、」
「だけど、わたしも、異端、で異常、」
「そして、この人が、このひとが、わたしに、注ぎ続けてくれた『愛』が、」
「あなたより、あなたの『復讐心』より、『脳筋』より、『劣る』とはまだ思えない、
『思えていない』、」


 そう言うと、魔女『アリデリーナ』はその魔法達を、龍人に放つ、


「!?」


 龍人は本能的に躱す、しかし、それは無意味な行為だった。
 『それ』は当たることは『確定』している付与魔法。




「このあなたを囲う蒼黒い炎は、あなたの体力を随時削り、
 視界も蒼黒の炎の結界によって遮られ、
 思考を許さぬほどの電撃の縄が、
 あなたの片腕、左腕を封じる、
 そして熱さすら感じる灼熱の氷が、『矛盾』が、
 あなたのその右腕に侵食し、攻撃力を半減させる。」


「これは『禁忌』、
 だから『伝承』できないのかもしれない、
 だけど、あなたは、その『禁忌』の『領域』に居る、
 だから、これで『お愛顧あいこ』、」




「さあ、はじめましょう、
 あなた達はそれを望んで『ここ』に来たのでしょう?」


「『示し』なさい、そして『思わせなさい』、
 あなた達の求める、死してこの世界に来たはずなのに
 『転生』したいという『矛盾』する『愛』で」


「『愛』とは、『求める』ことだから、
 『捧げる』ものだから『愛』とはその『狭間』のことなのだから
 自分自身のことなのだから、」
「わたしを支え、与え続けてくれたあの人の『愛』を、
 この世界のBOSSとなって、
 この人に返し続けている私の『愛』を、
 『総熱量』を、『超えて』見せなさい、 


 ……『いくわ』」


 
 『いくわ』それが、その言葉が、『始まり』、


 戦闘再開の合図、



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