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カオスアニマ -脳筋おじさんと生者見習いの女子高生-

椎名 総

魔王と魔女

 


 ここは『魔王城ヘルウエイド』、


 『灼熱の黒鉄城』の先にある城で、
 黒で統一された黒鉄城とは違い、
 白い要石や白っぽい要石かなめいしを積み立てて作られた非常にシンプルな外観の城である。
 多くの緑々とした木々に囲まれ、
 遠目から見ると城自体が薄黒い瘴気を放っているのがわかり、
 常に黒々とした雲が城の頭上に蔓延はびこかみなりを定期的に起こしている。
 その様子は『魔王城』と言う名にに偽りはないと思わせるには十分ではある。
 難易度的にはそこそこ難しいステージである。


 旭と出会ってから既に1ヶ月という時が経とうとしていたこの日、
 『魔王城ヘルウエイド』に来たのには理由がある。


 この世界、
 カルマ、
 地獄、
 魂の集う場所。
 通称『テラ・グラウンド』でアニマを稼ぐ方法は
 BOSSを倒すのが1番効率がいいのだが、
 誰かが倒していしまえばBOSSは大体はその日に復活することはない。
 『例外』はリディアの港の『ウルフクラウド』、
 始まりの狩人と亡者の森の『名も無き亡者の集合体巨人デビウス』位なものだろう。


 いくら攻略者、『転生』を目指す者が かなり少ないと言っても、
 生活のためにBOSSを狩る者はかなり少ないがそれでもそれなりいる。
 熟練の生者が倒せるかもしれない難易度で確実にBOSSで居るのは、
 難易度とアニマ量の噛み合っていない『ガルデアの塔』の『忘却の騎士エルディオン』、
 灼熱の黒鉄こくてつ城の『黒鉄の騎士長オルガルド』くらいなものか。


 結局の所まとまったアニマを手に入れる手段は、
 『それなりに湧き出る雑魚をひたすらに狩る』、というのが主流である。
 ガルデア城を引き継ぎ、
 その頂に頂き続けるルアーノ・ヴァルディリスの城
 『ヴァルディリス城』は配置された兵士などを倒すと縄張りを汚したとして
 『報復』があるので手を出せない。
 更に野盗の王、アイラ・ブルー・ノーズの縄張りのステージ、
 『仄暗い野盗たちの楽園』も、
 『ヴァルディリス城』も先のステージに行くためには
 そこの領主の許可がないと基本行くことができない、
 故に『野良の者』達の狩場は非常に限られる。


 『始まりの狩人と亡者の森』
 『リディアの港』
 『ガルデアの塔』
 『灼熱の黒鉄城』
 『忘却の雪原』が、主な選択肢となる。


 だが、後者2つは『熱さと寒さ』という問題点があるので、
 普通の生者は寄り付かない、
 旭はまだ防寒装備を手に入れていないので、
 故にBOSS込みで考えるなら『灼熱の黒鉄城』一択なのだが、
 ここは午前中で狩ってしまった生者の場合、
 敵の復活が遅い為数時間は空けないといけない、
 一日中灼熱狩りというわけにはいかないのである。
 結局のところ『始まりの狩人と亡者の森』や、
 『リディアの港』で適当に溢れ出る雑魚と戯れるのが正解なのだが、
 龍人達の目的は『転生』なのだ。
 更なる強者と戦いに備え、
 心も体も技も鍛えなければならない、
 故に雑魚と戯れていても『勘』が鈍っていしまい、
 いざという時、真剣勝負の刹那、選択を誤ってしまうようではいけないのである。
 だが、この3週間程はそれでも旭のレベルアップの為、
 雑魚狩りをせざる得なかったのは事実であった。
 しかしさすがの旭も、あまりの惰性的な戦いに
 一時的にだろうがステータス以外の成長の見込みのない『灼熱狩り』に飽きてきた。
 というのが今回『魔王城ヘルウエイド』に来た理由である。




 『魔王城ヘルウエイド』は『灼熱の黒鉄城』の近くにない、
 いや、『唯一』通じているのは確かだがあまりのも通ずる街道が道中長く、
 その街道だけで日を2度またがないといけないレベルという
 ある種の『秘境』にある。
 行き帰りの往復だけで4日、道中あまり敵がいない。
 辿り着くことに心血を注げば3日で往復は可能ではあるが、
 稼げるアニマを考えても余り行く意味が無い。
 レア装備ドロップ狙いか、そのステージのBOSSのアニマの結晶が欲しい、
 という理由がない限り、行く意味のあまりないステージなのだ。


 しかし旭の機嫌が悪いことを察した龍人は、
 効率が悪いことを承知で『魔王城ヘルウエイド』へこの度来た、
 ということなのである。


 ここ『魔王城ヘルウエイド』のBOSS『魔王ヘルウエイド』、
 『魔女アリデリーナ』はこの世界では珍しい二体同時のBOSSである。
 今まさに、龍人と旭の眼前にその内の一人、
 『魔王ヘルウエイド』は白色の玉座に鎮座している。
 『魔王ヘルウエイド』はその大きな玉座に手をつきゆっくりと立ち上がる、
 『魔女アリデリーナ』は玉座近くの床から魔法陣が発生し、
 これまたゆっくりと床の魔法陣から頭を覗かせつつ徐々にその姿を上に上げ、
 今ようやく足までその姿を現した。


 『魔王ヘルウエイド』のその風体は骸骨、
 自らの意志でBOSSになろうとした『異端』、
 霊体でもない、亡者でもない、
 自らこの地の魔王となろうと思い、重く、想い、想い焦がれて。
 それを成し遂げた異形と言われている。
 その体は巨人と化し、
 髪の毛は長いボサボサのそれぞれ外側斜め下にウエーブした髪、
 肉は朽ち果ててはいるがいまだに意思を持つ、
 言葉は発することは出来ない大きな骸骨、
 足元はグレーの足鉄甲の装備。
 汚いやや薄黒い青いマントと、
 大剣、と呼ぶには違和感を覚えるほどの極大大剣『エルドカリバー』を右手に持つ。
 『魔女アリデリーナ』
 『魔王ヘルウエイド』と恋に落ち、
 また彼女も、この世界のBOSSとして共に永遠を近い、
 BOSSとなったと言われている。


 その風体は人のサイズ、身長は168cm程度、
 通常の人の容姿、
 黒いフードを被った魔法使い、
 その長い蒼く麗しく美しい髪束は両肩から男の視線を胸元へ誘う、
 髪は胸元で結ばれており、
 その胸元の魅力も容赦無い、
 それはそれは豊かな山を作り出して、男たちの股間の山も誘い出し、
 龍人は毎回反強制的に『おっぱいスカウター』を使わざる得ない。
 木でできた杖を持ち、
 薄黒いフード付きコートを着こなし腹のあたりで一箇所ボタンを止め、
 生者であった名残で生者のベルトを着けている、
 当然生者とは性能が違いはするが回復薬のレピオス瓶を使うことも許されている。
 胸元は露出させてはいるがそこは生肌ではない、
 首元から股間まで赤いハイレグカットのタイツのようなもので覆っている、
 その下に黒いスパッツ、黒いハイソックス、黒いヒールの靴で締めくくる。
 『魔王ヘルウエイド』とは違い、『法力』、
 魔法力の応用よって、その肉と肌を保ち続けている。
 言葉すら発することができ、こちらも意志は未だにある。




「お久し振りですね、『龍人』、『いじめ』にでも来てくれたのですか?」




「いや、そう言うわけではないがな、
 だが、まぁ…ある意味そうかもな、
 本当は昔のように一緒にお茶をすすりたいところだが、
 そうも行かないだろう?
 つーかなんだよその胸付近で両側の髪一つに束ねて…、
 何もしてなきゃ違和感はないがやられた時の絵面が良くないぞ」




「あらそう? なにせ暇だから…少し遊んでみたのだけど…
 次来るときにはいつも通りにしておくわ。
 龍人、あなたとおそろいにね。
 ところで、そちらの方は見ない顔ですね、龍人の恋人かしら?」




「えっあ、私は、その、恋人、とか、そんなんじゃ、いや、でも、あのっ」




 突如話し始めたBOSS『魔女アリデリーテ』と龍人をぽかんと眺めていた旭は
 いきなり恋人かしらと話を振られ顔を赤らめて視線をあちこちに、
 手をブンブンして動揺をわかりやすく表す。




「なに、その程度で動揺してやがる、しっかりしろ」




 龍人は軽く左手で旭の頭を小突く、




「うっさいわねッ私の好意くらい気づいてるでしょッ龍人はッ、
 そこをいきなり指摘されたんだから動揺するに決まってるじゃないっ、
〈『こいつ恥じらって動揺しててかわいいな』と龍人は心のなかで思ったのであった〉、
 とかないのっねぇッ」
 小突いた龍人の手を払ってからギャーギャーわめきながら旭はそう言った。
「今は好きだの恋だの考えられんしなぁ、
 お前の好意は確かにありがたいが、すまん、ごめんな、
 あっ、だが、そのおっぱいは時々揉ませてもらえると助かるっ、
 すっっごくっ助かるぅッッッ」




 龍人は両の手で拝みながら謝罪をする。




「ひっどッッ、振られたっ、振られたよぉぉッッ、
 唐突に振られたよぉぉぉッ、
 おっぱいだけ求められたよぉぉぉ酷いよぉぉぉぉぉッッ」
 旭は泣く、泣きながら訴える、
 脳筋におっぱいだけ求められたと、騒ぎ立てる、被害を訴える。




「私が発端とはいえイチャイチャするのは構いませんが、
 本来の役割を忘れてしまいそうです。
 ヘルウエイドもそろそろBOSSとしての役割を抑えるのが限界のようですし、
 なのでそろそろはじめましょうか?」




「ああ、すまん、頼む、そうしてくれ」


「ぐすん、もう、後で覚えておきなさいよ、龍人っ」


「ああ、後でお前のおっぱい揉みながら小言聞いてやるよ」


「さいってぇっ」



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