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カオスアニマ -脳筋おじさんと生者見習いの女子高生-

椎名 総

当たってるんだけど





 もう夜分、すっかり日も暮れ、『不可視の休息』を使い、
 アイテールからさほど離れていない『始まりの狩人と亡者の森』の序盤、
 休憩に向いてそうなスペースので旭を開放していた。
「しっかり気を持てッ、茶を、ちっ、飲んでねぇ、この馬鹿がっ朝ガキッ」
 とにかく薄汚れた肌を拭かなければならない、
 人としての『人間性』の欠如は、記憶の流失を早めるのは事実だからだ。




「後で文句言われても俺は知らねぇぞ、これはお前のためだからな」




 龍人は防具をすべて手動で脱がせ、
 下着呼べるかどうかは謎の布も全て脱がす、
 本来ならこのようなことはできないが、
 『光の衣の柱石』に正式に登録さえしてあれば、
 介護のためなのだろうか? 装備を脱がすことが可能である。
 忘却の騎士エルディオンを倒した際、
 龍人は旭と『光の衣の柱石』を互いに登録していたのだ。
 常備している清潔なタオルにお湯をにじませ、旭の体を拭く、
 だが、その体はほんの僅か一部変色し、
 変質してはいるが、『17才の女子高生』、
 しかも、かなり大きいバスト、胸、おっぱい、乳房、
 『とても色気のある釣鐘型ロケットおっぱいである』と、
 龍人は一瞬で出会った時に見抜いていたが、
 乳首の色など綺麗なピンク色で、男なら、しゃぶりつきたくなるのは必死であり、
 下半身に関して綺麗な長い足、張りのあるかわいいお尻、
 ともかく各所の汚れを丁寧に丹念に龍人は拭き取る。


 その顔は、表情は、
 『卑猥』なことなど考える余地もないことが伺えるほどに必死だ。


 すべての工程を終えた龍人は、過去、気が落ち込み、
 『意志』が弱くなった者に対して『人肌で暖めると良い』、
 という話を聞いたことが幾度かあったからだ。
 消して、女子高生と裸と裸で抱き合いたい、という不順な感情からではない。
 ただ彼女を失いたくない、このまま生かせる訳にはいかない、
 龍人の、思いが、想いがだけが彼をそう動かしている。
 茶色の布に包まり、木を背に龍人は旭を抱きしめた。




「まったく世話掛けさせやがる、…戻ってこい」




 彼女の耳には全く届いていない、それほどまでに塞ぎこんでいる。




「………」 




 龍人はただ旭を抱きしめ続けた。












「……ねぇ、どうしてここまでしてくれるの?」










 あれからどれほど時間が立っただろうか、定かではないが、
 旭が放心状態から脱したのか、龍人に声をかけてきた。




「…うるせぇ、知るか、俺にもわからん、」




 少し間を置いて龍人はそう応える。




「…そっか…」




 旭は自身を抱きしめる龍人の手に自分の手をやった、
 少しの間その龍人の大きな手を彼女は意味もなく撫でた、何回も撫でた、
 しばらくして彼女は表情を崩さず言った。




「……ねぇ、あれが…当たってるんだけど、」




「……当ててんだよ」




 いきなり不意打ちのごとく指摘される事実に照れながらも龍人は答える。




「……ふふふ、…変態、」




 暗がりで表情はよく見えないが少し笑ったことが、『感情』が伝わってきた、これには龍人も安堵する、




「…もういい、今日は寝ろ、全ては明日からだ」




 優しく、暖かく、でもどこか力強く龍人の言葉は発せられた。




「…うん…ありがとう、…龍人」




 その言葉を受け止めた、包まれた、
 救われた旭は、素直に龍人に感謝を口にした、
 その声色は、確かにいつもの旭だった。








「龍…人?」








 旭が朝起きた時、龍人はもういなかった。
 彼の体温はかろじて旭の肌に残っているように彼女は感じてはいるが、
 目に見えるものは龍人と一緒にくるまっていた毛布以外、
 何も残ってはいなかった。
 不可視の休息は再び自らの意志で触れるだけで
 触れた生者の不可視状態を解除できる、
 旭も先日そうしたように、龍人もまた、無言でその場を去ったのだった。







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