聖獣物語 〜いざ頂点へ〜

WalaW

3話 親友と共に

 近づいてみると、駆は少しだがう〜んと声を上げていた。
 「駆〜!」
 肩を叩きながら名前を呼ぶ。すると駆はこちらに気づいたようで、頑張って目を開けようとしている。やはり駆でさえあの衝撃は強烈だったようだ…。
 
 「…!目が痛え…」
 「急がなくていいって。僕も苦労したからさ」
 「助かる…」
 どうせ急いだところで状況は変わらない。暇な僕も少し思考を巡らせてみることにした。

 まずこの世界に来た原因、それはあの謎の光と地震だろう。それがなぜこの状況に結びつくのかはわからない。よくある異世界転移というやつなのだろうか…。そして、この世界にいると思われるほかの人間。多分だが、駆もいるということはクラスの他のやつもいるだろう。だとすると、探索に向かうより合流するのが先決か…?と、そこまで考えたとき、
 「…!な、どこだよ…ここ…」
という僕と同じようなリアクションをした駆に邪魔された。もう駆はすっかり回復したらしい。

 「…学校でもましてや日本でもない…か。なんかすごいとこに来ちまったな…」
 「そうだな…。…なあ、駆?」
 「なんだ?」
 「僕の憶測だけど、まだクラスのやつが他にもいると思うんだ…。」
 「なるほどな。つまりそいつらを探しに行こうというわけだ」
 
 いつも思うが、駆はほんとに理解が早い。一言言うだけでその先を当ててくるんだから驚きだ。…本当なんでこんなやつが僕以外のやつとはまともに話せないんだろう。不思議でしょうがない。
 「…い、お〜いレイ!」
 「わ!驚かすなよ…」
 「はあ…。探さなくても良くなったぞ。あっちにかなりの人数集まってるのが見えた。…それにしてもほんとその妄想癖直せよな。何回言わせれば気が済むんだよ…。」
 「…ごめん。こればっかりは直りそうにもない。ていうか妄想じゃないし!」
 「…まあ俺は慣れてるからいいけど。そんなことよりあっち行こうぜ。ほぼクラス全員集まってるぽいし」
 「…ああ。そうだな。」
 
 この世界に何があるのかも分からない今は、少しでも多くの人数でまとまっていたほうがいいだろう。そう思いながら僕は駆のあとを追いかけた。

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