甘え上手な彼女4 冬編

Joker0808

第69話

 高志は部屋からプレゼントを持って再び外に出た。
 まずはもう一度インターホンを鳴らしてみうる。
 しかし、誰も出てこない。

「やっぱり……どこかに出かけたのか?」

 高志がそんな事を思っていると、リビングのカーテンがわずかに動いたのが見えた。
 間違いなく家の中には誰かがいる。
 しかも居留守を使っていると言うことは、紗弥の両親では無い。
 そう思った高志は再びインターホンを押した。
 やはり誰も出て来ない。
 紗弥はきっと自分とは会いたく無いのだろうと思い、高志はどうしたら紗弥と話しが出来るかを考え始めた。
 
「うーん……御門にお願いしてみるか?」

 紗弥と仲の良い優美華に仲介に入って貰おうと思ったが、優美華が快く受け入れてくれるとも思えず、他の方法を探すことにした。





 クリスマスの次の日。
 私は目を覚まし、一番最初にスマホを見た。 久しぶりに高志からの着信があった。
 メッセージもいっぱい来ている。
 
「高志……馬鹿……」

 私は一人でそう呟き、スマホをベッドに放り投げて顔を顔を洗い、着替えを済ませた。
 両親は旅行に行っていて、明日まで帰ってこない。
 昨日のクリスマスは最悪だった。
 折角のクリスマスだと言うのに、何もやる気がしない。
 そんな時だった。
 家のインターホンが鳴った。
 私は誰が来たのだろうかと、ドアの覗きを穴を覗く。

「高志……」

 インターホンを鳴らしたのは高志だった。
 私は高志と合うのが嫌だった。
 昨日の事もあり、何を話したら良いかも分からないからだ。
 だから、私は高志に対して始めて居留守を使った。

「………」

 少しして高志はどこかに行ってしまった。
 きっと留守だと思ったのだろう。
 はぁ……なんでだろう……会いたく無いはずなのに……なんで高志が居なくなった途端……こんなに寂しいのだろう……。

「ご飯食べよ……」

 私は冷蔵庫の中を確認し、朝食を作り始める。
 食事を食べた私は部屋に戻ってスマホで動画を見ていた。

「はぁ……暇だな……」

 いつもは高志と一緒だった。
 高志と一緒だと楽しくて、時間なんて忘れてしまっていた。
 一日ってこんなに長いんだと思いながら、私は動画を見るのをやめてベッドに倒れ込む。
「はぁ……暇だなぁ……」

 何もやることが無く私は暇だった。
 何をしようか悩んでいると、スマホの通知音が鳴った。

「ん? 誰かな?」

 メッセージの相手は高志だった。

【話したいことがある、会いたい】

 メッセージにはそう書かれていた。
 正直、私は会いたかった。
 会って高志と話しをしたかった。
 でも、私はそのメッセージを無視した。

「今更何よ……」

 言ってしまえばこれは意地だ。
 私だって簡単に高志を許したくなんて無い。 それに……もう別れたんだし……高志と話す理由だって今は無い。
 でも、本当はそれが自分の本心では無いと私は分かっていた。
 本当は高志ともう一度恋人同士になりたい。 高志話しをしたい。
 高志に甘えたい……。
 そんな事を考えながら、私はスマホで高志のメッセージを見ていた。

「はぁ……高志……」

 私はそんな事をしている間に、私は寝てしまった。
 
「ん……寝ちゃった……」

 私はお昼過ぎまで寝ていた。
 時計を見て、そろそろ昼食を食べようと一階のリビングに下りていく。
 
「あら?」

「んにゃー」

 リビングに向かうと、どこから入ったのか、チャコちゃんがソファーに居た。
 私はチャコちゃんを抱き上げ、頭を撫でる。
「むにゃぁー」

「なにぃ~? 私が恋しくなった?」

 私がそんな事を言いながらチャコちゃんを抱いていると、チャコちゃんは私の腕の中を抜け出し、玄関の方に走って行った。

「にゃー」

「何? もう帰るの? もう少しゆっくりして行けば良いのに……」

 チャコちゃんは外に出たいようで、ドアをガリガリと爪で引っ掻いていた。
 私は仕方なく、玄関の戸を開けてチャコちゃんを外に出した。
 すると、玄関先に誰かが座っていた。
 誰だろうと思って見てみると、それは高志だった。

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