甘え上手な彼女4 冬編
第54話
「さてと……」
「俺らはこれからどうするんだよ」
「知らん」
「おい」
高志を見送った繁村と土井は廊下で次の行動について話していた。
「とりあえず、その瑞稀って子に会いに言って事情を説明しよう」
「で、その子はどこに居るんだよ」
「知らん」
「まぁ、そうだよな」
「し、仕方無いだろ! この状況だし……」
ジト目で土井にそう言われ、繁村は弱々しく答える。
「まぁ……仕方ないよな……それに折角格好付けたんだし、ちょっと頑張ってみようか」
「格好付けたってなんだよ」
「カップルを死ぬほど憎んでるお前が、折角別れた高志と宮岡のために必死になってるところだよ」
「……別に俺だって世のカップル全員を憎んでる訳じゃねーよ……ただ、高志には今まで通りのあいつに戻って欲しいんだよ……」
繁村がそういうのには訳があった。
それは繁村がまだ入学して間もない頃だった。
*
「はぁ、彼女欲しい……」
「ため息を吐きながら何を言ってんだよ……」
学校にようやくなれ始めた6月、繁村は屋上で飲み物を飲みながら土井と話しをしていた。
土井とは中学からの仲で高校でも自然と二人で居ることが多くなった。
「高校生だぜ? 彼女欲しいだろ?」
「まぁ、気持ちは分からないでもないが……」
話す内容はそんな事ばかりだった。
何組のあの子が可愛いとか、彼女が欲しいとか。
繁村は彼女を作ることに憧れを抱いていた。
「大体、なんで彼女が欲しいの?」
「そ、そんなの決まってんだろ……い、一緒に……手を繋いで帰ったり……い、一緒に映画とか見たり……な、なんか楽しそうだろうが!」
「あぁ……結局純情なのね……」
彼女を作れば、人生が楽しくなる。
そんな事を繁村は思っていた。
だから、早く彼女が欲しかった。
早く彼女をつくって、彼女と楽しい学園生活と言うものを送って見たかった。
そんなある日……。
「ねぇ、繁村君」
「え? えっと……だれ?」
始めて女の子に話しかけられた。
その子は隣クラス可愛い女の子だった。
「え! 君も野球とか好きなんだ!」
共通の話題で仲良くなり、繁村はいつの間にかその子に恋をするようになっていた。
そんなある日……。
「え……金?」
「う、うん……今困ってて……貸して欲しいんだけど……」
「あぁ、良いよ、貸すくらいなら」
仲良くなって少し経った頃から、彼女は繁村にお金を要求するようになってきていた。
「繁村君……」
「えっと……確か同じクラスの……八重か?」
「あぁ……君最近隣のクラスの女子にお金を貸してるって聞いて」
「あぁ、まぁ……貸してるけど……それがどうかしたか?」
そんな時に話しをかけてきたのが高志だった。
心配そうな顔で繁村にそう尋ねると、高志は繁村に言った。
「あのさ……あの子はその……やめた方が良いと思うよ……」
「は? なんだよ急に……」
急にそんな事を言われ、繁村はムッとしてしまう。
しかし、高志の言葉は止まらなかった。
「金を貸すのはもうやめた方が良い……」
「お前には関係ないだろ」
高志の言葉を不愉快に感じ、繁村はそう言って高志の元を離れた。
「まったく……なんなんだ……」
あまり話したことの無いクラスメイトから、自分の好きな人の悪口を言われたようで繁村は気分が悪かった。
「あのさ……今日も……お金……貸してくれるかな?」
「あ、あぁ……良いよ」
毎回お金を貸していた為、繁村の財布が軽くなっていくのは早かった。
もうそろそろ最初に貸した金を返して欲しい、そう繁村が思っていた頃、繁村は見てはいけないものを見てしまった。
それは、その女の子と一つ上の男子生徒の先輩が話しをしているところだった。
「先輩……今回もお金借りてきました……」
「ご苦労さん。な? あいつチョロいだろ?」
「でも……もうこんな事……」
「俺らはこれからどうするんだよ」
「知らん」
「おい」
高志を見送った繁村と土井は廊下で次の行動について話していた。
「とりあえず、その瑞稀って子に会いに言って事情を説明しよう」
「で、その子はどこに居るんだよ」
「知らん」
「まぁ、そうだよな」
「し、仕方無いだろ! この状況だし……」
ジト目で土井にそう言われ、繁村は弱々しく答える。
「まぁ……仕方ないよな……それに折角格好付けたんだし、ちょっと頑張ってみようか」
「格好付けたってなんだよ」
「カップルを死ぬほど憎んでるお前が、折角別れた高志と宮岡のために必死になってるところだよ」
「……別に俺だって世のカップル全員を憎んでる訳じゃねーよ……ただ、高志には今まで通りのあいつに戻って欲しいんだよ……」
繁村がそういうのには訳があった。
それは繁村がまだ入学して間もない頃だった。
*
「はぁ、彼女欲しい……」
「ため息を吐きながら何を言ってんだよ……」
学校にようやくなれ始めた6月、繁村は屋上で飲み物を飲みながら土井と話しをしていた。
土井とは中学からの仲で高校でも自然と二人で居ることが多くなった。
「高校生だぜ? 彼女欲しいだろ?」
「まぁ、気持ちは分からないでもないが……」
話す内容はそんな事ばかりだった。
何組のあの子が可愛いとか、彼女が欲しいとか。
繁村は彼女を作ることに憧れを抱いていた。
「大体、なんで彼女が欲しいの?」
「そ、そんなの決まってんだろ……い、一緒に……手を繋いで帰ったり……い、一緒に映画とか見たり……な、なんか楽しそうだろうが!」
「あぁ……結局純情なのね……」
彼女を作れば、人生が楽しくなる。
そんな事を繁村は思っていた。
だから、早く彼女が欲しかった。
早く彼女をつくって、彼女と楽しい学園生活と言うものを送って見たかった。
そんなある日……。
「ねぇ、繁村君」
「え? えっと……だれ?」
始めて女の子に話しかけられた。
その子は隣クラス可愛い女の子だった。
「え! 君も野球とか好きなんだ!」
共通の話題で仲良くなり、繁村はいつの間にかその子に恋をするようになっていた。
そんなある日……。
「え……金?」
「う、うん……今困ってて……貸して欲しいんだけど……」
「あぁ、良いよ、貸すくらいなら」
仲良くなって少し経った頃から、彼女は繁村にお金を要求するようになってきていた。
「繁村君……」
「えっと……確か同じクラスの……八重か?」
「あぁ……君最近隣のクラスの女子にお金を貸してるって聞いて」
「あぁ、まぁ……貸してるけど……それがどうかしたか?」
そんな時に話しをかけてきたのが高志だった。
心配そうな顔で繁村にそう尋ねると、高志は繁村に言った。
「あのさ……あの子はその……やめた方が良いと思うよ……」
「は? なんだよ急に……」
急にそんな事を言われ、繁村はムッとしてしまう。
しかし、高志の言葉は止まらなかった。
「金を貸すのはもうやめた方が良い……」
「お前には関係ないだろ」
高志の言葉を不愉快に感じ、繁村はそう言って高志の元を離れた。
「まったく……なんなんだ……」
あまり話したことの無いクラスメイトから、自分の好きな人の悪口を言われたようで繁村は気分が悪かった。
「あのさ……今日も……お金……貸してくれるかな?」
「あ、あぁ……良いよ」
毎回お金を貸していた為、繁村の財布が軽くなっていくのは早かった。
もうそろそろ最初に貸した金を返して欲しい、そう繁村が思っていた頃、繁村は見てはいけないものを見てしまった。
それは、その女の子と一つ上の男子生徒の先輩が話しをしているところだった。
「先輩……今回もお金借りてきました……」
「ご苦労さん。な? あいつチョロいだろ?」
「でも……もうこんな事……」
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
32
-
-
1978
-
-
35
-
-
59
-
-
2
-
-
4
-
-
3
-
-
37
-
-
140
コメント