甘え上手な彼女4 冬編
第28話
「はぁ……早く治らないかな……」
「そんな簡単に治るものでも無いでしょ?」
医者の話しではそろそろギブスが取れるらしいのだが、詳しい事は次回の診察を受けて見ないと分からない。
「……痛い?」
「え?」
ギブスを見ていた赤西を見て、朋香は心配そうに赤西に問いかける。
朋香は自分のせいで赤西の腕がこうなってしまったのだと、ずっと責任を感じていた。
だからこそ、こうやって赤西の手伝いをし、左手の代わりをしようと思っていた。
「大丈夫だって、それに……お前が気にすることでも無いんだぞ……」
朋香の心情を察してか、赤西は優しく朋香にそう言う。
そんな赤西の気遣いが嬉しくて、朋香は思わず頬を緩める。
「ありがと」
そんな朋香の笑顔を見た赤西は、顔を赤らめて朋香に言う。
「やっぱり……お前はその……笑ってた方が良い……」
「え?」
「だ、だから! その……あんまり眉間にシワばっか寄せんなよ……」
「な、なによ……急に……」
素直に笑った方が可愛いと言えない赤西だったが、朋香はなんとなく赤西が何を言いたいのか分かっていた。
「ま、テストが終わるまでは無理ね~誰かさんの成績は悪いし」
「う、うるせぇよ! 人が折角褒めてんのに!」
「良いからさっさと行くわよ、私もお腹減ってきた」
「あ、おい待てよ!!」
*
「それじゃあお疲れ様でした」
「おう、お疲れ! 助かったよ!」
高志はアルバイトを終えて、家に帰ろうとしていた。 今日のバイトの内容は、土日の内容よりも楽だった。 部屋の模様替えの手伝いと言う仕事内容だったのだが、タンスと本棚を動かす程度のものだった。
少しタンスが重たい程度で、内容は難しいものでは無かった。
「疲れたぁ……さっさと帰るか」
時刻は17時、そろそろ帰って勉強しなければと思いつつ高志は自宅までの道を急ぐ。
これで軍資金はなんとかなったと一安心し、あとはデートコースを考えるだけとなった。
「うーむ……どこが良いだろう……」
イルミネーションを見に行くのも良いだろうし、水族館なんかも良いかしれない。
そんな事を考えている間に、いつの間にか家に到着した高志。
家の玄関の戸を開け家の中に入ろうとする……しかし……。
「やぁ……久しぶりだねぇ……」
「うおっ!! ビックリした……って、紗弥のお父さん?」
「貴様にお父さんと言われる筋合いはぬわぁい!!」
「す、すいません……で、何かご用ですか? 多分紗弥なら俺の部屋ですけど……」
家のドアを開けようとした瞬間、紗弥の父親がスーツ姿で高志に声を掛けてきた。
突然声を掛けられ、高志は驚いて思わず声を上げてしまった。
「なんだとぉ!? 部屋ぁ!? ふざけるな!! 貴様、紗弥に何をする気だ!!」
「何もしませんよ……」
「貴様ぁぁぁぁ! それは紗弥に魅力が無いということかぁぁぁぁ!!」
「どうしろって言うんですか……」
「まぁ良い……本題だ……最近紗弥の元気が無い……貴様一体何をした?」
「俺が犯人前提ですか……」
「貴様以外に誰がいるっていうんだ! このボケカ……きゃいん!!」
額に血管を浮き出させながら、高志に怒鳴り散らす紗弥の父親だったが、突然変な声を出して倒れてしまった。
一体何ごとであろうかと高志が思っていると、紗弥の父親の背後に、フライパンを持った紗弥の母親がニコニコしながら立っていた。
「うふふふ、近所迷惑よアナタ。ごめんなさいね……うちの主人が」
「あぁ、いえ……なんか慣れてきました」
「うふふ、でもこの人の言うことは本当なのよ? 紗弥が最近元気ないの……それだけは覚えておいてね」
「は、はい」
先ほどの紗弥のお父さんの怒鳴り声よりも、今の紗弥の母親からのやさしげなこの言葉の方が、高志怖いと感じてしまった。
「そんな簡単に治るものでも無いでしょ?」
医者の話しではそろそろギブスが取れるらしいのだが、詳しい事は次回の診察を受けて見ないと分からない。
「……痛い?」
「え?」
ギブスを見ていた赤西を見て、朋香は心配そうに赤西に問いかける。
朋香は自分のせいで赤西の腕がこうなってしまったのだと、ずっと責任を感じていた。
だからこそ、こうやって赤西の手伝いをし、左手の代わりをしようと思っていた。
「大丈夫だって、それに……お前が気にすることでも無いんだぞ……」
朋香の心情を察してか、赤西は優しく朋香にそう言う。
そんな赤西の気遣いが嬉しくて、朋香は思わず頬を緩める。
「ありがと」
そんな朋香の笑顔を見た赤西は、顔を赤らめて朋香に言う。
「やっぱり……お前はその……笑ってた方が良い……」
「え?」
「だ、だから! その……あんまり眉間にシワばっか寄せんなよ……」
「な、なによ……急に……」
素直に笑った方が可愛いと言えない赤西だったが、朋香はなんとなく赤西が何を言いたいのか分かっていた。
「ま、テストが終わるまでは無理ね~誰かさんの成績は悪いし」
「う、うるせぇよ! 人が折角褒めてんのに!」
「良いからさっさと行くわよ、私もお腹減ってきた」
「あ、おい待てよ!!」
*
「それじゃあお疲れ様でした」
「おう、お疲れ! 助かったよ!」
高志はアルバイトを終えて、家に帰ろうとしていた。 今日のバイトの内容は、土日の内容よりも楽だった。 部屋の模様替えの手伝いと言う仕事内容だったのだが、タンスと本棚を動かす程度のものだった。
少しタンスが重たい程度で、内容は難しいものでは無かった。
「疲れたぁ……さっさと帰るか」
時刻は17時、そろそろ帰って勉強しなければと思いつつ高志は自宅までの道を急ぐ。
これで軍資金はなんとかなったと一安心し、あとはデートコースを考えるだけとなった。
「うーむ……どこが良いだろう……」
イルミネーションを見に行くのも良いだろうし、水族館なんかも良いかしれない。
そんな事を考えている間に、いつの間にか家に到着した高志。
家の玄関の戸を開け家の中に入ろうとする……しかし……。
「やぁ……久しぶりだねぇ……」
「うおっ!! ビックリした……って、紗弥のお父さん?」
「貴様にお父さんと言われる筋合いはぬわぁい!!」
「す、すいません……で、何かご用ですか? 多分紗弥なら俺の部屋ですけど……」
家のドアを開けようとした瞬間、紗弥の父親がスーツ姿で高志に声を掛けてきた。
突然声を掛けられ、高志は驚いて思わず声を上げてしまった。
「なんだとぉ!? 部屋ぁ!? ふざけるな!! 貴様、紗弥に何をする気だ!!」
「何もしませんよ……」
「貴様ぁぁぁぁ! それは紗弥に魅力が無いということかぁぁぁぁ!!」
「どうしろって言うんですか……」
「まぁ良い……本題だ……最近紗弥の元気が無い……貴様一体何をした?」
「俺が犯人前提ですか……」
「貴様以外に誰がいるっていうんだ! このボケカ……きゃいん!!」
額に血管を浮き出させながら、高志に怒鳴り散らす紗弥の父親だったが、突然変な声を出して倒れてしまった。
一体何ごとであろうかと高志が思っていると、紗弥の父親の背後に、フライパンを持った紗弥の母親がニコニコしながら立っていた。
「うふふふ、近所迷惑よアナタ。ごめんなさいね……うちの主人が」
「あぁ、いえ……なんか慣れてきました」
「うふふ、でもこの人の言うことは本当なのよ? 紗弥が最近元気ないの……それだけは覚えておいてね」
「は、はい」
先ほどの紗弥のお父さんの怒鳴り声よりも、今の紗弥の母親からのやさしげなこの言葉の方が、高志怖いと感じてしまった。
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