魂狩りのダンジョンマスター ~慈悲も容赦も持ち合わせておりません!~
第62話 一人目
   それから、俺は特に篠宮の提案に反対することもなく、どこか座れる場所に向かって移動をしていた。
篠宮がいい場所を知っているというのでついて行っているが‥‥‥一体どこに向かっているんだろうか。
まあ信用はしているので特に質問はしないけど。
「お、着いたぞ。この部屋だ」
それなりに歩いた後、篠宮はそう言うと、ある部屋の扉を開いて中へと入っていった。
俺も続いて中へと入っていく。
‥‥‥?
なんだこの部屋は。
木箱やら袋やらが積み上げられて置いてある。
その一方、椅子とかテーブルとかは一切置かれていない。
座って話が出来る場所に行くという話だったはずだが‥‥‥
「おい篠宮、本当にこの場所で合ってるのか?」
「‥‥‥いや、どうやら部屋を間違えたみたいだ、悪い。一回通路に戻るか」
そう言うと、篠宮は振り返って部屋の扉の方に歩き始めた。
そして、俺とすれ違う瞬間、いつの間にか手に持っていたナイフを、俺の胸に突き刺した。
さも当然かのように。
「え? ‥‥‥ごはっ」
俺は口から血を吐き出してその場で倒れた。
焼けるような痛みが胸に広がる。
何故こんなことをという疑問が胸中を埋め尽くす。
信頼していたのに。
初めて悩みを打ち明けられそうだったのに。
そして何より‥‥‥
「友達、じゃなかった、のかよ。どうして、なん、だよ‥‥‥」
「理由なんて聞いてどうするんです? もう死ぬのに」
篠宮の形をした何かが喋った瞬間、俺の背筋が凍った。
普段の篠宮と口調が違うだけじゃない。
纏う雰囲気が違う、しぐさが違う、外見以外のすべてが違う。
そして、その違い全てが恐ろしい。
あまりの痛みと恐ろしさに襲われた俺には、質問について考える余裕も、答える余裕もなかった。
段々と意識が遠のいていく。
そんな中、俺はもう何も考えないことにした。
痛みも、今まで溜め込んだ悩みも、目の前にある恐怖も。
そして、死ぬということも。
だって、もう何も解決出来そうにないから、考えないようにするしかない‥‥‥よ、な。
+++++++++
宏和の魂が手に入ったのを感じる。
いつもと違う感触だ。
具体的にどう‥‥‥とかは特にないが、確実に普段と何かが違う。
勇者の魂は一味違うといったところか。
本人に自覚はなかったようだが、宏和の僕に対する感情は期待。
親しい間柄になれるのではないかという期待を、無意識のうちにしていたようだ。
今回はその感情を大いに利用させてもらった。
結果として、宏和は完全に僕のことを信じ切っていたようだ。
おかげで人気のない場所に連れ込んで、簡単に殺すことが出来た。
これで初めて勇者組に死者が出たことになる。
死体が発見されれば衝撃は大きいだろう。
どれだけ士気が落ちるか楽しみだ。
僕は作戦の成功を実感しながら、リビングナイフを回収して、部屋を出た。
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