魂狩りのダンジョンマスター ~慈悲も容赦も持ち合わせておりません!~

カルディ

第23話 2階層目

 
 これまでの冒険者とは格が違う。
 僕は彼らを監視して、トラップを発動させながらそう感じた。
 3人のBランク冒険者も比較的高い能力を持っているようだが、彼らと比べてもあのAランク冒険者の能力は非常に高い。
 僕が絶妙なタイミングで発動させているはずのトラップを易々と回避もしくは防御しているし、消耗している様子が一切見られない。
 彼の視線の動きを見るに、どうやらトラップのおおよその位置に目星をつけているようだ。
 特殊なスキルでも持っているのか‥‥‥まさか、相手を人間だと仮定してこちらの意図を読んでいる?
 ‥‥‥方法はともかく、トラップの場所がバレるのは厄介だ。
 僕は彼の脅威レベルを引き上げながら、手札を1枚切っての直接迎撃へと向かった‥‥‥

 +++++++++

「っ!閃光!?」
「魔力反応が複数近づいてきますっ!」
「全員防御を優先しろ!」

 俺たちが2階層目へと駆け込んだ瞬間、いきなり閃光が襲い掛かった。
 薄暗いダンジョンに目を慣らしていたため、閃光はその効果を十全に発揮して俺たちの視界を一瞬奪う。
 その直後、ザックの警告を聞き、リーダーの指示に従おうとしたときには、既に右足を何かに引っ張られ体勢を崩しかけていた。
 視界を取り戻した俺は、慌てて左足で踏ん張ろうとするが、左足もさらに何かに絡めとられる。
 完全に体勢を崩し、地面へと倒れこむ直前、スキルを発動させたリーダーの炎の光と、自分の下から飛び出してくる複数の槍が見えた。

 +++++++++

 あのAランク冒険者はそう簡単には倒せないと判断した僕は、一騎打ちに持ち込むためにさっさと周りのBランク冒険者を始末してしまうことにした。
 慌てて2階層に飛び込んできた彼らに切り札のトラップである閃光トラップを発動して、明かりを出させる間もなく、4体に増員したシャドー君とトラップの合わせ技で仕留めようとしたのだ。

 僕自身は全身身体強化を行使した後、魔法士らしき女を直接仕留めにかかった。
 魔法で体勢を立て直されたり、トラップを防がれたりということが何度もあったからだ。

「《スプラッシュボム》、《ウォーターウォール》!‥‥‥え?にんげ‥‥‥ごふっ」

 案の定、彼女は魔法を使って足回りのシャドーを弾き、トラップを防いでしまっていた。
 だが3連続で魔法を行使する集中力がなかったのか、自分たち以外の人間がいることに驚いたのか、僕の攻撃は防ぐことが出来ず、胸を刺し貫かれ、血を吐き出す。
 その直後、いきなり背後から熱と光が近づいてきた。

「スラッシュ!」
「ぐっ!」

 その威力の高さに、僕は思わず呻き声を漏らす。
 背後から近づいてきた熱と光の正体は例のAランク冒険者だった。
 手に持っている双剣と彼の手足は炎を纏っており、凄まじい熱気が伝わってくる。
 なんとか彼の剣を防御できたが、凄まじい威力だ。
 恐らくスラッシュ、身体強化に加えて更なる強化を自身に施している。
 炎を扱っているのに加え、身体強化を使っているであろう身体能力‥‥‥火と無属性の2属性持ちか?
 まともに切り結んで勝てる相手じゃない。
 だから‥‥‥2枚目の手札を切る。

 僕は自分の外套の中に潜むそれら全員に付与魔法を行使した後、一言、たった一言命じた。
 「殺せ」と。
 その命令をトリガーに、事前に僕の外套から次々と銀色に輝く刃たちが飛び出て来る。
 刃たちの正体はリビングナイフたちだ。
 その数なんと50本。
 付与魔法をかけられたリビングナイフ達は凄まじい勢いでターゲットへと向かって行き、散開する。

「くそっどうなっているんだ!?」
「よそ見する暇があるんですか?」

 彼は自分に向かってくる大量のナイフに少し混乱気味になっていたが、僕は容赦なく切りかかった。
 しかしスラッシュLV4を使ったのだがそれを受け止めた彼の剣はびくともしない。
 効果なしである。
 だがいくら剣が強くとも‥‥‥全方位に展開したナイフと切り結ぶことなんてできるかな?
 散開したリビングナイフによる包囲は、既に完成に近づきつつあった。

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