転生したら愛がいっぱい?!(仮題)

シーチキンたいし

作ってみよう!



神殿での一件以降、私はなるべく神殿には近付かないようにした。

本当はイナン様やゼウス様のお声が聞きたかった。もっと話したいことがあった。けど、それ以上に面倒事に巻き込まれるのは目に見えていたから控えることにしたのだ。

あーあ、もっとお祈りしとけばよかったかなぁ。

(解答、あなた様にはスキル:神託Lv.MAXがあります。その効果で、神殿でなくとも、祈り続ければそこを擬似的聖域とし、神託を授かることができます)

え?場所とかはどこでもいいの?

(解答、肯定します。出来るだけ聖域になりやすい聖異物を祭壇に見立てると良いでしょう)

聖異物かぁ……そんなの持ってないよ。

(申告、あなた様の体は神々が作った言わば聖異物になります。身体の一部を祭壇に付与すればよいかと)

怖いよ!でも確かにこの身体は神様たちが作ってくれた新しい器だし、聖異物と言われればそうなのかも…?身体の一部なら、血とか髪の毛とかでもいいの?

(解答、それでよいかと)

今一スキルを使いこなせていなかったので、鑑定さんが言ってくれるまで、神託のスキルの存在をすっかり忘れていた。

憂いもなくなったことで、さっそく作業用を再開した。

何をしているのかというと、ただ単にひたすら細かいことをしたり、木材をくっつけたり、削ったりと色々している。これは、スキル:加工を取得しようとしている途中なのだ。

散歩の時に「娯楽が少ない」思ったことを有言実行中だ。目指すはリバーシ!まずはスキルの取得から始めた。

(スキル:加工を習得しました。神の加護よりレベルが上限に達しました)

ピローンと、見慣れた画面が現れた。でも、なんだかいつものとは違う。

これって…鑑定さんじゃないよね?

(解答、今のは世界のシステムからです。スキルや称号を習得した場合、自動的に告知するシステムの一つです)

世界のシステムか…そんなことよりそのあとになんか重要なこと言ってなかった?上限に達しましたとか…。

(解答、加護:神々の祝福に2柱新たな加護が加わっています。商業の神メルクリス様と知恵の神メーティウス様です) 

鑑定さんの言葉を聞いてぎょっとした。

ただでさえ恐ろしく理不尽チートな加護が、さらに2柱からの加護で強力になったっぽい。

え?なんで?

(解答、元々神々はあなた様に注目しておられました。それに加え、あなた様の作るものに商業の神と知恵の神が興味を示したからだと思われます)

ナニソレ……。

私って、そんなに神様達に注目されてるの?なんかプライバシー無いみたいで嫌だな…。

まぁ、なくて困ることは無いから有り難く貰っとくけど。さっそく加工スキルの詳細お願いします!

(解答、スキル:加工Lv.MAX
あらゆる物を加工できます。加工に必要な素材と魔力さえあれば、イメージしだいで加工可能です。)

え、これまた凄いなー……Lv.MAXって、みんなこんな感じなの?まぁ、前にも鑑定さんが、Lv.MAXで一騎当千の力とか、人外とかいってたもんね。

(解答、その通りです。なので、この世界のスキルレベルはとても上がり難くなっています。通常、レベルが上限に達するには何十年もの修行が必要です。後は、才能と加護があるかで別れます。加護持ちは、成長に補正がかかりますから)

じゃあ、レベルがMAXになるには、普通は何十年間も修行して得るしかないんだ。後は私みたいに加護があれば、裏技みたいに何年も修行しなくても成長に補正がかかってはやく上がるってことか。

やっぱ私のステータスって、理不尽チートだ…。

兎に角、さっそく取得したばかりのスキル:加工で、リバーシの盤と駒を作ってみた。何故か駒に、白と黒の色までついて出てきたので驚いたが、どうやら私のイメージをくみ取って、自動的にそうなったようだ。さすがLv.MAX。

「かんせーい!」

『アリス?何だこれ?』

「シロ!さっそく遊ぼ!」

作業中、大人しくしていた白銀が、リバーシをみて不思議そうにしていたので、遊び方を教えて一緒にやってみた。

一戦目──

「やったー!アリスの勝ち!」

『う……っ、もう一回だ!』

五戦目──

「ふぅ……危なかったぁ。シロ覚えるの早いね!」

『ぐぐぅっ……ま、まぁな!さ、もう一回だ!』

「えー?それ何回目?」

十二戦目──

『勝ったぁ!』

「うぅ~!負けちゃったぁ」

『俺にかかればこんなもんだ!』

それにしては「もう一回」が多かったよね?とは言わないでおこう。

白銀が楽しそうにしてるし、作ったかいがあった。

「お?何やってるんだアリス?」

「クマさん!お帰りなさい!」

「え?は、はははは、た、ただいま」

クマさんにお帰りなさいを言うと、ビックリしたように固まったと思ったら、顔を真っ赤にして誤魔化すように笑った。

どうしたんだろ?熱でもあったのかな?

「……で、何だ?それ」

「これ?リバーシ!アリスが作ったの!クマさんも一緒に遊ぶ?」

「そうなのか?じゃぁ……」

そのあと、結局クマさんも白銀と同じようになった。最初はルールをよく知っている私が勝っていたけど、何戦もしていると、負けていってしまった。

二人とも強すぎ…。

悔しがっていると、鑑定さんが気をつかって、指す手や二人が指す場所の予測まで始めた。すると今度は圧勝。

鑑定さんは、理不尽チートだった。

なんだか居たたまれなくなったので、こういう娯楽の勝負事に鑑定さんを使わないと決意した。

「ところでクマさん、オルグおじ様とのお話は?」

「あぁ、九勇士円卓会議エニアグラムの開催地はこの国になってな、ちょっとばかし打ち合わせしただけだから大丈夫だ」

「この国でするの?」

「正確には王都でな。まぁ、開催まで三ヶ月がある。それまではゆっくりするさ」

この国の王都。少し興味が湧いた。

権力者とかいっぱい居そうで嫌だけど、やっぱり行ってみたいと言う好奇心の方が勝る。

「王都かぁ…。アリス、いつか行ってみたいな!」

「じゃぁ…一緒が行くか?」

「いいの?!」

「あぁ、俺の側なら大丈夫だ。安心しろ、絶対守るからな」

え、なんでそんな恥ずかしいこと真顔で言えるの?何この人、男前。

なんだか、こっちの方が恥ずかしくなって赤面した。

その後は黙々と作業し、リバーシの他にもトランプやチェスなども作り出した。

色々とやっていると楽しくなって、気づけば娯楽品がたくさんに。クマさんに「売るのか?」と聞かれたので、「出来るなら」と答えると、神殿に持っていくといいと言われた。

なんでも、商業の神メルクリウス様の所に奉納することで、地球で言う特許みたいなものが得られるそうだ。

商業の神メルクリウス様に奉納すると、その商品の開発者、製造者などを登録するとこができる。もしも、そういった商品を盗作したり、権利を害するような行為を行うと、文字通り神罰がくだる。

地球の特許と言うものより余程強制力の強い契約だ。これのおかげで、弱い立場の開発者などは安心して店に出せるのだ。

流石は神様。私も一応、コレ全部持っていった方がいいかな?

スキル:加工を習得するとき、干渉してくるくらいだから…もしかして、神様の世界でも娯楽品とか嗜好品が無いのかな?

今度お菓子でも作ったとき奉納しよう。


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