エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!
李書文対武田惣角
 先手必勝
神速とも言える動きで間合いと詰めると同時に突き。
まだ動かぬ相手の額を打ち抜いた――――そのはずだった。
(手ごたえがない。ワシが間合いを見誤った……いや、見誤られたのか!)
額には僅かに出血が見えるだけだった。
「俺とて、この体も久しぶりだからな。見切れなかったか」と魔剣に憑かれた男。
その体は大きく変わっていた。 小柄な体だが、背中から羽が生えている。
ノアが評したように神話の天使のように見える純白の羽だ。
それから男は、こう続けた。
「貴様、名は何という?」
「李書文」
「ほう……清国の名前か。かの国の武術、体験したいと思っていた」
「何っ! ならば、貴様も同じか!」
「あぁ、あの世界から来た者よ。なんと言ったか……あぁ、召喚者だ。名は――――
武田惣角」
その名前を聞いた瞬間、ノアの背中に悪寒は走り抜けた。
それは日本の武道において神の名前だ。
合気道の始祖。
そして―――
原始にして最強。
だが、そんなことを李書文は知らない。
再び、惣角の額を狙い素早く2撃目を放つ。
だが、当たらない。
(―――ッ! 放つ瞬間、あやつの体が大きく見えて間合いが狂った。おそらく特殊な体捌きにより錯覚を引き起こされている)
そう理解したが、その分析のために反応が遅れる。
昆が惣角に掴まれた次の瞬間に――――書文の視点が回転した。
「――――投げられた!」
あまりにも鮮やかな投げに反応が遅れる。
手にした昆を離すと、頭から落下を防ぐために地面に蹴りを放った。
そうして、空中で体勢を立て直し、足から着地する事に成功。
しかし、その隙をついて惣角は間合いを詰める。
もはや掴める距離。それは組技の武田惣角の領域。
書文の腕を掴む……と同時に膝を狙って蹴りを放つ。
狙いは、当身を入れてからの投げ。
――――だが、その間合いは八極拳の距離。
李書文の領域でもあった。
惣角の蹴りが入るよりも早く、さらに前に出た書文は――――
『頂心肘』
体当たりのような突進から肘を胸に叩きこんだ。
まるで冗談のように吹き飛ばされる惣角。
後方の樹木に背中を強打して止まるも、なお倒れない。
「ほう、耐えるか」
「なんて馬鹿げた肘だ。まるで胸が陥没したかと思ったぞ、怪物め!」
「ほめ言葉として取っておく」とそのまま無造作に近づいたかと思うと、
「ほれ!」と突きを放つ。
「舐めおって!」
惣角は常人離れした反射神経と体術の持ち主。
書文の拳を宙で掴み取り、
「それ!」と投げる。
先ほどと同様に書文の視点はクルリと回転して地と天が逆になる。
だが――――
「その投げは一度見たわ……フン!」
書文は蹴りを放ち、惣角の顔面を襲う。
「食らうかよ、頭から潰れよ!」
避ける惣角。 書文の蹴りは宙を切る……かのように見えた。
だが、蹴りの狙いは惣角ではなかった。 狙いは、その背後――――
先ほど、惣角が衝突した樹木だ。
大木への蹴り。 蹴りの反動で惣角の投げは制御を失い、書文の体は飛んでいく。
「2度も……2度も俺の投げを防ぐかッ!」
地面に着地した書文へ、惣角は怒気を孕ませた声をぶつける。
「かっかっかっ……許されよ。主の技は危険すぎる。一度でも落とされれば、ワシとて、立ち上がれんだろうよ」
「ならば、再び立ち上がれぬ体にしてやろう!」
惣角は間合いを詰める。
書文は間合いを詰める。
互いに得意な近間。 しかし、そこで両者の動きが止める。
投げと打撃との違いがあるが、一撃で相手を仕留める技を持った者同士。
読み違いは、そのまま決着を意味する。
膨大に膨れ上がり、周辺を支配する緊張感の塊。
それは離れて見ているノアにも届く。威圧された彼女は、無意識に後ろへ一歩下がる。
その時だ。
音が鳴る。 ノアが地面に落ちている小枝を踏み折った音。
その音がきっかけとなり、李書文と武田惣角の両者が同時に動いた。
神速とも言える動きで間合いと詰めると同時に突き。
まだ動かぬ相手の額を打ち抜いた――――そのはずだった。
(手ごたえがない。ワシが間合いを見誤った……いや、見誤られたのか!)
額には僅かに出血が見えるだけだった。
「俺とて、この体も久しぶりだからな。見切れなかったか」と魔剣に憑かれた男。
その体は大きく変わっていた。 小柄な体だが、背中から羽が生えている。
ノアが評したように神話の天使のように見える純白の羽だ。
それから男は、こう続けた。
「貴様、名は何という?」
「李書文」
「ほう……清国の名前か。かの国の武術、体験したいと思っていた」
「何っ! ならば、貴様も同じか!」
「あぁ、あの世界から来た者よ。なんと言ったか……あぁ、召喚者だ。名は――――
武田惣角」
その名前を聞いた瞬間、ノアの背中に悪寒は走り抜けた。
それは日本の武道において神の名前だ。
合気道の始祖。
そして―――
原始にして最強。
だが、そんなことを李書文は知らない。
再び、惣角の額を狙い素早く2撃目を放つ。
だが、当たらない。
(―――ッ! 放つ瞬間、あやつの体が大きく見えて間合いが狂った。おそらく特殊な体捌きにより錯覚を引き起こされている)
そう理解したが、その分析のために反応が遅れる。
昆が惣角に掴まれた次の瞬間に――――書文の視点が回転した。
「――――投げられた!」
あまりにも鮮やかな投げに反応が遅れる。
手にした昆を離すと、頭から落下を防ぐために地面に蹴りを放った。
そうして、空中で体勢を立て直し、足から着地する事に成功。
しかし、その隙をついて惣角は間合いを詰める。
もはや掴める距離。それは組技の武田惣角の領域。
書文の腕を掴む……と同時に膝を狙って蹴りを放つ。
狙いは、当身を入れてからの投げ。
――――だが、その間合いは八極拳の距離。
李書文の領域でもあった。
惣角の蹴りが入るよりも早く、さらに前に出た書文は――――
『頂心肘』
体当たりのような突進から肘を胸に叩きこんだ。
まるで冗談のように吹き飛ばされる惣角。
後方の樹木に背中を強打して止まるも、なお倒れない。
「ほう、耐えるか」
「なんて馬鹿げた肘だ。まるで胸が陥没したかと思ったぞ、怪物め!」
「ほめ言葉として取っておく」とそのまま無造作に近づいたかと思うと、
「ほれ!」と突きを放つ。
「舐めおって!」
惣角は常人離れした反射神経と体術の持ち主。
書文の拳を宙で掴み取り、
「それ!」と投げる。
先ほどと同様に書文の視点はクルリと回転して地と天が逆になる。
だが――――
「その投げは一度見たわ……フン!」
書文は蹴りを放ち、惣角の顔面を襲う。
「食らうかよ、頭から潰れよ!」
避ける惣角。 書文の蹴りは宙を切る……かのように見えた。
だが、蹴りの狙いは惣角ではなかった。 狙いは、その背後――――
先ほど、惣角が衝突した樹木だ。
大木への蹴り。 蹴りの反動で惣角の投げは制御を失い、書文の体は飛んでいく。
「2度も……2度も俺の投げを防ぐかッ!」
地面に着地した書文へ、惣角は怒気を孕ませた声をぶつける。
「かっかっかっ……許されよ。主の技は危険すぎる。一度でも落とされれば、ワシとて、立ち上がれんだろうよ」
「ならば、再び立ち上がれぬ体にしてやろう!」
惣角は間合いを詰める。
書文は間合いを詰める。
互いに得意な近間。 しかし、そこで両者の動きが止める。
投げと打撃との違いがあるが、一撃で相手を仕留める技を持った者同士。
読み違いは、そのまま決着を意味する。
膨大に膨れ上がり、周辺を支配する緊張感の塊。
それは離れて見ているノアにも届く。威圧された彼女は、無意識に後ろへ一歩下がる。
その時だ。
音が鳴る。 ノアが地面に落ちている小枝を踏み折った音。
その音がきっかけとなり、李書文と武田惣角の両者が同時に動いた。
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