寝間着のすすめ

増田朋美

寝間着のすすめ

ときどき、わたしは、まだ更年期となるには早すぎるのだが、更年期に近いものに悩まされる時がある。いわゆる、ホットフラッシュというか、冷えのぼせというかそういうものだ。エアコンをつけているから、さほど暑さは感じないはずの環境でもそれは平気で起きる。上半身はエアコンにあたって冷えているはずなのに、布団に入れている下半身は、やたらと暑く、汗だくである。時にはその逆もある。同時に首や胸などのリンパ節が腫れて痛み、かったるい。眠れないのであれば、起きていればよいのにと思われるが、リンパ節の痛みに負けてたってられない。布団を夏物に変えれば、寒かった上半身が、余計に寒くなって寝られない。かといってエアコンを止めてしまえば、余計に暑くなってしまうし、こんなにわがままな人間どこにいるんだとおもわれるが、膠原病になると、こうなってしまうのである。私自身もわがままになった罪深さは消せない。でも、そうなってしまうのだ。
昨年の夏からこの症状は出始めた。出始めた頃に比べたら少しはましになったが、いまでも、体がカーっと暑くなり、眠れなくなってしまうことは数多くある。そういうときは仕方なく、免疫抑制剤をがぶ飲みして、涼しくなるのを待つしかないのである。副作用として、頭がボンヤリしたりしていることもあるので、基本的に動けない。
まあ、涼しくなるのを待つしかないのだけれど、普通に着ているパジャマでは、脚の間接や脇の下に汗がたまって非常に不快なのである。だから、直接皮膚にあたらないで着れる、寝間着の方が、実は都合がよい、ということを発見した。
寝間着というと、旅館などで出される夜にきる着物のことだ。多くの人は寝にくいと思うだろうが、私のような人は意外に使いやすい。体に直接触れるところがすくないし、首回りも衣紋を抜いて着るのをもして着れば、さほど暑さは感じないのである。布団に寝ている時も、寝間着であれば意外に眠れるということがわかり、わたしは、ホットフラッシュが起きてしまったときには、必ず寝間着に着替えてから寝るようにしている。昔のテレビドラマの登場人物が着ている格好と一緒だ。老けているといわれればそれまでだが、いまは、寝間着が快適なので当分やめる気はない。
寝間着が苦手という人は、いまで言うところの二部式着物を使ってもよし。あるいは、着物の長襦袢を寝間着がわりにしてもよい。とにかく、着物本体でなければよいのだ。長襦袢も、下着という役割だけではなく、こういう使い方もあるのである。思えば、昔は究極のリサイクル社会と言われていた。着物は使えなくなったとしても、こうして寝間着に改造したり、布団に改造したりしていたそうである。そういうことを考えると、着物を改造した寝間着を着るというのは何も悪いところはなく、リサイクル社会の先端とも言える。
ともあれ、体の火照りなどに悩まされている方は、洋服もよいが着物を着てみたらどうだろうか。意外に風が入ってすずしいことを、感じられるはずである。

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