廃課金ゲーマーの異世界ライフ〜何処へ行っても課金は追ってくる〜

こう7

うろちょろする思惑達



ここは、冒険者ギルドの奥にある一室。

そこで轟く衝撃音。
机に置かれたお茶がコップと仲良く書棚に投げつけられた。

「これはどういう事だ?おい、アックス達は50層を突破したのか?」

「い、いえまだ複数のパーティーで49層に拠点を作っている段階です。」

不機嫌さが如実に表れているサイモンにギルド員は怯みながらも答える。

「そうだな。なら、なんでドラゴンの素材が出回っている!しかも、聞けばこの街の迷宮で手に入れたらしいじゃないか。49層までにドラゴンは出ていないんだろう?」

「は、はいドラゴンが出現したという報告はございません。ですので、出回っているドラゴンは迷宮ではなく外で出たものではないかと思われます!」

「そうだとしたら、何故迷宮と言い張る?そもそもドラゴンがこの近辺に現れたら騒ぎになるだろうが!!」

「ひぃっ!?そ、それは分かりません…。」

今度は机に強く苛々をぶつけてしまう。
何処のどいつだか知らんが苛つかせる。
冒険者なら何故俺に報告しない?
挙げ句にギルドを通さずコロックの爺の商会へ直接売りやがって。
せめて名乗りを上げやがれ、王都のギルドや国からもドラゴン討伐した奴を教えろとしつこく言われているんだぞ。

「ランパード商会にもう一度売った奴の名前を聞いて来い。俺もすぐにゼーニック様へ連絡して暗部を借りるつもりだ。暗部の情報収集能力ならばすぐに見つかるだろう。分かったなら早く行け!」

「は、はい。今すぐ行ってきます!」

この場から逃げるようにギルド員は出ていく。
それを舌打ちしながら見送る。順調に進んでいた計画へ思わぬ支障が生まれた。
見つかったら、強制的に50層攻略組の最前線へ送ってやる。

そしたら、迷宮攻略への指揮を取ったとして俺が高く評価されるだろう。
姿を見せないドラゴン討伐者に多少腹は立つが、強力な駒が手に入ると思えば悪くない。

機嫌の悪さを都合の良い解釈であっという間に早変わり。


でも、すぐに元へ戻る事となる。


「ぎ、ギルドマスター失礼します、アミルです。入っても宜しいでしょうか?」

「あぁ、入れ。」

人に合わせて態度を変える受付嬢ことアミルが少し慌てた様子で入ってくる。

「どうした?」

「は、はい、先程薬師ギルドと商業ギルドそれぞれのギルドマスターから次のドラゴンの素材はいつ入るのか催促の連絡がございました。」

そんな事俺の知ったことじゃない。
お前らも俺のギルドからではなくランパード商会から出回っているのを知っているだろう。
チッ、しかしドラゴン討伐者が冒険者なら俺の管轄だ。

やっぱり50層突破させた後もこき使ってやる。

「チッ、今そのドラゴンを討伐した者を調査中だと伝えろ。それで納得しないなら迷宮最前線組が突破するのを大人しく待っていろと伝えておけ!」

どうせ納得しないだろう、小煩い野郎共だ。
俺が迷宮の件でゆくゆく貴族入りした暁には真っ先に潰してやるから覚えておけ。

そう悪態をつくサイモンの未来は遠からず真っ暗闇であることを彼はまだ知らない。

すでに暗雲が立ち込めている。


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