廃課金ゲーマーの異世界ライフ〜何処へ行っても課金は追ってくる〜

こう7

ランパード商会




久しぶりのマーロさんとの再会。
迷宮に行くと言って何日も帰って来ないからかなり心配させてしまったみたい。

「よく無事だったよ。アンタが出て行ってから不安で仕方無かったよ。」

たった一日だけの付き合い。
なのに、ここまで親身になってくれるなんて随分懐の深い方だ。

「ご心配お掛けしました。でも、迷宮をちょっと探検出来て良かったです。しばらくはこの街に滞在しようと思うので泊まらせて下さい。」

「あいよ!今度行くならちゃんとパーティーを組んで行くんだよ。部屋は前と同じ二階の一番奥ね。」

「はい!」

マーロさんは1、2層を探索して戻って来たくらいに思っているんだろう。
正直に話してもこんな見た目だし信じて貰えないと思うけどね。
現時点で所持金が心許ない。ひとまずマーロさんに数日分の宿代を支払う。お金が手に入ったらすぐに延長してもらおう。

この後は商会探しという用事があるので鍵は受け取らず、マーロさんに何度目かの質問。
確かコロックさんが務める商会の名前は、ランパード商会。

もちろん場所なんて分からないので教えて下さい。


ランパード商会はコンゴの宿屋に比較的近い場所にありました。
周りの建物よりも一際目立つ大きな建物。
思った以上に大きな商会なのかそれとも何処の商会も大抵はこれくらいの規模なのか定かではない。

そんな商会の長、コロックさん。

想像以上に大規模商会なのではと恐れおののくも、生唾をゴクリと飲んで恐る恐る扉を開く。

「いらっしゃいませー!ようこそ、ランパード商会へ。」

愛想の良い笑みを浮かべてしっかり俺達を歓迎してくれる受付さん。
何処ぞの不機嫌な受付嬢とは雲泥の差だ。

商会の中は陳列棚がそこら中に置かれ、見たこともない液体が入った瓶や日用雑貨と多種多様に揃えらている。
奥には階段もあり、もしかしたら二階にも色んな物を販売しているのかもしれない。

軽く辺りを見渡し終えたら、受付のお姉さんへ話し掛ける。

「すみません。こちらにコロックさんはいらっしゃいますか?」

「コロックはここの会長ですが…。」

やばい。
お姉さんの目に不審げさが混じり始めた。急いで説明せねば。

「俺は旅人をしてましてユウと申します。コロックさんにこの名を伝えれば分かって下さると思いますが…。」

「……分かりました。少々お待ち頂けますか?良ければお待ち頂きの間、店内でも見て回って下さいませ。」

「はい!」

どんな物があるか気になっていたので嬉しい。
元気よく返事を返せばお姉さんはすぐに後ろの扉から消えて行った。

じゃあ、見て回ろう。

早速、興味を注がれる物を発見。
赤や黄色や青の液体が入った瓶。同じ色で別けられて並んでいる。
値札には商品名もありポーションと書かれていた。

リアルポーション。

効力の云々は無視して是非とも購入したい。
早くお金を手に入れないと。

他にも魔石と呼ばれる魔物の体に生まれる石なども売られている。
魔石は魔物の体内で固まった魔力の塊、魔道具の動力源にもなる。
そういえば、俺らが倒した魔物達にも当然あるはず。販売されている事から、確実に売れるだろう。

魔石は魔物の強さによって大きさが違う。ドラゴンの魔石なんてさぞや大きく価値が高いものになる。
うへへ、頬の緩みが止まらない。

若干呆れ目線を飛ばすクロコを無視。



「おぉユウ殿!お待たせして申し訳ありません。」

そろそろクロコの視線に耐えきれなくなった所でコロックさんが登場した。出会った時と変わらずふくよかでなによりです。

「お久しぶりです、コロックさん。その後、無事に着いたようで良かったです。」

「ユウ殿もシュトールにお着きのようで安心しました。なにせ先に向かったのに街でなかなかお見掛けになりませんでしたので…。」

「あぁ、すぐに迷宮の方へ行ってたのですれ違いになったのかもしれませんね。」

「そのようですな。それで本日は私にご用があるそうですが何でしょうか?あ、もちろんちゃんと前回足りなかった謝礼はご用意しておりますよ。」

別に謝礼金を寄越せなんて脅しに来たわけじゃないよ。
前の時に十分貰ったもん。

「いえいえ、お礼はあの時の情報と街での滞在料でしっかり頂きました。それよりもコロックさんにご相談があって参りました。」

「ご相談ですか?何でしょうか、出来る限りお力になりたいと思っておりますが…。」

一度の手助けでここまで親身になってくれる。
ありがたやありがたや。

まずは、相談の前に俺が街に着いてからの一連の出来事を説明しよう。


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