廃課金ゲーマーの異世界ライフ〜何処へ行っても課金は追ってくる〜

こう7

ギルド2




ただ身分証の為に来ただけ。
それなのに態度の悪い受付嬢に出くわして更には後ろから不穏な気配を漂わす輩。

ここに来るんじゃなかった。
溜息しか出ない。

「では、こちらに名前とご年齢をあと…。」

「アミルちゃん、大丈夫かい?この餓鬼がなんか失礼をしたんだろ。」

記入事項の説明の最中。わざわざそれを遮ってまで乱入して来たお馬鹿達。
いきなり謂れの無い事まで言っているし、それに失礼をしたのはこの受付が先だ。

アミルっていう受付嬢はあざとく陰がある顔を作る。

「いえ…私が何かこの方を不快にさせてしまったのかもしれません。私が悪いんです。」

そう言って顔を伏せる。
ちゃんと隠して、口角が上がってますよ。

「おい糞餓鬼。新入りのくせに俺たちのアミルちゃんを虐めてんじゃねえぞ。」

俺の肩を掴もうと手を伸ばしてくる。
しかし、顔を伏せて笑っていたアミルが声を上げて止める。

「お待ち下さいガロンさん!私の為にありがとうございます。ですが、受付所内での争いは禁止されております。それにまだその方は冒険者ではなく一般人という扱いです。たとえ説教であっても一般の方に手を出すのはご法度です。」

「ちっ…そうか。アミルちゃんがそういうなら仕方がない。おい、お前ら下がるぞ。」

なんだこの茶番。
周りの受付係も冒険者も見て見ぬふり、むしろ楽しそうに眺めている奴さえ居る。
どうせ俺が登録した後になんか仕掛けてくるんでしょう。
実際、逃げられないようにする為か出口付近で待機している。

『不快っす。殺しやしょう。』

『まあまあ落ち着いて。この程度大丈夫だから。むしろ、分かりやすくて良いよ。』

『旦那ぁ…。』

クロコの忠誠心が爆発しそう。
まともに相手するだけ無駄な連中なんだから気にしなければいいのに。


一旦茶番は終了して、羊皮紙に名前と年齢を書いていく。書いてる文字は日本語だけど通じているのだろうか?

「名前と年齢を書きましたら、パーティーを組む際に紹介しやすいように得意武器や使える魔法も記入して下さい。無ければ無記入でも構いませんよ。」

いちいち嫌味を入れてくる。
この中の人達とパーティーを組む気なんてサラサラ無いので無記入。
また鼻で笑いやがった。

「はい、これで登録完了です。こちらギルドカードです。これにて今から貴方はFランク冒険者です。」

何の説明も無くカードを渡されて終了。
ギルドカードについてもランクについても一切説明されていない。
でも、このアミルって人は御役目終了って顔をしている。
いや、ニヤニヤし出した。

「おう、登録完了したみたいだな。これでお前も俺達と同じ冒険者だ。色々分からない事もあるだろう。俺様達が新人であるお前に教育をしてやろう。」

待ってましたと言わんばかりに先程の野郎共登場。

「まぁ、優しい先輩方に囲まれて良かったですね。しっかり自分の立場というものを教えて頂くと良いですよ。」

さっきまでの不機嫌が嘘のように素晴らしい笑顔だ。
はぁー面倒くさい。

「えーとメロンさんでしたっけ?」

「ガロンだ!!」

「そうそれ、メロン先輩の有り難い授業は大変魅力的ですが生憎予定があるので何も教えて頂かなくて結構です。」

「この野郎が…良いから来い、先輩命令だ!」

随分短気な性格のようでもう顔が赤い。お酒も呑んでいるのかもしれない。
メロンは周囲に目配せすると、お仲間さん達が俺を囲む形に移動した。
これじゃあ、まるで警察に連行される犯罪者みたい。

今日はこのまま登録したら宿屋に帰る予定だったからもう少しこの劇に付き合ってあげよう。

メロン一行に促され付いて行く。
ギルド内にある下へ続く階段。地下室があるんだ。

階段を降りて行けば、観戦設備が整ったコロシアムのような場所。
キョロキョロと辺りを見渡す俺にメロンがニヤニヤ話し掛けてくる。

「ここは教育場。新人はここで先輩方に見守られながらしごかれるんだ。嬉しいだろう?」

「へぇ…。」

「ビビっても無駄だぜ。生意気な新人への教育は必須だからな。まぁでも俺は優しい。どうしても受けたくないならこの場で跪いて許しを乞いな。そうだな、ついでに靴も舐めてもらおうか。はっはっは!」

「さっきも言いましたけどこんなお間抜けな授業を受ける気は無いんで失礼します。」

「おい、てめー随分嘗めた事言ってくれるじゃねえか。…殺してやる。」

突発過ぎやしませんか。
ちょっと煽ったら殺す宣言て。
こういう世界だと命は相当軽いのか。

殺意満々宣言の後は、それぞれ腰に携えていた剣を抜く。そして、囲んだ状態は変わらず全方向から刃が向けられる。

ちらりと観覧席を見てみればアミルやその他の冒険者達が居た。
けれど、止める気配が無い。

上が腐っていると下もこんなに腐るんだ。
何度目かの溜息が溢れる中で全方位からの殺意ある斬撃が俺を殺そうと迫って来た。


それじゃあ、スキル発動。


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