異世界開拓も一歩から!〜踏み出した途端潰されました〜

姫古都

第1話 はい、落ちました。

グチャッ!
ズドンッ!?!!

なんか剥がれ落ちていく。助けて?いや、何か違う。引きずり出してだ……。





「あー、残業つっら。こんな事してたらいつか天から迎えが来るぞ」

来るなら天使がいいなぁ、女神でもいいけど。金髪で巨乳は絶対だわ、うん。

このクソどうでもいい妄想を毎日繰り返してるこの俺、小泉 弓弦こいずみゆづる
30歳は隠れオタである。
休みが取れた日はひたすら本屋に入り浸り、好きな異世界転生ものを読み漁る趣味を持っている。

最近は30歳になり彼女が居ないことに焦りだし読むのは控えているが……。

「これからどーしよ。ビールでも飲みに行くか」

普段は飲まない方なのだが何だかパーッとしたい気分…………



「ヒャクッ!さすがにのみすぎたかなぁ、まぁ、家に帰っても待ってる人なんていないしね……。」

そう独り言を言いながらフラフラ家に帰る

と、思った。

グチャッ!


痛い……?い、いだいぃぃ!!!!

要するに踏まれた。何者かによって。
俺は居酒屋をでてフラフラ歩いてたはず、
それに俺を頭から踏めるやつなんて居ないよな。

体はすり潰されてボロボロになってるかもしれないほど痛いのに何故だか頭は冷静だった。
とりあえず上を見てみよう。

足があった。それも顔の2倍ぐらいの大きさの。そして天使だった。俺の理想の金髪巨乳の!!そして天使のサイズデカすぎね?

「はは……。本当に迎えが来ちまうとはな。最悪の展開で」

そう、俺は目があるとは嘘で何も無かった。跡形もなく、踏まれた後には何も残っていなかったのである。血すらも。

踏んだ天使はどこかへ行ってしまった。
迎えに来たんじゃなかったのかよ?!

しかし俺は口が無いので声すら発せられない。しかも天使は踏んだ事に気づいて無かったらしい。

ちなみに今の状態は道路の中にいる。地面の中って言った方がわかりやすいかな、道路に寝そべって空を見てる感じを想像してくれれば。痛みも治まってるし心も健やかである。

「さてどうしようか。移動出来るのかな」

えい!
ツーーッ

動いた!背泳ぎしてる感じ(笑)
それから俺はめちゃめちゃ動いた。家に行っても階段が登れないから……いや、家が無いからと言った方がいいだろうか。

そう、ここは異世界であった。びっくりするほど中世ヨーロッパでは無かった。
東京のごちゃごちゃしてる街並みにそのまま獣人やエルフとかがいる感じ。
気持ち悪っ!

街ゆく生物達は俺が居るのに全く気づかない。あの、すごい踏まれてるのですが。
全く痛くありませんが。
スカートの中のパンツを見るのはご褒美として?

そして数時間後、突然事態は動き出した。

「あ!ちょうどいい所に!!」


……え?

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